CROのためのプラットフォームを提供する株式会社Sprocketは、アパレルECサイトのユーザー行動を分析し、サイト機能の利用率と購買に与える影響に関するレポートを発表した。


調査の背景

一般的なECサイトに欠かせない機能といえば、「商品検索」や「お気に入り登録」があるのは当たり前であるものの、これらの機能が購買に与える影響はブラックボックスとなっている。そこで、SprocketではECサイトの標準的な機能が、どの程度購買に影響を与えているのかを今回調査し、分析を行った。


調査結果


今回、アパレルECサイトを運営する8社の、商品「非購入者」と「購入者」に対し、「商品検索」機能と「お気に入り登録」機能についてそれぞれの利用率にどのくらい違いがあるのかを分析した。まず、「商品検索」について見ていくと、最小でも約3倍、最大では約10倍、商品検索の利用率に違いがあることがわかった。




続いて「お気に入り登録」の利用率をみていくと、「商品検索」機能より差が大きく、最小で約10倍、最大で約46倍も違いがあった。元々買う気のあるユーザーが「商品検索」や「お気に入り登録」といった機能を活用するのは当たり前と言えるかもしれないが、機能の利用が購買行動にも影響を与えている可能性があり、機能の存在と活用するメリットを訴求することで、機能の利用率を高め、購買にも繋げられるかもしれない。



 

SprocketにおけるWeb接客施策


サイト機能の利用を促進するため、Sprocketではポップアップを利用したWeb接客施策を行っている。例えば、「商品検索」なら、「商品の探し方」を順を追って説明し、「お気に入り登録」の場合は、まずはそういった機能自体を気づかせるといったことが挙げられる。

また、Sprocketがこれまで手がけたアパレルECサイトにおける施策の平均勝率は約40%で、これは、施策の非表示グループと表示グループにA/Bテストを行い、購入完了率が改善できた場合を”勝ち”と定義し、実行施策数のうち勝ちとなった施策数の割合を勝率としたものだ。「商品検索」の利用を促進する施策では、勝率は62.5%となり、平均値を大きく上回り、購入完了の平均改善率は127%だった。一方、「お気に入り登録」の利用を促進する施策の勝率はさらに高く、85.7%で、購入完了の平均改善率は104%となった。

 

これらの結果から、「商品検索」や「お気に入り登録」の利用を促進する施策の勝率は高く、結果的に購買にもプラスの影響を与えていることがわかった。そこで、ECサイトに標準的に備わっている機能が、コンバージョン改善のポイントになり得るか、まずは自社サイトの機能利用率をしっかり確認し、伸ばせる余地がないか検討するのが重要だ。