オンラインでスキルを売るC2Cサービス

 

ECと言えばもっぱらモノを売ることを想起するが、実際にはモノだけではなくサービスもオンラインで購入することができる。そんな中、「スキル」をオンラインで売るサービスが最近脚光を浴びてきている。今回は、個人が個人にスキルを売るC2Cサービスを中心に見ていく。

 

 

Cyta.jp

 

コーチ・ユナイテッド株式会社が運営するCyta.jp(咲いた.jp)は、2011年6月にローンチされた業界の先駆け的存在だ。

 

 

Cyta.jp は語学・楽器・デザイン・スポーツ・資格取得など、約200種類のジャンルのプライベートコーチ(個人指導の先生)が見つかるサイトで、全国5,000会場、3,000人以上の登録講師がレッスンを展開している。価格は60分で3,000~5,000円程度と個人レッスンとしては比較的リーズナブル。ユーザーは20代〜30代が中心で、これまでに2万5,000人が受講した。

Cyta.jpの特徴のひとつとして挙げられるのが、講師を選出する際の厳しい審査基準。1人1人を面接し、講師がむやみやたらに増えてしまうのを防いでおり、その倍率は約10倍だという。さらに、定期的に専門のリサーチ会社がレッスンを受講して覆面調査を行い、調査レポートを提出。そうした調査を通じ、レッスンの質が低下していないかを常にチェックしているのだ。その一方で、ユーザーからの評価を点数化するようなことはしていない。ユーザーと講師の相性は人それぞれであり、それを点数化すると意としない結果が生じてしまうからだ。何でも公開することが良しとされているこの時代において、この仕組みはかなり珍しい。

また、リリース時からずっとPCサイトのみで運営をしてきたCyta.jpだが、2013年7月にスマートフォン向けサイトを公開。全体の45%がスマートフォンからのアクセスとなったため、今後はサービスをスマートフォン向けに注力していくと発表した。

そ して同年10月、Cyta.jpはクックパッドの傘下に入る。これによって2,000万人の主婦ユーザーに向けて習い事事業を提供できるとともに、今後はベビーシッターなどのサービスを提供していきたいとしている。また、今年6月には社内にコールセンターを設け、ユーザーがどういった条件やモチベーションで習い事をしたいのか、すべての新規ユーザーに対して電話で確認した上で、講座へ申し込むよう誘導している。ここでは、ユーザーが問い合わせフォームに電 話番号を入力すると、スタッフが電話をかける仕組みを採用しているが、重視しているのは問い合わせから2分以内に電話をすること。同社はコールセンターの スタッフを夏までに50人規模まで拡大させ、さらなる事業の展開を図る。

 

 

ココナラ

 

株式会社ココナラ(旧ウェルセルフ)が2012年7月に立ち上げたココナラは、個人が持つ知識やスキル、ノウハウなどをワンコインで売り買いできる、モノを売らないオンラインフリーマーケットだ。

 

 

2014年4月時点で登録会員数は約82,000人、そのうち出品経験者は約12,000人で、総出品数は21ジャンル17,000件を越える。その内容は多岐に渡り、占いや恋愛相談、Facebookやtwitter用の似顔絵アイコンの作成、果ては飲み会の店探し代行といったユニークなものまで取り扱っている。

ココナラがローンチされた当時、類似サービスは数多く存在した。しかし、ココナラが他のサービスと差別化を図り、シェアを拡大してこれたのには2つの理由がある。1つは、ココナラでは取引価格があらかじめ500円と決まっているため、自分のスキルに値付けをする負担が軽いという点。相場がない市場の中で出品者に価格設定を任せると、同じような商品でも価格差が生まれ、購入者に不信感を与えてしまう。最近では、評価の高い優良出品者に対して500円以上の価格設定ができるオプション料金機能を追加したが、基本的にはワンコインという方向性は変えていない(ただし購入者が価格以上の価値を感じたら、最初の500円に加えて「おひねり」を渡す仕組みが取られている)。もう1つは、完全にユーザー視点に立って考えられたアイデアであるということ。提供者は合計金額から30%が手数料として引かれるが、販売のための初期費用等もかからないため、気軽にサービスを提供したいという層とマッチしたのだ。今後は匿名電話機能などの開発やプレミアムサイトの展開を予定している。

 

 

ストリートアカデミー

 

2012年8月にローンチされたストリートアカデミーは、ストリートアカデミー株式会社(旧IntheStreet)が運営する「教えたい人」と「学びたい人」をつなぐ、グループによるプライベートレッスンサービスだ。

 

 

サイト内では自分のスキルや趣味を用いたオリジナルの授業が開催可能で、1,000以上の講座が開催。累積受講者数は8,000人、登録ユーザー数は13,000人に上り、利用者は30代が最も多い。人気の講座はIT関連や語学系のほか、写真や料理など趣味の分野も目立つ。

ストリートアカデミーでは、開講する際は承認制を取っているため、運営側が内容の確認やアドバイスを行っている。例えば、コンセプトが曖昧な場合は講座の内容について助言をしたり、プロフィールやコンテンツの文章に関してもアドバイスがもらえるので、教えること以外は苦手という人でも魅力的な講座を作ることができるのだ。

講座の開講者は受講料の5〜15%をサイト使用料として支払う。現在は首都圏と大阪エリアのみの展開だが、今後は全国展開も視野に入れているのだそう。教える場所は、自宅やカフェ、会議室のほか、ストリートアカデミー側が地域のカフェやコワーキングスペースと協力し、ともに集客を行うというコラボレーションにも取り組んでいる。さらに、空きスペースのマッチングサイト「軒先com」と業務提携を行い、レッスン会場として空き物件を活用していく試みも展開中だ。現在、提携場所は都内だけで40カ所近くあり、貸し会議室よりもリーズナブルな金額でレンタルが可能となっている。

 

 

ECサイトで売るのは「モノ」だけではない

 

従来のカルチャーセンター型の講座では、通える距離・時間帯に自分の学びたい講座があるか、という限られた条件で講座を探すことが多かった。そして、そこで教えてくれる講師まではなかなか選ぶことも出来ず、ニーズが大きそうな比較的メジャーな講座しか存在しなかった。ところがこのようなC2Cサービスの形態にすることで、価格や講師の比較が可能となり、ライトなテーマでも豊富な登録があるため幅広い講座から気になるものを探すことが可能になった。特にココナラにはそのようなコンテンツが豊富だ。場合によっては気になる講師の講座を受講するために少し頑張ってみようと思える仕組みも提供している。このように従来よりも飛躍的に学びを得る機会を手に入れることが可能となっている。

また一方で通常のECとは異なるのは、オンラインで買った「スキル」を学ぶために販売者である講師と購入者である受講生が必ずリアルなどで実際に接点を持つことだ。モノを買うECであれば配送業者が接点を持つため気軽に「ポチッ」といけるが、「スキル」はそこまで気軽に購入することが出来ないというハードルもある。ストリートアカデミーはそこに着目してフォローの体制をしっかりと敷いている。

オンラインで「モノ」ではなく「スキル」を買うこれらのC2Cサービス。ECの利便性とECにはない特性を活かすことでハードルを乗り越え、カルチャーセンターに替わる大きな流れを作っていくことができるのか、注目していきたい。

 

<参考>

ECをオンラインで学ぶ - schoo(スクー)、ECキャンパス、マナビトオンラインがEC事業者へ提供する恩恵