BtoB企業にとってのインフルエンサーマーケティングとは | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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マーケティング
2018/05/28

BtoB企業にとってのインフルエンサーマーケティングとは

インフルエンサーマーケティングは、B2C企業にとってのみ有効な手法なのだろうか?デジタルコンサルタントMichael Brito氏は、非常に効果的なインフルエンサーマーケティングの原則をB2B市場にどのように応用できるかを説明する。

2017年に実施されたAssociation of National AdvertisersPQ Mediaの調査によると、2016年に企業がインフルエンザマーケティングに費やした総額は810億ドルであり、2020年には1010億ドルに達すると予測されている。

その投資総額における、B2CとB2B企業の支出内訳については言及されていない。しかし現在、インフルエンサーマーケティングが不可欠なマーケティングプログラムとなっていることは明らかである。

一般消費者を訴求対象とする製品やサービスを提供するB2C企業にとっては、キャンペーンを実施する際に、有償で「雇用」し、活用できる影響力のある消費者(クリエイターと呼ばれる)が何千人も存在する。OpenInfluenceCleverのようなインフルエンサーマーケティングエージェンシーを通じて、オプトインインフルエンサーネットワーク内の何千人ものインフルエンサーにアクセスすることが可能なのだ。企業は、アイデア、もしくはキャンペーンと、ある程度の予算を準備するだけでいい。さらに素晴らしいことに、B2C企業はマーケティングプログラムの効果を即座に追跡することができる。

 

B2Bの場合は何が違うのか?

B2Bブランドにとって、インフルエンサーマーケティングは容易ではない。テクノロジーやビジネス分野のインフルエンサーは、SaaS(サービス型ソフトウェア)プラットフォームの動画を撮影したり、データセンターの写真を撮ったりすることができるわけではないし、すぐに売上増加に貢献する訳でもない。また、B2Bのバイヤーは、SnapchatやInstagramで大きな影響力をもつインフルエンサーを信用していない。インフルエンサーがIT業界で仕事をしていれば話は別だが、そのようなケースはほとんどないだろう。

通常、B2BのバイヤーがInstagram投稿内のリンクをクリックし、企業のWebサイトにアクセスし、ソフトウェアを購入するようなことはないだろう。B2Bバイヤーが購入に至るプロセスは、レビューを読んでスペックを検証し、あらゆる情報をネットで検索することから始まる。また、商品やサービスを知るきっかけとなるのは、同業者や同僚との会話である。購入に至るまでに技術的な調査を行い、質問し、それぞれのネットワークでアイデアを交換するのに、数時間、数日、時には数ヶ月を費やすのだ。

企業向けソフトウェアの平均販売サイクルは、最短で6ヶ月である。ソーシャルメディアによって、その販売サイクルは加速しているが、依然として消費者向け製品のサイクルよりもかなり長い。B2Bバイヤーがベンダーにコンタクトする時点では、購入までのプロセスの3分の2は終了していると言われる。そして、ベンダーの製品性能が基本的な技術要件を満たしている場合のみ、バイヤーはベンダーに連絡する。

 

B2B業界でのインフルエンサーの活用法

残念なことに、B2B製品の購入に関する決裁者にリーチすることは容易ではない。彼らは教養があり、高学歴、さらに営業とマーケティングに関しては懐疑的である。つまり、B2B製品の決裁者の疑念を払拭する最も効果的な方法は、信頼できる第三者であるインフルエンサーによって彼らの意思決定に影響を与えることなのだ。次のデータポイントについて考察してみよう。

  • Nielsen Catalina SolutionsTapInfluenceが実施したケーススタディによると、インフルエンサーによってシェア、または作成されたコンテンツのROI(投資収益率)は、12ヶ月後時点で、平均的なディスプレイ広告より11倍高いという。
  • Linqiaの調査によると、2017年にインフルエンサーマーケティングを実施したマーケターの92%が、オーディエンスにリーチするのに効果があったと回答した。
  • 2016年に、Altimeter ResearchとTapInfluenceが実施した調査では、マーケターの71%が、現在行われている”アンバサダーの活用”がインフルエンサーマーケティングの最も効果的な形態だと回答している。

 

インフルエンサーマーケティングの効果は信頼できるものであるが、B2B企業ではどのように実行されているのだろうか?「90-9-1の法則」を理解することから始めよう。

 

2006年に、GuardianのCharles Arthur氏は「100人のグループがオンライン上に存在した場合、コンテンツを創造するのは1人であり、10人がそれにコメントしたり修正したりといった反応をし、他の89人はただ閲覧するだけだ」という「90-9-1の法則」について初めて言及し、説明した。

それ以来この「90-9-1の法則」は、オンライン上のユーザーグループを特定、セグメント化、および活性化するためのさまざまな手法に採用されている。私は、大手B2B企業のインフルエンサーマーケティングプログラムをテストし改良する中で「90-9-1の法則の定義」に変更を加えた。

