景気への懸念はあるものの、消費者は玩具などの主要カテゴリーでの値引きに反応を示した。

 

インフレ、景気後退の可能性、サプライチェーンの問題などの懸念があるにもかかわらず、2022年11月と12月の消費者のオンライン消費額は2,117億ドルで、eコマース新記録を更新、前年同期比では3.5%の伸びを示した。

 

玩具やゲームソフトの需要がシーズン前に比べて顕著に伸びたほか、リストウォッチや化粧品、ギフトカード、春を先取りしたであろうアウトドアグリルなども好調だったようだ。

 

好調なサイバーウィーク 

この成長に大きく貢献したのが、サンクスギビングデーからサイバーマンデーまでの5日間、通称「サイバーウィーク」である。この5日間のオンライン消費額は353億ドルで、前年同期比4%増となった。

 

しかし、消費者はホリデー期間中に支出を分散させることもした。オンライン支出が30億ドルを超えたのは38日間で、2020年の25日間と比較すると、その差は歴然としている。

 

このデータは、米国のコンピュータソフトウェア会社Adobeが提供するアクセス解析ツールAdobe Analyticsによるもので、米国の小売サイトへの1兆回以上のアクセス、1億SKU(在庫管理上の最小の品目数を数える単位)、18の商品カテゴリーに関する洞察を提供している。

 

割引はまだ有効である 

多くの主要なカテゴリーで、割引についても記録を更新した。玩具では割引率が34%に達し、2021年の最高値のほぼ2倍となった。また、電子機器、コンピューター、衣料品でも大幅な値引きが行われた。

 

「ガソリン、家賃、食品などの物価が高止まりする中、eコマースの割引が『裁量支出』を持続させた」と、マーケティングやeコマースに関する調査を行うAdobe Digital Insightsの主席アナリストであるVivek Pandya氏は言う。「値引き商品が消費者を惹きつけ、購買ボリュームを増加させた」。

 

なぜ気にかけるのか 

ホリデーシーズンを前にして、何か月も憂鬱な気分にならなかったことがあっただろうか。消費者は非裁量的支出から十分なお金を取り崩して、ネットショッピングをすることができるのだろうか。健康危機や戦争、原油価格の高騰による流通への影響など、新たな災害が発生し、消費意欲が低下することはないだろうか。

 

振り返ってみると、年末年始のマーケティングキャンペーンと賢いディスカウント戦略は、どれもまた価値があったようだ。確かに、家賃や暖房費のために年末年始の出費を抑えざるを得ない消費者は多いはずだ。しかし、そこにも成功がある。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の1/5公開の記事を翻訳・補足したものです。