イギリス広告市場の消費額は、2017年第1四半期に前年同期比1.3%となる53億ポンド(約7,681億円)を記録し、15四半期連続で増加した。テレビやラジオなどにおける広告は減少したものの、モバイル端末におけるインターネット広告の大きな伸びが成長率に貢献したとみられる。

 

イギリス広告市場、モバイル広告の増加によって1.3%の伸び

Advertising Association(AA)/Warcによる最新の消費報告書によると、2017年第1四半期のイギリス広告業界の消費額が前年同期比1.3%増の53億ポンド(約7,681億円)に達したことが明らかとなった。

特に、インターネット広告は前年比10.1%の増加。中でも、モバイル端末におけるインターネット広告は36.2%の大幅な増加を見せた。それにもかかわらず、イギリスの広告市場全体の成長率は1.3%にとどまり、2013年第2四半期以降最低を記録した。

 

非デジタル広告は縮小

イギリスの広告市場の成長率が1.3%にとどまった理由は、非デジタル広告が減少したことにある。映画広告は成長を見せた唯一の非デジタル媒体だが、そのほかの従来のメディアによる広告は苦戦している。

2017年第1四半期のテレビ広告市場は前年同期比6.2%の減少を記録し、2009年以降最大の落ち込みとなった。また、ラジオ広告は0.1%減少、OOH広告(屋外広告や交通広告などの、家の外で接する広告)は0.6%減少した。

 

デジタル広告は増加

各メディアによる非デジタル広告は縮小傾向だが、オンライン上の購買行動や閲覧履歴をもとにターゲットを絞って発信するデジタル広告は増加している。全国的なニュースブランドのデジタル広告収入は25.5%、ビデオオンデマンドの広告収入も7.2%増加した。

 

2017年のイギリス広告市場成長率は2%前後になる見込み

2017年のイギリス広告市場全体の成長見通しは、インフレ率の上昇、賃金の上昇率低下、政治的な不確実性のために、0.5%下方修正されて2%の拡大となっている。

 

モバイル端末のデジタル広告の大幅な増加によって、かろうじて15四半期連続でプラスの成長率を維持できたイギリス広告市場。テレビ広告やラジオ広告などの非デジタル広告市場は縮小を続ける見込みだが、デジタル広告の増加によって2017年全体としては2%程度の成長率を達成できる見込みだ。

 

<参考>

【世界】2016年の全世界モバイル広告収益は60.5%増の830億ドルに達する

 

※この記事は「Mobile Marketing Magazine」の7/27公開の記事を翻訳・補足したものです。