  • 1%のインフルエンサー:オピニオンリーダーとコンテンツ制作者のこと。消費者向け業界では、「トレンドセッター」と呼ばれる。インフルエンサーが、オンライン上で、どのようなトピックについてであっても、書き込んだり、Snapchatで共有したり、ツイートしたり、公開したりした場合、彼らの属する市場の大半にリーチすることが可能だ。インフルエンサーは新しい市場や、バズワード(例えば、 “デジタルトランスフォーメーション”や “エンタープライズ2.0″)と新しい製品カテゴリを生み出すことができる。5年前、インフルエンサーグループは従来型メディアと大手アナリスト企業で構成されていた。しかし現在は、メディア、著者、コンサルタント、中及び上ランクのアナリスト、そして特定の視点と一定の教養と多くのオーディエンスを獲得していれば、誰でもインフルエンサーになることができる。
  • 9%のプロモーター:プロモーターグループは、ソーシャルメディアで非常に活発に活動する。彼らはRedditのようなフォーラム上でも、とても積極的に参加している。プロモーターは、コーヒーショップ、消費財、スニーカーといったありとあらゆる製品やサービスを勧める。あらゆることについて独自の視点を持ち、彼らに興味を持っている誰とでも無償で見解を共有する。時には、コミュニティ内で特定の企業に関する自らの体験談を、良いか悪いかにかかわらず過度に共有することもある。プロモーターは、ニュースレターの購読を登録し、AmazonやYelp(口コミサイト)にレビューを残し、コンテンツをダウンロードし、コメントし、シェアする。自分の見解を仲間に正確に示すために、あらゆるアクションを起こすのだ。この9%は、対話を生み出したり中断させたりする可能性のあるオーディエンスである。
  • 90%のマーケット:前述以外の全ての人である。膨大な予算があれば、出稿費300万ドルのスーパーボウル広告で、この90%オーディエンスに簡単にリーチすることができる。90%のマーケットは、コンテンツを消費するのが専門である。あらゆることをオンラインで購読し、学び、吸収する。全てをGoogleで検索し、新製品の発見やレビューの閲覧、ニュースコンテンツの購読をする。何も投稿しないし、オンライン上の対話に参加することもない。しかし、彼らを無視してはいけない。なぜなら、彼らの強みは「数」であるからだ。「90-9-1の法則」の90%によって、他の1%のインフルエンサーと9%プロモーターグループによる企業に対する体験談が、どのくらい説得力があるかが決定されるからである。全ては、90%の購買力と購買行動に基づいているのだ。

「90-9-1の法則」は、大企業であれ中小企業であれ、あらゆる企業に影響を及ぼす。しかしグループ毎に区別することは重要である。企業が一般消費者と同じように、インフルエンサーに対応し、コミュニケーションを取ることはできない。しかし、これらの3つのオーディエンスグループごとに違いはあるものの、それぞれがコンテンツエンジンで重要な役割を果たしている。インフルエンサーやインフルエンサーグループと積極的に関わり、企業や製品について発信させることができれば、市場全体にリーチできる可能性がある。

 

インフルエンサーに求めるべきもの

インフルエンサーマーケティングのプロセスは、適切なインフルエンサーを特定することから始まる。残念ながら多くのマーケターは、どのインフルエンサーグループを活用するか決定する際に、1つのデータポイント(通常は「リーチ」であることが多い)のみを考慮している。しかし有効な指標はリーチだけではない。以下の点も考慮する必要がある。

  • リーチ:インフルエンサーのすべてのデジタルチャンネル(ブログ、RSS購読者、寄稿、ソーシャル)におけるソーシャルコミュニティの大きさはどのくらいか?インフルエンサーのコンテンツが実際にフォロワーのフィードに表示されているか確認するためには、リーチが重要だ。
  • 関連性:インフルエンサーが、企業の事業内容と一致したトピックやキーワードに言及し、企業の属する業界について説明する頻度はどれくらいか?関連性とは、インフルエンサーが頻繁に「特定のトピックに言及していること」を示す。6か月前に1つの記事をシェアし、その話題から遠ざかっている場合は関連性があるとは言えない。
  • 共鳴性:インフルエンサーが作成したコンテンツは、インターネット上でどの程度広まるだろうか?他のオーディエンスがそのコンテンツにエンゲージしているか?共鳴性の指標を用いることにより、「大きいコミュニティを持っているがエンゲージメントが低い」インフルエンサーを除外することが可能だ。実際よりも影響力のあるように見せかける怪しい手段を使うインフルエンサーも存在する。
  • 参照性:他のインフルエンサーによって参照されているかどうか?言い換えれば、自社マーケティングプログラムで活用している他のインフルエンサーによって、コンテンツがシェアされたり、コメントされたり、「いいね」されたり、リツイートされたりしているかという点を考慮しなければならない。

Onalyticaは、インフルエンサーの特定に役立つツールの1つである。Onalyticaは、経歴とコンテンツの両方を検索できるユニークなプラットフォームを有している。例えば、人工知能について詳しい編集者、ジャーナリスト、エンジニアなどのインフルエンサーを簡単に探すことができ、同時に彼らのコンテンツをプレビュー確認することができる。

 

自社の特定の市場を理解しインフルエンサーマーケティングの目標が何であるかを認識すれば、最も効果的なインパクトをもたらすインフルエンサーを探すための調査にかなりの時間を要することがわかるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の5/21公開の記事を翻訳・補足したものです。