eコマース市場の需要が鈍化するにつれ、販売者は圧迫されている。

 

米国のeコマースインテリジェンス企業Marketplace Pulseの新しい調査によると、Amazonでの販売手数料は増え続けているという。

 

「Amazonは販売者の収益の50%以上を手に入れており、これは5年前の40%から上昇している」とMarketplace Pulseは2月13日のブログ投稿で書いている。

 

この投稿によると、同調査は、Amazonで商品を売るために必要なコストを算出するために、販売者のサンプルの損益計算書を使用したとのこと。Amazonを使って販売している事業者は約200万社にのぼると、Amazonは2022年3月に発表している。

 

この調査では、基本取引手数料(Amazonでは「紹介料」と呼ばれる)のほかに、Amazonで販売するうえで重要な2つの要素である、広告とFBA(フルフィルメントby Amazon)と呼ばれるAmazonのフルフィルメントネットワークの利用について論じている。広告宣伝は、検索クエリの上位に商品を表示させるために重要であり、またFBAの利用は、販売上の優位性をもたらすAmazon Primeで商品を利用できる唯一の方法の1つである。

 

これらのサービスは、売上を獲得するために必要なものであるため(そして価格も上がっている)、Amazonでの販売も同様である、と同調査は述べている。「Amazonがフルフィルメント料金を引き上げ、広告への支出を不可欠にしたため、販売者はより多くの料金を支払っている」と投稿では書かれている。

 

この調査によると、Amazonに支払う手数料の内訳は次の通りである。Amazonは取引手数料として8~15%を徴収し、FBAが20~35%、そして広告費は最大で15%と算出されている。同調査によると、2022年の平均は50%であった。

 

ケンタッキー州ルイビルに本社を置くPinch Spice Marketのオーナーは、Amazonでオーガニックスパイスやブレンドを販売している。同社は「コストがかかりすぎる」ため、あまり広告を出していないが、広告を出さない場合でも、FBAを利用すると、小規模ビジネスはAmazonにおよそ40%を支払うことになると語っている。

 

「コストは常に上がっている」と、Pinchの創業者でオーナーのThomas McGee氏は言う。

 

また、同調査によると、Amazonプラットフォームでの売り上げが鈍化しているため、新規顧客を獲得しても、Amazonへの出品コストの増加による損失をカバーすることができないという。

 

「こうした小規模事業者にとっては、Amazonの手数料にどんどんお金がかかるため、利益を出すのが難しくなっている」と、Marketplace PulseのCEOであるJuozas Kaziukenas氏はBloombergに語っている。

 

Amazonの直近の四半期報告書によると、同社の消費者向け小売ビジネスは2%低迷した。

 

Amazonの広告担当者はメールで、この数字は、Amazonで販売するためのコストの「正確な描写」ではなく、同社は販売パートナーをサポートするために「これまで以上に投資」していると述べ、同時に販売者が記録的なホリデーシーズンを過ごしたことを指摘した。また、同担当者は、FBA手数料が「他の大手サードパーティー物流プロバイダーが提供する標準的な配送方法よりも30%安価で、同等の2日配送の代替手段よりも平均で70%安価である」と付け加えている。

 

しかし、Amazonで販売するためにお金を払うことは、それだけの価値があるということだ。McGee氏によると、顧客は最初はAmazonで注文するが、その後、彼のウェブサイトにアクセスして買い物をするという。

 

「私たちがそれでもなおAmazonに商品を出品するのは、多くの人の目に触れるからだ」とMcGee氏は言う。

 

※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の2/14公開の記事を翻訳・補足したものです。