2013年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選と2014年のEC業界展望

 

2013年もあと僅かとなりました。今年の3月1日に開始したこの「eコマースコンバージョンラボ」も早いもので10ヶ月が経とうとしています。いいねの数や、サイトのPV数も順調に伸びてきたのも多くの皆様の支えがあったからこそだと思っています。この一年、本当にありがとうございました。

今年最後の48本目の記事では、2013年のEC業界のトレンドや出来事を振り返り、そして来る2014年の展望を考えていきたいと思います。

 

 

2013年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選

 

改めて振り返って今年の出来事を色々見てみました。この1年は、後半になって業界に大きなニュースが多くなったような印象をもちました。その中から、今年の一年のトレンドともいえる5つの出来事をまとめてみます。

【2013年まとめ】今年EC業界でチェックしておくべきトレンド5選と2014年のEC業界展望

 

モールの無料化と覇権争い

 

リクルートによるECモール、ポンパレモールが今年の3月15日にオープンしました。ホットペッパーやじゃらん等からのユーザーの流入による集客が期待できるため 注目を集めていました。また、昨年から引き続き今年前半には出店料が無料のBASEStores.jpZEROSTOREの躍進がレポートされていました。

そんな中、今年最大のニュースが10月7日に発表されました。Yahoo!ショッピングの無料化です。このことは大きなインパクトがありました。BASE、Stores.jpへの影響も大きく、10月30日にはZEROSTOREが撤退を発表しました。非常に早い決断と言えるでしょう。無料化路線のポイントは新規ショップが参入しやすくショップ数が集まりやすいことでしたが、Yahoo!ショッピングの無料化に伴いそちらにショップが流れてしまうため閉鎖に踏み切ったと思われます。

さらに12月20日には爆発的勢いでユーザー数を伸ばすSNSサービスLINEのLINEモールがAndroid先行でプレオープンしました。偶然ではありますが、同じくSNS系のモールであったmixiモールの閉鎖も同日に発表されるなど、まさに年末までモールの覇権争いが過熱した一年でもありました。

 

<参考>

Stores.jp・BASE・ZEROSTORE 最近話題の無料出店可能な3モールを徹底比較

ひしめき合うハンドメイドマーケットEC - 気軽にネットで開店する時代はやってきたのか。Etsy、Creemaに見る未来

本気になったYahoo!ショッピングは楽天を超えることが出来るのか

 

 

スマホコマースの浸透

 

2015年には、携帯電話所有者の70%がスマートフォンになると予測され、ここ2、3年でさまざまな業界から注目を集めている“スマホ”。現在、スマートフォン保有者の40%がスマートフォンでECを利用していると言われており、スマートフォンはECにとっても切っても切れない関係にあります。特にこの1~2年のスマホへのシフトは著しく、昨年年始と今年の7月~9月期を比較すると、全体の売上高の中でスマホの売上高が占める割合は11.2倍の25.7%、全体の来訪者数の中でスマホの来訪者数が占める割合は12.7倍の34.3%まで達するなど、爆発的勢いでユーザーのスマホ活用が進んでいることがわかります。

このような勢いはそろそろ鈍化してくるものの、ショップによってはスマホの売上高や来訪者数の方がPCよりも上回っているケースも出てきており、スマートフォン向けの対応がショップの浮沈の鍵を握ってきていると言ってもいいようです。

 

<参考>

「スマホでものが売れるのか」 セミナーレポート

速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年1-3月期 トレンドデータ

速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年4-6月期 トレンドデータ

速報!どこよりも早い EC×スマートフォン 2013年7-9月期 トレンドデータ

 

 

ソーシャルコマース・キュレーションコマース

 

ここ数年で生活にしっかり浸透してきているeコマースとソーシャルメディア。このインターネットの発展の中で、別々の道を歩んできた2つの大きな潮流が、ここ数年で大きく歩み寄り、ソーシャルコマースキュレーションコマースというキーワードが世の中に広まってきました。今年前半にはFANCYOrigamiというサービスがスタート。その流れが顕著なものになってきた年といえます。

ソーシャルコマースとは、オンライン上の消費者同士のコミニュケーションをダイレクトに購買につなげるというもの。また、一方でキュレーションコマースとは、Webサイト上に流れているありとあらゆる情報をとりまとめ、それを共有することを起点として購買につなげるというものです。ソーシャルコマース・キュレーションコマースは特定の誰かがリコメンドした商品が一目で分かり、それをすぐにサイト内で購入できる点が従来のECサイトと異なります。信頼している人が薦めたことによって購入につながる仕組みは、新しい形のコマースといえます。今後もこのような形態のサービスの勃興は続くでしょう。

 

<参考>

ソーシャルからコマースへの系譜 PinterestからSumally、FANCY、そしてOrigamiへ(前編)

ソーシャルからコマースへの系譜 PinterestからSumally、FANCY、そしてOrigamiへ(後編)

 

 

O2O・オムニチャネル

 

1990年後半にいわれた“クリック&モルタル”、昨年から盛んにいわれるようになってきた“O2O”、そして今年になって“オムニチャネル”というキーワードが業界を賑わせています。いずれのキーワードも実はそれほど大きな意味の違いはなく、Webサービス上での顧客とのコミュニケーションから、いかに実店舗などのオフラインへの集客・誘導をはかることができるか、そしてオンライン・オフラインを上手に役割分担を行って各チャネルを活かしながら、企業全体として売上を上げていくのかというテーマを指します。しかし、今年オムニチャネルが脚光を浴びたのは、ECが始まって数年経った頃から叫ばれているアイディアがいまだにしっかりと実現出来ていないということを示しています。

