AIをメールマーケティングに活用して、エンゲージメントとコンバージョンを向上させる3つの重要な方法を紹介しよう。

 

「メールマーケティングでChatGPTを使っているか」という質問をよく受ける(大手ESP(外部サービスプロバイダー)がChatGPTの自社バージョンのリリースを急ぐにつれ、この質問の頻度が高くなってきている)。生成AIは普及してきているが、私はこの質問に簡単に答えられる。我が社では、アイデアを生み出すためや初歩的な出発点としてChatGPTを使うことはあるが、コンテンツには使用していない。

最終的なコンテンツ生成では、貴社チームのクリエイティブな思考の方がはるかに洗練されており、オーディエンスのニーズに共感的であろう。とはいえ、メールマーケティングにAIを活用することをお勧めする、以下の3つの方法がある。これらは、目新しいものではない。

  • 送信時間の最適化
  • パーソナライゼーション/セグメンテーション
  • 商品フィードのレコメンデーション

うまく活用するために、それぞれについて必要なステップとともに詳しく見ていこう。


送信時間の最適化

送信時間の最適化は、メールマーケターがメッセージ送信に最適な週や曜日、時間を設定するのに役立つテクニックである。しかし、これは比較的あまり活用されていない。これは、以下の方法で行うことができる。

  • 個々のサブスクライバーに適した送信時間の特定
  • パフォーマンスデータに基づいたメッセージ送信の全体的な時間の調整

送信時間の最適化に関するもう一つのポイントは、メールを送信するタイミングだけではない。メールを送信するかどうか、である。SalesforceのAI製品であるEinsteinは、過剰なコミュニケーションにさらされている恐れがあるサブスクライバーや、より多くのコミュニケーションが必要なサブスクライバーを特定する、非常に優れたオーディエンス飽和アルゴリズムを備えている。

利用可能な(そしておそらく十分には活用されていない)メールAI機能の好例として、消費者ごとに送信時間を自動的に最適化する複雑なディシジョンツリー(決定木分析。情報を整理・分析しながら作る樹形図で、意思決定に役立つツール)を構築する機能が挙げられる。メールマーケターは、AIを利用して、ユーザー一人ひとりのエンゲージメントを最大化するタイミングや間隔を見つけることができるのだ。


オーディエンスのセグメンテーション

オーディエンスのセグメンテーションには、デモグラフィック、ジオグラフィック、サイコグラフィック、家族構成、親近感、既存顧客と見込み顧客など、さまざまな形式がある。セグメントを細分化すればするほど、メッセージをカスタマイズすることができる。

たとえば、家庭用チーズブランドの場合、20代のサッカーファンにはナチョスのレシピを送り、幼い子どもを持つ親にはグリルドチーズサンドイッチのレシピを送るかもしれない。適切なデータ(これについては後ほど説明する)があれば、どんなESPでもダイナミックなオーディエンスセグメントを簡単に構築することができる。

優れたオーディエンスセグメントにとっての最大の味方は、戦略的なウェルカム・ジャーニーである。これは、サブスクライバーとの関係の初期段階で、より深いパーソナライゼーションのための豊富なデータをもたらしてくれる。

ESPのAI機能を活用して、セグメントごとに異なるキャンペーン・ジャーニーを動的にトリガーすることで、各サブスクライバーは商品の好みに基づいてパーソナライズされた体験が可能となる。


商品フィードのレコメンデーション

貴社ブランドがCPG(日用品)であれ、eコマースであれ、メールをパーソナライズすることで各ユーザーにとって特に関連性の高いものにする方法がある。その一例として、以下のようなものがある。

  • (購入や閲覧、放棄の履歴に基づく)商品のレコメンデーション
  • 詰め替えのリマインダー
  • 商品の使い方のヒントやコツ
  • ユーザーの好みに合わせてカスタマイズされたレシピ
  • CPG商品のローカルセールやパートナー割引
  • その他

本記事の冒頭で、メールマーケティングにAIを利用する方法は目新しいものではないと述べたが、これらの方法も実際、何ら新しいものではない。Amazonは20年以上前にいち早くこのテクノロジーを取り入れていた。

AIを試すもう一つの興味深い方法は、メールコンポーネント(要素)の自動化によるエンゲージメントとコンバージョンのメリットを測定するために、ESP内で利用可能な商品フィードのレコメンデーション機能を調べることである。


AI
に対応するメールプログラムの準備

上記のような取り組みから良い結果を得るためには、データのクリーンアップとメールのテンプレートという2点を整える必要がある。

最初のステップは、常にデータから始めよう。データがクリーンでフィルタリングが行われていることを確認し、高度なセグメンテーションに必要な情報を収集しよう。

次に、ライブテキストや、獲得した特典ポイントや会員ステータスなどの動的な要素を盛り込むために、メールテンプレートを改善する必要がある。画像ベースのメールにはカスタムフィールドがないため、パーソナライゼーションの選択肢が限定的になる。私は、動的でパーソナライズされたメールの作成を効率化するために、好んでメールデザインにコンテンツブロックテンプレートを使用している。

これらの準備ステップの利点は、上記のAI機能を活用しなくてもメリットが得られることである。たとえAI導入に後れを取っていたとしても、今すぐ準備を始めた方がいいだろう。


メールプログラムでAIの機能を最大限に活用する

メールキャンペーンではChatGPTを限定的に使用した方がよいというのが私の助言であるが、AIの筋力とキャンペーンアーキテクチャを向上させるステップを踏むことは、ChatGPTがより現実的なものになったときのための準備である。

上記のユースケースに取り組むことで、すぐにキャンペーンの成果が得られ、将来さらにAIテクノロジーを取り入れるための基盤を築くことができるだろう。今日のパーソナライゼーションの取り組みを通じて、オーディエンスについてより多くを知り、より豊富なデータを手にすることができるようになることで、今後AIを活用する際の選択肢も増えていくのである。


※当記事は米国メディア「MarTech」の11/1公開の記事を翻訳・補足したものです。