英国のAdvertising Association(業界団体)および英国のマーケティング企業WARCによると、英国のロックダウン中の2020年第2四半期における広告費が、前年比33.8%減少したとのこと。この数字は、英国の広告業界の四半期としては過去最低となり、2020年上半期に14.9%下落した要因である。これは、前年の同時期と比較して20億ポンドの損失に相当する。

 

新しく公表されたこのデータによると、第2四半期にはすべての広告フォーマットで投資が減少。映画館のように休業したセクターや、屋外広告、ダイレクトメールといった消費者との接触が大幅に減少したセクターでの下落が顕著であった。

 

映画館の広告費は100%、屋外広告は83%、そしてテレビは31.3%下落。自宅待機が求められたため、オンラインフォーマットは他のフォーマットほどの悪化は見られず、2019年の第2四半期と比較すると、2020年の第2四半期のオンラインディスプレイ広告費は13.9%の下落。検索広告は20.6%の下落だった。

 

これらの数値は、最新のAdvertising Association/WARC Expenditure Reportによるもの。同レポートでは、2020年7月の成長回復率の予測を、16.6%より14.4%に引き下げた。2021年の伸びは、今年の損失を完全に相殺するには少し足りず、現時点では、英国広告市場は2022年までに完全な回復が見込まれていないことを意味している。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の結果、2020年の広告費は14.5%下落して215億ポンドとなり、2019年と比較して36億ポンドの損失に相当。2020年第4四半期は、通常ならクリスマス広告シーズンなので1年で最も売上が多く、小売業者や広告費にのってはゴールデンクォーターであるが、前年と比べて10.5%、7億2,400ポンド下落し、合計62億ポンドになると予測されている。

 

2021年の見通しは、映画広告費は映画館が再開し、延期していた映画が上映されるので、138.3%増との予想だ。2020年と比較して好調が予測される他のメディアには、オンラインフォーマットの強い伸びに支えられる、屋外広告(57.1%増)やローカルニュースブランド(16.2%増)、雑誌(18.8%増)などが挙げられる。

 

「これらの厳しい数字は、第2四半期の間、広告エコシステムのすべてが重圧を受けたことを示している」と語るのは、Advertising AssociationのチーフエグゼクティブStephen Woodford氏。「この業界の大部分と経済全体が事実上閉鎖されていた。新型コロナウイルスの影響によるこの数週間の出来事は、国内の地域それぞれの状況がさまざまな速度で変化しているため、簡単に回復しないことを示唆している。我々は、成長を加速し、広告税額控除とスキルプログラムを通じて失業に直面している同僚を助けるため、雇用を促進しなければならない。従業員、企業、そして政府がともに業界や国の復興計画に取り組むことが不可欠だ」と述べた。

 

WARCのデータコンテンツ責任者のJames McDonald氏による展望も悲観的だ。同氏は、「最新の結果によると、英国の広告業界は、新型コロナウイルスの発生を受けて行われた国のロックダウンという、2020年第2四半期の記録的な前例のない不況を体験した」と語る。

「広告業界は不振なままだ。そして、冬季には局地的なロックダウンが行われる可能性も高い。また、12月のEU離脱の混乱、失業率の上昇による経済回復の遅れなども要因となり、2022年までに今年の損失を完全には取り戻すのは難しいだろう」と語った。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の10/29公開の記事を翻訳・補足したものです。