顧客エンゲージメントを成功させるには優れたデータが必要である

 

マーケティング担当者が直面する最も困難な課題の1つは、購入までの間、顧客のエンゲージメントを維持し続けることだ。それを困難にしている理由には複数の要因が絡んでいるが、データの不備に起因している場合が多くある。

 

データソリューション企業Validity社のマーケティング担当SVPであるKate Adams氏は、MarTechカンファレンスのプレゼンテーションで驚くべき統計を指摘した。「MarketingSherpaによると、毎年25%から30%のデータが不正確になり、セールスやマーケティングキャンペーンの効果を低下させている」。

 

Adams氏は、これらの統計はすべてパンデミック前のものであり、現在はさらに不正確さが増していると示唆している。多くの消費者が変化する日常や状況に直面している今の新しい世界では、これまで以上に効果的なエンゲージメント戦術が必要とされている。

 

ここでは、マーケターがデータを活用し、カスタマージャーニー全体を通じて顧客のエンゲージメントを維持するための効果的な5つの方法を紹介する。

 

データデデュープ

Validity社のOlivia Hinkle氏は、同プレゼンテーションの中で「平均すると、データベースの30%が重複しており、最初からキャンペーン効果を歪めることになる」と述べている。

 

Integrate社の統計によると、リードの15%が重複したデータであるという。フォームと電話でブランドにコンタクトする消費者やチャットとメールの両方でやり取りする消費者など重複した情報がマーケティング業務を混乱させるポイントは多くある。だからこそ、インタラクションのコンテキストを理解することが重要なのだ。

 

「データを使用する場合はいつでも、コンテキストにおいてリードに注目する必要がある」とHinkle氏は述べている。「データは、人とつながるために使用するものであり、クリーンな状態にしておくべきである」。

マーケティング担当者は、データの重複を排除することで、アウトリーチチームに正確な情報を提供し、顧客の体験を向上させることができる。

 

ウェブフォームのコンバージョン最適化

Wordstream社のデータによると、ウェブフォームの平均コンバージョン率は2.5%である。マーケティング担当者の中には、デザイン上の問題が原因だと考える人もいるが、フォーム欄の多さが原因だとする担当者も多い。

 

Adams氏は、「フォームに求める情報が多すぎることが原因のひとつであると考えられる」と述べている。「さまざまなウェブサイトのフォームがますます長くなっている気がする」と続けた。

 

最も適切な顧客情報が収集される限り、フォームの必須項目を減らすことで、マーケティング担当者は完了率の向上させることができる。

 

データの標準化

マーケティングチームのメンバー全員が、キャンペーンデータを同じように入力することは事実上不可能だ。しかし、マーケティング担当者は、データが集まった時点で標準化したプロセスを導入することができる。

 

「誰もが異なる方法でデータを入力する」とHinkle氏は語る。

「私たちは業務をこなす日々を過ごしている。ほとんどの場合、すべてのフィールドのすべての基準を覚えているわけではないため、それらを標準化しなければならない」と続けた。

 

「自社の基準が何であれ、それが周知されていることを確認し、それを使用し、一貫性を保ち、徹底することだ」。

 

パーソナライズされたチャット体験

多くのブランドがチャットサービスを敬遠しているのは、その技術が自社オーディエンスに適していないと考えているからである。しかし、多くの場合、消費者はチャット体験に価値を見出している。実際、92%の顧客が電話や電子メール、ソーシャルメディアと比較して、ライブチャットサービスに満足しているのだ。重要な要素はパーソナライゼーションである。

 

Adams氏は次のように述べている。「これらの変数を利用して、真にパーソナライズされた体験を提供すれば、より満足度の高いチャット体験を提供することができるだろう」。

 

さらに、「データが標準化され、クリーンアップされ、信頼できるものである必要がある」と付け加えた。

 

データの検証

「データを検証しない限り、人とのつながりを構築することはできない」とHinkle氏は語っている。「パンデミック前の数字では、データの30%が崩壊したり、不正確になったりすることがわかっているのであればなおさらである。それらのフォームから生成されたコンタクトデータの65%は無効だ」と続けた。

 

マーケティングオートメーションシステムでデータ検証を使用しないブランドは、より少ない顧客にしかリーチできない可能性がある。そこでHinkle氏は、まず最も基本的な顧客情報の検証に注力することを勧めている。

 

「一番わかりやすいのは、eメールの確認である」と同氏。「取得した時点でプラグアンドプレイが可能だ。また、CRM(顧客関係管理)にアクセスし、有効なeメールかどうかを判断することもできる」。

 

効果的なデータ検証システムを導入すれば、マーケターは、顧客にアプローチするための最適な方法をより簡単に判断することができる。データが不正確でなければ、ブランドは、顧客の興味や行動、その他の提供された情報に基づいて顧客とつながることができる。

 

「そして、重複排除し標準化したセグメントにおいて、メールや電話、住所の確認をすべきである」とHinkle氏。「その結果を記録し、何が返ってきたかを確認することで、どのデータベンダーがより効果的かを見極めることが可能だ」と続けた。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の11/23公開の記事を翻訳・補足したものです。