「モバイル位置情報データ」によって、マーケターにとって有益な”顧客の買い物傾向”や”競合他社に勝つための情報”が明らかに。

ホリデーショッピングの期間中、驚くほど限られた小売業者が顧客の来店数を独占した。位置情報マーケティングと分析を行うReveal Mobileよれば、2018年の11月12日~12月31日の間、米国の買い物客のおよそ3人に1人が、世界最大のスーパーマーケットチェーンWalmart、またはディスカウントストアのTarget を訪れていたという。

 

Walmartへの来店客数が全店舗来店者数の約25%にのぼった

Reveal Mobileの位置情報データによると、ホリデー期間の小売店への来店客数のうち90%近く(86%)が、WalmartとTarget、そしてその他数社によって独占されていたとのこと。

 

当然ながらこの統計(下記のグラフ)には、昨年10月に破産申請した小売業者のSearsは載っていない。またSears Holdings に属するKmartも同様だ。Sears と Kmartは、破産裁判所の監督下での入札において、ESL INVESTMENTSが落札したと発表されており、もしかすると立て直すチャンスは残されているのかもしれない。しかし、親会社であるSears Holdingsは、昨年10月に140店舗以上、2019年の第1四半期には、さらにおよそ40店舗を閉鎖することを決定している。

 

ホリデーシーズン中の来客数トップ7

Searsの閉店により利益を得る事業者

Reveal Mobileと同様の手法で店舗訪問者数を調査した位置情報分析会社のPlacedは、Sears とKmartの店舗閉鎖によって恩恵を受ける事業者が潜在的に存在することを明らかにした。Placedによれば、第4四半期において、SearsやKmart、大手百貨店チェーンの JCPenney 、そして手軽な価格が売りの百貨店 Kohl’sの買い物客のなかには「およそ19~25%」のオーバーラップ(重複)があったという。したがって、SearsやKmartが店舗を閉鎖した場合、JCPenney や Kohl’sの来店者数は確実に増加するだろう。

 

また特に、1ドル均一ショップのDollar TreeDollar Generalも、Kmartの閉鎖によって利益を得るだろう。Dollar Treeは37%、Dollar Generalは24%の顧客がKmartとオーバーラップしている。食料品から家具まで比較的低価格に販売するBig Lots や、5ドル以下のディスカウントストアFive Belowにも、Kmartの買い物客が流れていくことが考えられる。

 

Placedによると、Searsのオリジナル商品の購入客の一部は、家電量販店のBest Buy(27%のオーバーラップ)や婦人服や下着などを扱うVictoria’s Secret(20%のオーバーラップ)、そしてスニーカー専門店のFinish Lineで買い物をすると予想されている。

 

関心をもつ必要性

ロケーションインテリジェンスサービスを利用しているマーケティング担当者達は、提供されるデータを、主にオンライン広告などの効果によって実店舗への訪問数増加を促進するオフラインアトリビューションのために使用しているだろう。しかしながら、これ以外にも幅広い使用例があるのだ。ブランドやマーケティング担当者は従来、顧客を理解し、顧客が競合他社を選ぶ理由を解明するために調査をしてきた。それらの調査データは、自社でサンプリングされたものだが、調査対象者の自己申告によるものであり完全に正確ではない。ゆえに、その結果がすべてというわけでもないのだ。

 

それに対し、「位置データ」は顧客の行動についてのインサイトをほぼリアルタイムで提供している。マーケティング担当者は、これによってさらに明確にオーディエンスセグメントを特定し、効率的にリーチすることが可能となるのだ。例えばSears やKmartの競合他社は、有料ローカル広告やディスプレイ広告によって、積極的に2社の既存買い物客をターゲットにするべきということである。とはいえ、まだまだそれはできていないのが現状だ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の1/28公開の記事を翻訳・補足したものです。