世界最大のインフルエンサーマーケティングプラットフォームであるLTK Europeの営業部長Robin Ward氏に、Z世代の消費者に対するマーケティングにおけるインフルエンサーの重要性について話を聞いた。
我々は、否応なしにオンラインクリエイターから大きな影響を受けている。特にショッピング習慣に関してはこの傾向が顕著であり、オンラインで商品を購入する際には、従来の広告や有名人によるお墨付きよりも、クリエイターが最も影響力のある要因となっている(2022年8月のLTK Shopper Study)。
あらゆる主要なブランドや小売業者は、積極的なソーシャルメディア戦略を持つことが、もはや単なる利点ではなく、必要不可欠であることを知っている。これには、ブランド自体の優れたクロスチャネル戦略だけでなく、ターゲットとする業界やオーディエンス向けのインフルエンサーのページに表示されるさまざまなコンテンツやメンションも含まれる。
Z世代など、従来のマーケティングチャネルではなかなかリーチできない消費者とつながるには、ソーシャルメディア戦略を有意義に活用し、成功させることが重要である。
Influencer Marketing Factoryの調査によると、最初のデジタルネイティブ世代にあたるZ世代の97%が、買い物をする際のインスピレーションを得る最大のソースとしてソーシャルメディアを利用しており、TikTokだけで1日1時間近く費やしているという。つまり、オンラインクリエイターは、ブランドが日常生活の一部として、あらゆるカテゴリーにおいてZ世代とコミュニケーションを取る真の機会を提供しているのだ。そして、Z世代はオンラインクリエイターからのアドバイスを望んでおり、それを高く評価している。Z世代の顧客の68%は、最初の購入前に少なくとも3つのオンラインレビューを見たり、読んだりしているという。
世界最大の学生向けアフィニティ・ネットワークであるUniDaysによると、Z世代は消費者全体の40%を占めているといい、ブランドは彼らの買い物習慣を理解し、彼らとの間で信頼とブランドロイヤリティを築くためにマーケティング戦術をいかに適応させるかが重要である。
マーケティング戦術が進化し、メタバースが加わった現在でも、インフルエンサーマーケティングによる人間的なつながりは、多くのブランドにとって最優先事項であり続けている。では、なぜインフルエンサーマーケティング戦略が、Z世代とのつながりにおいて効果を有するのだろうか。
親しみを感じるコンテンツ
LTKの最近の調査によると、Z世代の92%は、ほぼすべてのカテゴリーにおいて、インフルエンサーに頼って買い物をすることが分かっている。さらに、75%ものZ世代がオンラインで買い物をしており、その大半はお気に入りのソーシャルメディアアプリで商品をスクロールした後、スマートフォンで買い物をしているという。
Z世代は簡単には騙されず、従来のマーケティング手法や試したことのない新商品に懐疑的であることが多い。インフルエンサーマーケティングは、ブランドが親しみを感じる本物のコンテンツを提供することで、新しいオーディエンスとつながるのに役立つ。クリエイターは、特定のオーディエンスに合わせた信頼できるレコメンデーションや彼らの正直な商品レビュー、アイテムを生活に取り入れるためのいくつかの方法を表示することで、ブランドを人間味のあるものにすることができるのだ。
LTKは、クリエイター主導のショッピングスペシャリストとして、何千ものブランドや小売業者とパートナーシップを結び、素晴らしい成果を上げてきた。例えば、2021年には、高級スキンケアブランドのElemisと提携し、同社のマーケティングミックスにおいて、より一貫したインフルエンサー戦略を採用できるよう支援を行った。LTKは、オールウェイズ・オン(顧客と継続的な関係を築くこと)のアプローチを取り入れることで、ブランドに対する真の愛着を持ち、キャンペーンに個人的なアプローチをもたらすクリエイターのキャスティングを支援することができた。
これにより、クリエイターはフォロワーの共感が得られるコンテンツを作ることができ、また、オーディエンスはフィードで初めてElemisを目にするわけではないため、コンテンツがオーガニックであると感じることができた。各クリエイターには専用の割引コードが提供され、パフォーマンスのトラッキングが強化されたという。キャンペーン期間中にインフルエンサーのコードを使用した買い物客の76%が、elemis.comの新規顧客となり、クリエイターを通じたオーディエンス獲得のパワーが示された。
クリエイターは、自分の生活のほぼすべての部分について、パーソナルで透明性の高いコンテンツを投稿できるため、フォロワーと強い信頼関係を築くことができ、それがさまざまな業種のブランドに対するロイヤリティに自然に移行していく。この関係から、Z世代はインフルエンサーを長期的にフォローするようになり、多くのオーディエンスがクリエイターとともに成長していく。つまり、ブランドがクリエイターと長期的に協働できれば、インフルエンサーは長期的に親和性を高めることができるのだ。
ROIの向上
Z世代と効果的につながるためには、彼らが最も活発に活動し、存在している場所で彼らと出会う必要がある。これは多くの場合、彼らがフォローしているクリエイターを通じたオンライン上の接点を意味する。データインテリジェンス企業Morning Consultによると、Z世代の92%が、超有名人よりもニッチなインフルエンサーを信頼しているという。著名な有名人だけをまねて、ライフスタイルのインスピレーションを得るという時代は終わったのだ。この調査結果は、ブランドにとって、高額な有名人のお墨付きよりも、短期的な売上のためにインフルエンサーマーケティングに投資する方が、経済的に即時の報酬性があることを示唆している。インフルエンサーマーケティングにおいては、ブランドの認知度を効果的に高めることはほんの始まりに過ぎず、特に売上や認知度、ROIの向上に関しては、ファネル全体へのインパクトにもつながる。
クリエイターは、ファネルの上位を超えてオーディエンスと日常的に親密な関係を築いているため、購買意欲の高い人々から支持を得ている。このため、他のマーケティングチャネルと比較して、より深いエンゲージメントや売上、コンバージョンを達成することができる。インフルエンサーマーケティングは、効果的に追跡することで、ブランドがROIを測定し、最適な結果を得るためにキャンペーンの次の段階を調整することができる。
ドイツの統計調査データプラットフォームStatistaによると、60%のマーケターが、インフルエンサーマーケティングは従来の広告よりもROIが高いことに同意しているという。クリエイターは、ブランドサイトの売上を追跡することで、ブランドが実際の効果を実感できるよう支援することができる。販売ファネルを通じてインフルエンサーマーケティングにアプローチすることで、ブランドは成長戦略の一環として割引コードやアフィリエイトリンクを活用・統合することができる。コンバージョン率や競合他社のベンチマークに基づいて、適切なコンテンツクリエイターを慎重に選択することで、ブランドは自身の取り組みを購入準備の整ったオーディエンスに確実に届けることができるのだ。
今後の展望
ブランドの信頼構築からROIの向上まで、インフルエンサーマーケティングが正しく行われれば、比類なき成果が得られることは明らかだ。Z世代の大半は、ショッピングのインスピレーションをソーシャルメディアに求めているため、ブランドはインフルエンサーのアンバサダーシップを長期的かつオールウェイズ・オンの視点で考えていく必要がある。クリエイター・コマースの専門家と提携してパフォーマンス主導の戦略を立てることで、ブランドは長期的なブランド支持者と強力な関係を築き、決断疲れしている社会で人々の想像力をかき立て、注目を集め続けることができるのだ。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の12/13公開の記事を翻訳・補足したものです。