ブランドの成功に欠かせないオーディエンス・ディベロップメントに関するマーケター向けガイド

 

49億5,000万人のインターネットユーザーが利用する情報は膨大な量であり、新たなコンテンツはどんどん生み出されている。この中で差別化された魅力的なコンテンツを制作するには、相当な時間と労力を要する。こうした状況において、オーディエンスを惹きつけ、顧客基盤をさらに発展させる戦略を練ることは非常に重要である。

 

コンテンツの最も強力な経路の一つであるソーシャルメディアが、我々の関心を低減させる影響力を持っているというのは皮肉なことだ。膨大な数のコンテンツが短いアテンション期間をめぐって競い合う中、オーディエンスの関心を維持することは、ますます困難な課題となっている。だが、しっかりとしたオーディエンス・ディベロップメント計画を立てることで、この問題に対処することができる。

 

オーディエンス・ディベロップメントは、量だけが問題ではない。もちろん、マーケターにとってはアクセスがあることが好ましいが、クリック一つで競合他社にアクセスできる環境では、信頼と本物の価値交換に基づくより深いエンゲージメントが、プレミアムな価値を有する。価値交換には、プロモーションメッセージだけでなく、オーディエンスのニーズを満たす価値のあるコンテンツの配信が必要である。また、オーディエンスを増やし、さらにリピーターであり続けてもらうためには、パフォーマンスメトリクスと最適化を行う必要がある。

 

オーディエンス・ディベロップメントとは何か

「オーディエンス・ディベロプメント」とは、広義には、オーディエンスをビジネスに惹きつけ続けるためのプロセスをいう。それは、新しい消費者にブランドに注目してもらうことから始まり、彼らを顧客に変え、最終的には、その顧客のロイヤルティを育むための長期的な関係を構築する。つまり、オーディエンス・ディベロップメントは、顧客をブランドに惹きつけ、長期にわたってあなたのビジネスへのロイヤルティを維持するためのタイムラインであると捉えてほしい。

 

業界やビジネスモデルに関わらず、ビジネスを成功させるには顧客が不可欠であり、オーディエンス・ディベロップメントの最終目標は、最終的にコンテンツのオーディエンスを有料顧客に変えることだ。最終的にその目標を達成するためにどのようにオーディエンス・ディベロップメント戦略を採用するかは、あなたのビジネスのコンテキストによって異なる。

 

あらゆるニッチに対応するコンテンツが制作されていることから、競合他社と差別化し、オーディエンスを惹きつけ続けることは困難だ。効果的な戦略を立てるには、現在の顧客基盤とその中のセグメントを詳細に理解する必要がある。そのためには、オーディエンスを第一に考え、彼らの視点から考えることが必要だ。

 

インパクトのあるオーディエンス・ディベロップメント

最良の戦略は常にコンテキストに特化したものであるが、ほとんどのオーディエンス・ディベロップメントの取り組みに役立つ一般的なガイドラインがある。しかし、マーケターは、顧客の特性や自社の外部環境の変化に留意する必要がある。消費者に最大限のインパクトを与えるために、使用する戦略はダイナミックで適応性を有するものであるべきだ。

 

 

ここでは、インパクトのあるオーディエンス・ディベロップメント戦略を策定する際に考慮すべき要素をご紹介しよう。

 

オーディエンス層を把握する。 最初のステップは、あなたのオーディエンスが誰なのかを把握することだ。どのような顧客をあなたのブランドに惹きつけたいだろうか。次に、顧客を年齢、性別や地域などのセグメントに分類しよう。どのセグメントが最もブランドとのエンゲージメントが高いかを把握しよう。このセグメントをさらに発展させたいだろうか。もしかしたら、そのセグメントはすでに飽和状態になっていて、新たなターゲットセグメントを追い求める方が理にかなっているかもしれない。

 

このプロセスに役立つのが、競合他社のベンチマークだ。例えば、競合他社はどのようなコンテンツやキャンペーンを展開しているか、誰をターゲットにしているか。競合他社のオーディエンス・ディベロップメント戦略を注視することで、どのセグメントが最も反応が大きいかを特定し、そのデータを自社の戦略に役立てることができる。

 

コンテンツ戦略を練る。 自社の顧客層を把握し、自社の業界のマーケティング手法に精通することで、オーディエンスの共感を呼ぶコンテンツの開発が格段に容易となる。ウェブサイト用のコンテンツ制作、オーディエンスへのメール送信、オーディエンスとつながるためのソーシャルメディアプラットフォームの活用など、マルチチャネル戦略を使うことができる。若い消費者をターゲットにする場合は、Twitch(Amazonが提供するライブ配信サービス)やTik-Tokなどの新興プラットフォームを使うと効果的だ。

 

 

コンテンツチームを明確にする。 誰がコンテンツを制作するかを明確にしよう。コンテンツが顧客に提供する価値は非常に重要だ。求めるコンテンツの開発に長けたマーケターのチームが社内にいるだろうか、それとも外部のリソースを採用する必要があるだろうか。複数パートに分けたキャンペーンを行うのか、それとも1回限りのキャンペーンとするのか。さらに、効果的なコンテンツを制作するために、適切なコンテンツ管理ツールを使用することが重要だ。

 

