HeydayのCMOであるReema Batta氏とAmazonの専門家であるJason Boyce氏に、競争の激しい市場において大きな成果が得られるeコマース戦略を聞いた。

 

Amazonは、売り手にとってますます競争の激しい場所となっている。それでもマーケターは、適切な戦略によってブランドを成功に導くことができる。

 

ブランド構築プラットフォームを提供する米国企業のHeydayは、成功を収めている多くのD2Cブランドと提携し、顧客と認知度を高めるべくAmazonに集中的に取り組んできた。同社のきめ細かい戦略は新しいブランドの成長を助けとなり、2020年の創業以来、提携ブランドのいくつかを買収し、その過程で投資家から8億ドルの資金提供を受けた。

 

Amazonでの競争は厳しいが、今なお、ブランド立ち上げに適した場所である

Amazonは、D2Cブランドやeコマース販売業者にとって依然として主要なサイトであり、米国におけるオンライン販売の約40%を占めている

 

これは、ブランドにとって、Amazonが製品を発売し、顧客とつながる場所であることを意味する。

 

「当社の基本戦略は、次世代のコンシューマーカンパニーになることだ」と、HeydayのCMOであるReema Batta氏は話す。「我々は、マーケットプレイスネイティブであり、持続性のある、使い勝手がいいホームブランドを開発している」。

 

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また、Heydayは、同社が先日発表したように、ヘルス・美容、家電製品、スポーツ・アウトドアブランドなど、主要カテゴリーのブランドに戦略を集中させている。同社は、新しいブランドと提携し、Amazonでの展開をスタートし運営を行う。そして、この市場での専門知識を活かして、継続的に成長できると確信するブランドを買収する。

 

「我々のアプローチは当初から一貫している」と、Batta氏。「我々は、10倍に成長させることができるという強い確信を持った、相性の良いブランドを買収していく」。

 

模倣品やAmazonジェネリックブランドとの競争

新しいブランドは、Amazonでの競争の激しさにやる気を削がれるかもしれないが、適切な立ち上げ戦略を実行すれば、得られる見返りは、満足のいくものとなるだろう。

 

eコマースの専門家であり、「The Amazon Jungle」の著者でもあるJason Boyce氏は、既存のブランドも新規参入者も、危険を覚悟でAmazonを避けていると話す。消費者は、すでにAmazonでこれらのブランドを検索して購入しようとしており、セラーは、そのブランドの市場シェアに食い込むような大幅に値引きされた在庫、ジェネリック製品、さらには模倣品などを用意して待ち構えているからだ。

 

「自分を守るには、独自のブランドを確立し、他と差別化することだ」とBoyce氏は話す。「例えば、中国の工場やAmazon自体から自分のブランドを守れば、より安心だ」。

 

Amazonサイトで最も売れているブランドと競争するために、自社製品を開発しているのが今のAmazonの実態だ。昨年のレポートによると、Amazonは、インドでの事業においてはさらに、Amazonブランドの競争力を高めるために自社サイトの販売者から得たデータを使用しているという。

 

このようなAmazonブランドとの競争において、ブランドが取るべき最良の道は、顧客により良い価値を提案し、より高品質の製品を開発することだと、Boyce氏は述べる。顧客エンゲージメント、ユーザーのコメントや Amazonでの売上は、マーケターがこの競争に直面しても優位性を維持するために利用できるデータを生み出す。

 

ブランド構築のためのデータシグナルの活用

「立ち上げたブランドのパフォーマンス、レビューや収益に関するデータを収集することで、非常に強力なフィードバックループが作られる」と、Batta氏は述べる。「また、Amazonのマーケットプレイスでは、価格に関する定量的なフィードバックと、コメントから製品やパッケージに関する定性的なフィードバックを得ることができる」。

 

このデータを活用することで、マーケターはパフォーマンスを向上させ、Amazonでのランクを上げることができる。

 

「すべてのプラットフォームには異なるシグナルがあり、微妙な違いがある」と、Batta氏は説明する。「そして、そのプラットフォームを自社の利益のためにどのように活用するかは、マーケターと創設者次第だ」。

 

AmazonがHeydayにとって魅力的なプラットフォームである理由は、従来の小売チャネルを重視する消費者財商品などの大手ブランドには十分に活用されていないと同社が考えているからである。

 

「Amazonは、スケールや市場参入といったあらゆるメリットを提供し、新たなインサイトを引き出してくれるため、我々にとって重要な存在だ」とBatta氏は話す。「私は、FacebookやGoogleには、非常に重要な点が1つ欠けていると考えている。それは、それらのプラットフォーム上で取引する能力である。Amazonは、それらすべてをまとめ、クローズドループのカスタマージャーニーに一歩近づけた。これは非常に驚くべきことだ」。

 

Amazonからの卒業

Amazonでブランドを立ち上げると、マーケターは、市場データを分析し商品開発やブランディングに活用することで、フィードバックループを開始する。

 

Heydayのプラットフォームでは、このAmazonのパフォーマンスデータを、商品開発のみでなくオムニチャネル展開にも活用している。また、MIT Center for Transportation & Logistics(米国マサチューセッツ工科大学にあるサプライチェーンに関する教育研究機関)とパートナーシップを結び、プラットフォームの在庫最適化機能を強化している。

 

ブランドがAmazonで市場シェアを拡大すれば、新たな流通チャネルやメディアチャネルを開拓し、自社のD2Cサイトへのトラフィックをもたらすこともできるようになる。そこから、独自のブランドチャネルを通じて顧客とのより深い関係を築いたり、実店舗との従来の小売関係へと拡大したりすることができる。

 

しかし、重要なインサイトは、Amazonの熱心な購入者による星評価やレビューから得られるものだ。

「まずは、AmazonのカスタマーQ&Aにあるコメントだ」と、Batta氏。「これらのコメントはどのように活用することができるだろうか。これは、商品を購入した人からの非常に参考になるコメントであり、マーケターが商品の使用状況を把握するのに役立つものである。レビューには、このような素晴らしいインサイトがあふれているのだ」。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の2/25公開の記事を翻訳・補足したものです。