「新たな消費のフリースタンダードを創造する」をミッションに掲げるFree Standard株式会社は、消費財の一次生産者であるメーカー・ブランドが自社ECサイト上に「お試し」・「リユース」の機能を実装して独自の二次流通市場を構築できる流通ソリューション「Retailor」を正式に提供開始する。

 

また、併せて、ANRI千葉道場グローバル・ブレインヤマトホールディングス(以下、ヤマトHD)が共同で設立したCVCファンド「KURONEKO Innovation Fund」、D4V、その他投資家を引受先とする累計5.4億円の資金調達も実施した。

 

これにより、大量生産・価格崩壊・大量出品など多くの課題を抱える小売業界において、ブランドの収益性を改善しながら継続的にサーキュラー・エコノミーを推進していくことが可能となる。

 

 

「リテーラー」開発の背景

 

 

コロナ禍の影響もあり、ECマーケットは更なる拡大傾向となり、あらゆるものがネットで買えて便利な一方、ECの広がりに起因する激しい価格競争や業界構造の変化に伴い、メーカー・ブランドに新たな課題も生まれてきている。

 

特に新品の流通においては、外部のECプラットフォームへの販売比率が高まったことで、割引価格での販売が常態化し、粗利率の悪化を招いた。また、メーカー・ブランドにとって重要な顧客情報が蓄積されず、長期的な成長戦略を描きにくくなっている実態もある。さらに、割引価格で商品を購入した消費者が二次流通市場に転売をすることで、新品の販売数が伸び悩む悪循環も生じている。

 

このような状況の中、Free Standardは、良質なモノづくりを実践しているブランドにて、運営する自社ECサイトへの「お試し」・「リユース」機能をカンタンに実装できる「Retailor」を開発した。これにより、これまで販売時点で完結していたブランドと消費者の関係を永続的なものに変え、商品が自社流通内で繰り返し売買されることで、サーキュラー型のマーケット展開を可能にする。

 

 

「Retailor(リテーラー)」とは

 

Retailor」は自社ECサイト上にお試し・リユース機能を実装でき、お試し注文の売上やリユース販売分が、ブランド側に還元可能となり、二次流通市場から一次生産者のブランドが新たな収益を生めるようになる。「購入するorしない」ではなく、「購入するorお試しする」という選択肢か、もしくは、「新品購入」に加えて「リユース購入」という選択肢を提示することで、今まで購入に至らず離脱していた消費者にリーチすることができる。

 

さらに、商品を一度販売した時点で、完結していたブランドと消費者の関係が、「お試し商品の返却」「販売商品の回収」によって、何度も繰り返し販売することが可能になる。このLTVという概念は、これまで「顧客」に使われる概念だったが、Retailorは商品にもLTVという考え方を適用し、商品という資産価値を高められるようになった。

 

 

「お試し」機能とは

 

Retailorの「お試し機能」とは、ブランドの自社ECサイト上で「購入する」だけでなく「試してから購入する」という新しい購入体験が可能になる機能で、運営に不可欠な配送・在庫管理・クリーニング・保管・カスタマーサポートといった機能までリテーラーが提供している。

 

現在、自社ECサイトに訪れる99%の消費者は、「未購入」という選択をしており、未購入を選択したユーザーは、「色合い」や「サイズ」、「お得感」など様々な不安を抱えてしまったことが原因とされている。消費者は「買い物に失敗したくない」と考えており、購入する前に、一定の期間、自身の生活の中で商品を使用することができれば、消費者は購入するか否かを適切に判断でき、最大の購入障壁となっていた買い物の失敗をゼロにすることが可能となる。

 

 

「リユース機能」とは

 

Retailorの「リユース機能」は、ブランド独自のリユースサイトを構築し、リユース品の取り扱いに不可欠な商品収集・真贋確認・商品メンテナンス・保管・撮影・登録といった機能までRetailorが提供するサービスのこと。昨今、消費財の大量廃棄が世界的な問題となり、生産者に対応を求める声が強くなっている。

 

小売業界はこうした社会的背景を踏まえ、従来型の「大量生産・大量消費・大量廃棄」の一方通行型のビジネスモデルから、「適量生産・適量購入・循環利用」により、廃棄する商品を減少させる循環型のモデルへの移行を迫られている。そこで、循環型消費をブランド独自で提供可能にするために、Retailorの「リユース機能」を開発するに至った。

 

 

Free Standard株式会社は累計5.4億円の資金調達を実施し、調達した資金をもとに「リテーラー」の開発、ソフトウェアエンジニア、事業開発、コーポレート等幅広い職種の新規採用による組織体制の強化をしていくとのこと。