なぜ、消費者ブランドはバーチャルの楽しみをすべて手に入れる必要があるのだろうか?

 

多くの大手ブランドが仮想店舗やなどのメタバースのアクティベーションをテストしているが、B2Bマーケターにとってこれは何を意味するのだろうか?B2Bの定石は、同じ戦略のいくつかのバージョンを含むように進化していくだろう。結局のところ、B2Bマーケターは、動画からソーシャルまで、さらにはB2Bインフルエンサーの利用まで、あらゆる種類の消費者向けマーケティングチャネルを適応させてきた。

 

ここでは、B2B企業がアーリーアダプターとなるためのメタバースへの入口をいくつかご紹介しよう。

 

B2Bのメタバース

マーケティング担当者や代理店がメタバースに進出するにつれ、より多くのビジネスユースケースが並行して生まれるだろう。ビジネスの見込み客の多くは、すでにこれらのチャネルのいくつかを使っている可能性がある。

動画とポッドキャストのホスティング・プラットフォームであるWistiaのCEO兼共同設立者のChris Savage氏は、「現在、メタバースに単一の合理化されたバージョンはないが、ハイテク企業はそれぞれのビジョンを構築するためのインフラに大規模な投資を行っている」と話す。「B2CとB2Bのブランド、さらに仮想現実、拡張現実、暗号通貨のアーリーアダプターは、大きな可能性を見出し、すでに存在する拡張現実技術を試している」。

 

「メタバーススタック」がなくても問題ない

「没入型ゲーム、VRヘッドセット、3D会議室など、メタバースの基盤となる技術は、現時点で『メタバース・マーテック・スタック』がないにもかかわらず、すでにビジネスで利用されている」と、Savage氏は述べている。

 

また、「私自身、バーチャルリアリティヘッドセットを使って会議に参加したことがあるが、この体験は家庭とオフィスの間にある完璧な『第三の領域』だと思った」と続けた。

 

メタバースコミュニティ

ビジネス・マーケティングは、展示会やその他の業界イベントを通じてコミュニティに焦点を当てたものだ。パンデミック時には、このコミュニティ構築の多くは完全にバーチャルで行われたが、現在はバーチャル、オンデマンド、ハイブリッドなインタラクションが混在している。

 

重要なビジネスパートナーを含む、より多くの社員がリモートで仕事をするようになり、彼らが仕事をするために使用するテクノロジーを通じて、デジタルでのつながりも強くなってきた。つまり、B2Bマーケターがメタバースを含むデジタル・チャネルを通じてリーチできるオーディエンスが広がっているということだ。

 

「B2Bマーケターは、メタバースを活用してビジネスを拡大し、より広範なオーディエンスにリーチする方法を考えるべきだ」と同氏は述べている。「顧客のコンテンツ消費は変化しており、顧客が時間を費やす場所に企業がいなければ、損失を被ることになる。現在、メタバースに参加している顧客はごく一部だが、将来的には変わっていくだろう。B2Bマーケターは、バーチャルイベントやコミュニティ構築に利用するなどして、オーディエンスとのつながりを深める新しいチャネルとして、メタバースを受け入れるべきだ」と続けた。

 

メタバース体験を高める

世界が再び開かれるにつれ、対面での体験とデジタルでの体験が複雑に混ざり合い、マーケティングの状況はかつてないほどダイナミックになっている。マーケティング担当者は、メタバースを利用して、これらの体験を結びつけ、向上させることができる。

 

消費者の世界では、ブランドのファンがRoblox(オンラインゲームプラットフォーム)のような仮想コミュニティを通じてブランドのNFTを獲得することがある。しかし、そのNFTをバーチャルウォレットに入れておけば、実店舗で携帯電話からさっと見せて、そこで特別なアクセスを得ることができる。また同様に、メタバースは企業の顧客や見込み客の体験を統合することができる。

 

「バーチャルイベントは今後も続くだろう。メタバースは、費用対効果、アクセス、柔軟性といったバーチャルの長所と、インタラクティブ、コラボレーション、ソーシャルといった対面の長所を組み合わせることで、こうした体験をさらに高めるだろう」と同氏。「3Dに適したイベントもあるが、マーケティング担当者は、顧客とつながるための新しいクリエイティブな方法を取り入れることで、より多くの人々にアプローチすることができる」と語った。

 

小さなことから始める

B2Bマーケターはメタバース戦略をゼロからどのように始めるべきか?

「アドバイスとしては、小さなことから始めることだ」とSavage氏は言う。「メタバースはまだ十分に理解・活用されていないため、B2Bマーケターはメタバースイベントに参加し、この分野のイベントコーディネーターと会い、既存の拡張現実プラットフォームや技術を使って実験することで、インスピレーションを得ることができるだろう」と続けた。

 

また、「メタバースでイベントを開催するには、ハードウェアやセキュリティなど技術的なハードルがあるが、マーケティングツールとしてメタバースに戦略的にアプローチするブランドにとっては、リスクを上回るメリットがある」とも述べている。

 

気にかける理由

まだ初期段階だが、メタバースは従来のマーケティングチャネルを破壊する可能性を持っている。eコマースが従来の小売業を根こそぎ破壊したような規模ではないにせよ、競争力を維持するためには、消費者ブランドやB2B企業のマーケターは、少なくともメタバースにフラグを立てておくべきだということだ。

 

Salesforceなどの大手マーテック企業がメタバース関連のサービスを提供しているため、競合他社はすでに独自のメタバース戦略を構築している可能性が高い。

 

※当記事は米国メディア「Martech」の6/8公開の記事を翻訳・補足したものです。