ECサイト構築/通販システム構築・支援を主要事業として手掛けている株式会社エルテックスは、EC・通信販売事業関与者の実態調査、「通販事業者が失敗・解約したEC関連サービス」「通販/ECシステム導入の重視点」などを集計・分析した調査結果の2024年版を発表した。



調査結果

 

「ECサイトにSaaS型(クラウド上で提供されているものなど)またはオンプレミス(自社サーバーなどにインストールするなど)で利用する有料ツールで「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」ものを選択してください(複数回答)」と尋ねたところ、最も多かったのは、「メール送信」で20.7%、次いで「サイト内検索」20.0%、「アンケート」19.0%がトップ3となった。トップとなった「メール送信」と同じメール送信でも「シナリオ/ステップアップメール」の方は失敗・解約が13.7%となっていることから、手間ひまや創意工夫を凝らした「メール送信」の方が効果があり、「失敗・解約のスコアが低くなった」ためと推測される。

 

 

あなたがECサイトにSaaS型またはオンプレミスで追加して利用するツールで「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」理由であてはまるものを、選択(複数回答)」してもらったところ、解約したEC関連サービストップの「メール送信」の理由として、1位は「効果が出なかった」で25.8%、2位は僅差で「利用料が高かった」の24.2%、3位は「使いこなせなかった」で17.7%だった。効果が出ない上に、利用料が高いといったことで、導入に失敗・解約したEC関連サービスのトップとなっていたようだ。

 

 

あなたやあなたの会社が、「通販の販売管理システム、ECシステム(パッケージ、クラウド、ASPなど)」の導入を決定した際に重視した項目の中で最も重視したものを選んで(単一回答)もらったところ、全体で最も多かったのは「導入や運用のコスト」で、特に年商が1億円~10億円未満といった規模の事業者では40.6%と、スコアが他のものより圧倒的に高かった。また、50億円以上の年商規模の事業者においてもトップは「導入や運用のコスト」と27.0%だったが、「希望の納期への適用力」は14.9%と平均値と比較して+5.7ポイント、年商規模5億~50億円未満と比較して+8.6ポイントとなり、事業者としての規模の大きさから計画通りにシステムの構築や移行が進まないと、事業計画や、上場企業は株価に影響がある、といった危惧が背景にあると考えられる。また、一般的には生産活動におけるQCDの優先順位は、Quality(品質)>Delivery(納期)>Cost(コスト)と言われているものの、通販市場に流通している、名の知れた通販やECシステムは一様に質が高いと考えられるため、質が同レベルのシステムのさらなる比較材料として、納期やコストは、その会社の置かれている立場によって優先順位が変わると思われる。