なぜアジャイルが今後のマーケティングの新しい基盤になりつつあるのか。

 

MarTechの編集ディレクターであるKim Davis氏は、MarTechカンファレンス(マーケターに向けたマーケティングテクノロジーの総合カンファレンス )において、「アジャイルマーケティングマニフェスト」の改訂について業界のリーダーと議論を行った。これらの変更の多くは、先日開催された、世界中から80人を超えるアジャイルマーケターが集まったバーチャル集会での出来事に端を発している。

 

AIContentGen(コンテンツ制作ツールの提供等を手掛ける米国マーケティング企業)の共同創設者であるJohn Cass氏は、同マニフェストに必要なアップデートを行った集会であるSprintTwo会議について次のように語った。「最初の会議は2012年に開催された。我々はアジャイルの実践が当時のマーケターに必要だと感じたため、その年の会議でマニフェストを策定した」。

 

SprintTwo会議に出席したマーケターに、アジャイルマーケティングのコアバリューは何だと思うかを尋ねた。彼らの回答からは、アジャイルには、マーケティング全体の将来を形作る可能性があると感じられる。

 

画像:アジャイルマーケティングのバリュー(案)

注記:セッションの後、「バリュー」の内容は最終合意に達した。

アジャイルマーケティング・バリューの重要性

アジャイルマーケティングのバリュー案は、業界の方向性について多くのことを語っている。それは、マーケティング分野におけるトップの専門家たちが、アジャイル方法論がどのように消費者とブランドの関わり方を形作ると考えているかについての概略が示された。

 

「これらのバリューは、あらゆることの基本だ」と、化学・電気素材メーカー3MのマーケティングマネージャーであるGiannina Rachetta氏は語る。「マーケターは考え方を変える必要がある。これまでのマーケティングのやり方と決別し、製品開発側の同僚がうまく取り入れてきたことを実行するのだ」。

 

しかし、これからの進むべき道について、誰もが同じ考えを持っているわけではない。それは、マーケティングのどちら側で活動しているかによる。

 

「人は、自分のいる世界から自分の視点で捉える」と、Agility Coaching&Training(マーケター向けのコーチングやトレーニングを提供する米国コンサルティング企業)のオーナーであるStacey Ackerman氏は述べている。「もし会社で働いているのなら、その用語が自分のいる組織でどのように解釈されるかという視点で捉える。そして、間違った捉え方をされることはよくある」。

 

「だが、最終的には満足のいく結果となった。ほとんどの人々から、我々のコミュニティにあるべき有意義なバリューであるという前向きなコンセンサスを得たのだから」と同氏は付け加える。

 

顧客中心主義を理解する

アジャイルマーケター、そして一般的なマーケターが直面する最大の問題の一つは、顧客にどのように対応するのがベストであるかということだ。ほとんどのマーケティングの専門家は、顧客があらゆるキャンペーンの中心であるべきだということに同意しているが、「顧客中心主義」を正確に定義する最善の方法を知っている人はほとんどいない。

 

「つまり、マーケティング用語の問題もあるが、もう一つは人々が直面している問題だ。非常に多くのデジタルトランスフォーメーションが行われている今、カスタマージャーニーについて考える必要がある」とCass氏。

 

関係の構築は、あらゆるマーケティングキャンペーンの成功にとって重要な要素であり、アジャイル手法においてはさらにその重要度が高まる。変化する消費者パターンに適応できるアジャイル手法は、リレーションシップマーケティングの基礎をなすものだ。しかし、核心として、アジャイルは、会話であれ、カスタマイズされたメッセージであれ、顧客との関係を築くという目的を果たすものでなければならない。

 

「意味のある会話は、組織によって解釈が異なってくる」とAckerman氏。「私は、ツールに頼るのではなく、実際に互いに会話することを考えている。これは、多くの企業でみられる問題の一つだ。彼らは互いに会話する時間を取らないのだ」。

 

変容したアジャイルマーケティングのエコシステム

「高度な(アジャイルマーケティングの)エコシステムがあるということは、より良い仕事をするためのより優れたツールを備えていることを意味する」とRachetta氏は述べている。「より多くのソートリーダーシップをもつことで、知識をもたらし、それを広めることができる」。

 

マーケティングシステムは、適応力のあるフレームワーク、つまり「エコシステム」に組み込まれた場合に発展することができ、マーケターはアジャイル手法に基づくツールが非常に有効であることに気づいている。一部の専門家は、こうしたツールや手法が広く普及したため、すでにアジャイルマーケティングは次の段階に入ったと考えている。

 

「非常に多くの人々がアジャイルマーケティングを試みており、現実の世界で何がうまくいき、何がうまくいかないかを目の当たりにしている」と、Ackerman氏は語る。「アジャイルマーケティングがますます主流になるのは素晴らしいことだ」。

 

しかし、チーム全体にマーケティング業務を変革するよう説得することは難しい。新しいフレームワークを導入する際は常に成果が上がらないという懸念が常にある。だからこそ、アジャイルの実践者は、他部門におけるアジャイル手法の成功を強調する必要があるのだ。

 

「開発者は、常に、自分たちの仕事のやり方におけるメソッドがある」とCass氏。「マーケターには、マーケティングを行うための戦略や方法があるかもしれないが、我々は、マーケティングのやり方についてのプロセスは持ち合わせていない。それは別の問題だ」。

 

「アジャイルが提供するのは、仕事のやり方におけるチャンスであり、そしてマーケティング専門家の大きな問題のいくつかに取り組むチャンスだ」と同氏は付け加える。

 

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※当記事は米国メディア「MarTech」の12/13公開の記事を翻訳・補足したものです。