メトリクスを追跡し、最適化を行う。 コンテンツ管理ツールを使用して、コンテンツやキャンペーンのメトリクスを追跡する必要がある。一投稿あたりの閲覧数、クリック数、読了数や「いいね」の数はどれくらいだろうか。このデータは、今後のコンテンツを微調整し、投稿の都度、その改善に役立つ。良いコンテンツであったとしても、ターゲットオーディエンスにリーチしなかったり、エンゲージできなかったりしたら、それを使うことは無駄である。

 

検索エンジン向けにコンテンツを最適化することは、エンゲージメントの創出に不可欠だ。販売する商品やサービスについて、Google検索に表示される可能性の高いキーワードやフレーズを自社の記事に含めるようにしよう。各プラットフォームには、トラフィックを最大化するためにコンテンツを最適化する独自の方法があるため、これらの違いをよく理解しておく価値はあるだろう。例えば、TwitterやInstagramを利用する場合は、適切なハッシュタグとキャプションを使用することで、多くの人にリーチすることができる。

 

テクノロジーを駆使したオーディエンス・ディベロップメントの最適化

データとテクノロジーは、オーディエンスを理解し、オーディエンス・ディベロップメント戦略を最適化するのに役立つ。早い段階でデータを活用し、顧客を理解する企業は、競合他社よりも一歩先を行っている。

 

マーケティング・アナリティクスは、企業がメトリクスを追跡し、インパクトのある戦略を開発する能力を大幅に向上させた。たとえば、マーケティング・アナリティクスツールは、さまざまなメトリクスでキャンペーンのパフォーマンスを測定し、それらのインサイトを使用してコンテンツを最適化するための最善の方法を教えてくれる。また、これらのツールは、キャンペーンをウェブサイトのトラフィックをリンクさせることで、全体像を把握することもできる。これにより、マルチチャネルのアプローチを追跡し、どの戦術とキャンペーンが顧客の行動に最も大きな影響を及ぼしているかを理解することができる。

 

トピック分析ツールは、ターゲットとなるオーディエンスがオンラインでどのように行動するかを示してくれる。これらのツールは、顧客の注目を集めるのに最適となる戦略を開発するためのオンラインペルソナの作成に役立つ。さらに、分析ソフトウェアを使用すれば、各キャンペーンの成功を追跡し、改善すべき分野を特定することができる。例えば、Google Analyticsは、訪問者があなたのサイトにどのようにエンゲージされているかについて、データに基づいたインサイトを提供する効果的なツールだ。一般的な指標としては、顧客がサイトにアクセスした時間、最初にクリックしたページ、そして、コンテンツを消費するのに費やした時間などがある。また、顧客の年齢、性別や所在地などの基本的な人口統計データを追跡することにも役立つ。

 

このようなツールから得られたデータを活用することが、効果的なオーディエンス・ディベロップメント戦略のバックボーンとなる。データと分析ツールは、オーディエンスの理解からコンテンツの制作や追跡に至るまで、あらゆるプロセスにおいて重要な役割を果たしている。

 

オーディエンス・ディベロップメントは、どのようにあなたのビジネスに価値を与えるか

エンゲージメントのあるオーディエンスは、あなたのコンテンツを積極的に探す可能性が高くなる。また、あなたの商品を購入したり、クチコミで他の潜在顧客に紹介したりする可能性も高くなる。エンゲージメントのあるオーディエンスは、売上収益に貢献するため、あなたのビジネスにとって非常に価値のある存在となる。

 

オーディエンス・ディベロップメントにおける最も重要な利点は以下のとおりである。

 

顧客獲得: 顧客基盤の拡大はビジネスの成長を決定する重要な要素であるため、マーケティング活動では顧客獲得を主要な目標の一つとして捉える必要がある。これは、リファラルやターゲティング広告によって達成することができる。

 

顧客との関係構築: オーディエンス・ディベロップメントは、関係構築を中心とした定性的なプロセスでもある。マーケター、既存顧客や新規顧客との素晴らしい関係構築に注力する必要がある。

 

顧客ロイヤルティの向上: 既存顧客にリピートしてもらい、競合他社よりも自社のビジネスを選んでもらえるようにすることは、売上を伸ばすための最も効率的な方法の一つだ。新規顧客の獲得にかかる費用は高いため、既存顧客からリピータービジネスを獲得することは、比較的安価な代替手段である。

 

オーディエンスの開拓に投資し、興味深く、付加価値の高いコンテンツを通じて、オーディエンスを効果的に惹きつけることは価値がある。エンゲージメントのあるオーディエンスは、より頻繁に、より価値の高い購入を行う傾向がある。

 

オーディエンス・ディベロップメントについて学ぶためのリソース

ブランドのオーディエンス・ディベロップメントの取り組みに役立つリソースをいくつかご紹介しよう。

 

心理学とより良いデータプラクティスを駆使して、顧客の購買に近づける: 心理学的なインサイトを用いてキャンペーンを最適化することで、時間を節約し、競争力を高めることができる。

 

ファーストパーティのデータマーケティング戦略への移行方法: マーケターは、サードパーティのデータ戦略からの移行を検討する時期に来ている。

 

ダイバーシティとインクルージョンは優れたビジネスだ: 多様性は、株価と収益のパフォーマンス、雇用と定着率、そして顧客獲得とロイヤルティを向上させる。

 

バーチャルイベントに関心を持つ理由: デジタル化が進む中で、バーチャルイベントについて知っておくべきこと。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の6/1公開の記事を翻訳・補足したものです。