LendingTreeの最高マーケティング責任者兼カスタマーエクスペリエンス責任者であるShiv Singh氏は、「取引上の価値だけでなく、高揚感をもたらす体験は、その企業への親近感を高めることに役立つ」と述べている。
1月、米国に本社を置く金融関連オンラインマーケットプレイスLending Treeは、Shiv Singh氏を初の最高マーケティングおよびカスタマーエクスペリエンス責任者に任命した。Singh氏は、SVP兼ゼネラルマネージャーを務めたExpedia Group(米国のオンライン旅行会社)を経て同社に入社。また、メディカルテクノロジーのスタートアップであるEargoのCMOを務めたほか、Visa(米国の決済ブランド運営企業)、PepsiCo(米国の多国籍食品・飲料品製造企業)、Razorfish(Publicis Groupeのインターネット広告代理店)でも要職を歴任している。
CX(カスタマーエクスペリエンス)は、マーケティングにおいて見過ごされがちであるため、今回のLendingTreeでの新しい複合的な役職に対するSingh氏のアプローチについて話を聞くことに非常に興味をもった。
LendingTreeでは、どのようにして最高マーケティング責任者およびカスタマーエクスペリエンス責任者という役割が生まれたのか?
パンデミックが始まるまでは、CMOは存在していたが、CXの最高責任者ではなかった。前任のCMOが去った際に、当社は将来に向けた正しい体制がどのようなものであるべきかを決断した。創設者/CEOのDoug氏は、これからのマーケティングにおいて大きなポイントとなるのは、デジタルチャネルにおける収益の創出とパフォーマンスの両面において効果的に機能することであると考えている。
なぜ、組織におけるCXの重要性がマーケティング全体と同等なのか?
私たちは、新しいこのチームを、無駄がないが重要であり、驚くほど成功したマーケティングチームにすることを目指している。それに加えて、ブランドをより強力にバックアップし、カスタマーエクスペリエンス全体をブランドにとって効果的に機能させることが重要だと考えている。私たちは、GoogleとAppleの影響により、消費者として、楽しく快適な体験を期待する時代に生きている。取引上の価値だけでなく、気分を高揚させる経験を持つことで、私たちは組織に親近感をもつことができるのだ。
Lending Treeでは、オーディエンスに対する顧客中心主義を実現しているのか?また、顧客と接する際には、どのようにそれを伝えているか?
Lending Treeは、顧客重視という点で素晴らしいレガシーを有している。以前は、レートを比較するために、ある銀行から別の銀行に物理的に移動する必要があった。しかし、もっと良い方法があったはずだ。Lending Treeは、「銀行が競争すれば、あなたのメリットとなる」というメッセージによって、早い段階で成功を収めた。それはメインストリート側に立つということであった。私たちは、消費者の個人的な財務状況を把握し、彼らにどの金融商品を利用すべきかを案内することができる。つまり、消費者側に立つということである。Lending Treeのビジネスは、ビジネスローン、保険商品、学生向けソリューションなど、非常に大きく成長したが、それでも私たちのDNAの根底には、より複雑になった金融の世界において、消費者の側に立ち、彼らの究極の支持者であるということが今でも強く残っているのだ。
金融サービス分野、さらにはより広い意味での文化的な面でも、非常に多くのノイズがある。その上、私たちの国の歴史上で最も偏った意見もある。その結果、人々は誰を、そして何を信頼すればよいのかわからなくなっているのだ。Lending Treeの歴史の中で、今の状況を考えるとき、消費者に対し、なぜ私たちが彼らの財務を信頼して任せられる最良な会社であるかを思い出させるということになる。ファイナンスは非常に個人的なものである。私たちは顧客に情報を提供し、教育し、そして上手くファイナンスを管理すれば、ある意味で人生観をも変えることができるポジティブな経験になるというメッセージを伝えている。私たちは、個人の経済が生活の中で果たす役割を再定義している。私たちは他のブランドよりも高い目標に向かって活動しているのだ。
こうしたメッセージを発信するため、私たちは、ディスプレイ広告では国内トップ、検索広告ではトップ10に入る広告を出稿し、ビジネスでは新規顧客獲得、そしてサービスを提供するために、非常に効果的に機能している。チームは素晴らしい仕事をしているが、限界に挑戦するためにやるべきことはまだ多くある。チームの1/3のメンバーは、私よりもTikTokを熟知している。彼らはTikTokの世界に生きることに長けており、消費者を金融の世界へ引き付けている。また、分析、CRM、アドテックインフラストラクチャのいずれにおいても、非常に洗練されたマーテックスタックを備えている。私たちは常に評価と査定を行い、CXに新たな焦点を当て、すべてのチャネルを連携させているのだ。
※当記事は米国メディア「MarTech」の3/11公開の記事を翻訳・補足したものです。