視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社は、「ニールセン オンラインショッピングレポート2021」のデータをもとに、2021年の日本におけるEC利用動向を発表した。

 

 

オンラインでは、過去購入したことのないブランドを購入する割合が高い

 

 

Nielsen Commspointによると、米国の消費財市場では、実店舗で「過去に購入したことのないブランド」を購入する割合はわずか4.3%だったのに対して、オンラインでは、12.1%と約3倍になった。また、日本市場も同様に、オンラインでは過去に購入したことないブランドを購入する傾向が見られ、化粧品を実店舗で購入した13%が過去に購入したことのないブランドを選択したのに対し、オンライン購入では過去購入したことの無いブランドを購入した人は22%にのぼった。日用品の場合でも、実店舗の7%と比べてオンライン購入では19%と、倍以上となった。特に若年層の化粧品の購入においては、オンラインで新しいブランドを購入する可能性は高く、実店舗購入と比べると新しいブランドを購入した人は約2倍となる。

 

EC利用の拡大により、消費者が実店舗で過ごす時間が少なくなると、従来、実店舗で行われていたブランド体験をオンライン上のマーケティング活動で補う必要性が高まっていくことになる。そこで、消継続的に消費者が自社ブランドを購入し続けてもらうために、マーケティング担当者は、商品購入のニーズが現れた際に真っ先に想起されるよう、事前にアッパーファネルマーケティングを通して認知を高めておくことが重要となっていくだろう。

 

 

実店舗での購入においてもオンラインの重要性が増加

 

 

また、購入場所だけでなく、実店舗での購入においてもオンラインは重要な情報源となっており、化粧品においては、実店舗で商品を購入した場合、その商品を実店舗で認知したという人が36%を占め、34%もの人がオンラインで認知していた。一方、日用品においいては、実店舗で商品を購入し、商品を実店舗で認知したのが40%、22%がオンラインで認知しており、化粧品よりも差がでた結果となった。

 

さらに、検討段階においても、実店舗で化粧品や日用品を購入した人の10%前後が、検索サービスやオンラインショップなどのオンラインサービスを活用しており、店舗で実際に手にとって商品の使用感を確認する代わりに、オンラインで代替しているケースもあるといえる。そして、実店舗での体験だけに頼ることができなくなった環境では、ブランド体験をオンラインで提供し、購入の意思が現れた時に真っ先に想起してもらえるように潜在的な顧客にアプローチすることが、自社ブランドを選択してもらうための一つの手段となる。

 

 

 

 

さらに、同じ商品やターゲットの属性によって活用されるオンラインプラットフォームも異なるため、マーケティング担当者は自社ターゲットの動向を理解し、使用するプラットフォーム見直すことも重要だ。今回、商品を検討する際に利用するサービスの調査で、18-34歳では30%が商品の購入を検討する際にTwitterやYouTubeを活用しているのに対し、35歳以上では検索エンジンやオンラインショップを活用する傾向があった。

 

このため、ターゲットが商品を検討する際に求める情報が異なるのに合わせて、ターゲットにアプローチできる適切なプラットフォームを見直す必要がある。ターゲットのメディア利用状況を把握し、ソーシャルメディアプレゼンスを高めるべきか、それともSEOに力を入れるべきか、認知や検討などの指標を最大化するためにどのようなプラットフォームを活用すべきかといった判断を行い、そして、これらの特徴を正しく理解して、自社商品の情報がターゲットに適した内容やフォーマットや、最適なプラットフォームで提供されているかを再確認する必要がある。

 

 

 

「オンラインでは、過去購入したことのないブランドを購入する割合が高い」「実店舗での購入においてもオンラインの重要性が増加」の傾向からアッパーファネルマーケティングの重要性は今後さらに増していくと考えられる。また、消費者が新しいブランドや製品と接触する場所は、性年代などの属性やライフスタイル、興味関心などで大きく異なり、日々変化しており、ブランド指標を向上させ、長期的な売上達成を実現するためには、ターゲットのメディア利用状況や動向を正しく把握し、ターゲットに適したコミュニケーションプランを考案することが今後更に重要になっていくとのこと。