どのような業種・業態でもECをとりあえず行ってみたものの、特に近年ではその成果や事業全体に与える効果が乏しいことが明確になってきたように思います。業種・業態に応じた施策の必要性が求められた年でもありました。そのような中でソーシャルギフトというO2Oマーケティングに革新を起す可能性のあるサービスの出現や、大丸松坂屋やセブン&アイホールディングスなどのオムニチャネルの取り組みなどが話題になりました。

 

<参考>

「オムニチャネル化 or 死」の時代に直面しているコンビニエンスストアのECサイト

百貨店ECサイトのオムニチャネル化への挑戦 - 店頭依存型の商習慣からの脱却で未来を勝ち取れるか

ソーシャルギフトはO2Oマーケティングに革命を起こせるのか (前編・海外) - Facebook Gifts、Wrapp

ソーシャルギフトはO2Oマーケティングに革命を起こせるのか (後編・国内) - giftee、okurune

 

 

ショールーミング化

 

ショールーミング化とは、実店舗で商品の性能やサイズ・質感などを確認し、オンライン上で購買を行う消費行動です。ECの浸透により特に家電などを中心に数年前から顕著になってきており、ECに慣れてきた消費者の多くは、実店舗よりもオンライン上の方が価格が安くポイントももらえることから、購入自体はECで行いたいが実物を確認しないと購入に踏み切りにくいためこのような行動が多くなってきています。

そのため、百貨店や家電量販店では実店舗での売上の減少が年々大きくなり、徐々に問題となってきています。そんな中、今年10月にファッションECで有名なZOZOTOWNからWEARというアプリがリリースされました。WEARの注目すべき点は、店舗のショールーミングを推進している点です。いくつかの有名ブランドやPARCOがWEARに協力していますが、LUMINEでは撮影禁止の措置がとられ、業界でも対応が二分しています。今後もショールーミング化の流れは避けられないため、どのような対応を各業界が取っていくのか注目です。

 

<参考>

ZOZOTOWNの新アプリ“WEAR”で、狙い通りアパレルECにおける店舗のショールーミング化は進むのか

 

 

 

2014年のEC業界展望

 

2013年のニュースとトレンドを振り返ってみましたが、来年はどんな年になるのでしょうか。1年という時間は長いようで業界が変わるには非常に短い時間ともいえます。そんな中で今年の動きからある程度来年の動きを予想してみます。

 

 

楽天・Amazon VS Yahooショッピング

 

今年無料化したYahoo!ショッピングにとっては、来年どれだけ楽天とAmazonのシェアに食い込んいけるのかが勝負となります。BASE、Stores.jpに加えて、Yahoo!ショッピング、LINEモール、ポンパレモール(最近、無料化にする動きが出始めている様です)、など出店料無料のモールは数多くあります。そのため「無料」だけではモール毎の差別化を図ることはできないため、それぞれのモールは集客やオシャレなショップ構築サービスなどの独自の強みを作っていく必要があるでしょう。Yahoo!ショッピングは楽天とAmazonからシェアを奪うための次なる一手が必ずや出てくるはずです。果たしてその一手でどれだけシェアを拡大できるのか注目していきたいところです。

 

 

集客手法の変化!時代はインバウンドマーケティングへ

 

これまでのECにおいては、SEOやリスティング広告・アフィリエイト・メルマガが集客施策の基本でした。しかし度重なる検索エンジンのロジックの変更や、ECサイトの店舗数の増大などにより、これらの施策の効果が目に見えて下がってきています。

その一方で、浸透著しいFacebookなどのSNSを活用したインバウンドマーケティングが徐々に存在感を増してきています。あと2~3年後にオウンドメディアを持っていない企業、ECサイトは全く集客できなくなる時代が来るでしょう。来年は、ECサイトにおけるインバウンドマーケティング元年と言えるべき年になると考えています。従来の集客手法に頼らず、オンドメディアを活用した集客手法の確立が急務となってくるでしょう。

 

 

店舗数拡大による支援業務の多岐化

 

出店料が無料のサービスの勃興に伴い、この1年だけで10万店舗近い新規店舗が開設された可能性もあります。そのため競争が熾烈になり今まで以上にショップが売上を確保することが困難になる一方、売上を上げるための支援業者や人材が市場において圧倒的に不足する状況がうまれてくるでしょう。様々な角度からの人材育成、育成した人材を活用したサービス、特にクラウドソーシングはECサイト運営においても非常に有用な運営形態となっていくのではないでしょうか。

 

 

改めまして今年1年「eコマースコンバージョンラボ」にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。来年も今年以上にパワーアップしてEC業界の動向やトレンドについての情報を発信し、業界の進むべき方向性や未来を考えていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

皆さんの興味のある情報発信を行うために、このような情報を発信して欲しい、まとめて欲しい、というご要望があればお気軽にご連絡ください。全てとはお約束できませんが、可能な限りそれらのご要望にお応えしていきたいと思います。

それでは良いお年をお迎えください!

 

 

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