ホリデーシーズン間近となり、eコマース小売業者は、ビジネスの成功を左右し得るこの非常に重要な期間を最大限に活用するため、マーケティング戦略の準備をしている。
eコマースに費やされるお金の多くが、年末の数ヶ月間に取引されることは周知の事実だ。だからこそ企業は、この時期にはよりいっそう真剣にマーケティング活動に取り組む必要がある。
ホリデーシーズン中、小売業者や消費者にとって状況はすでに十分深刻だが、今年の世界的なサプライチェーンの混乱により、売り手と買い物客は緊張が張りつめており、すぐに解決策は見出せていない。
マーケターが、この異例のホリデーショッピングシーズンをどのようにナビゲートする必要があるかをよりよく理解するために、さまざまな専門家へのインタビューから得た、ホリデーeコマースマーケティングを成功させるための計画、実施、および、これらの絶え間なく変化する時代において最も重要である顧客エンゲージメントについての見解について見ていこう。
激しい競争
Diginius(英国のデジタルマーケティングとeコマースソリューション専門テクノロジー企業)のCEOであるNate Burke氏は以下のように述べている。「今年のホリデーシーズンは、企業がCovidの状況に適応するための時間を確保し、顧客が購買の多くをオンラインに移行してから初めてのシーズンとなるだろう」。
同氏は、「需要は高く、競争は激しい」と言う。「さらに、国内で商品を入手し、顧客に届けるまでには、サプライチェーンの混乱が多くある。迅速かつ機敏なeコマースマーケターは多くの利益を得られるが、統合されたシステムを持たず、在庫レベルとサプライチェーンの問題に迅速に対応できないマーケターにとっては厳しい季節になるだろう」。
今年のホリデーシーズンのマーケティングは、例年とは異なり、eコマースビジネス間で激しい競争が繰り広げられるだろう。
「今年のホリデーシーズンは、今までとは異なる」とKaspien(米国ソフトウエアおよびサービスプラットフォームのプロバイダ)のCEOであるKunal Chopra氏は述べている。 「消費者は、昨年ホリデーシーズンを祝う機会がなかったため、今年は失われた時間を埋め合わせ、思い出に残るホリデーシーズンになることが期待される」。
「それだけでなく、パンデミック禍でeコマースが躍進し、そのポジティブな成長軌道を維持し続けている。その結果、激しい競争という新たな課題をもたらしている」。
「同じ顧客を巡り競合するeコマースビジネスは増加し続けている。つまり、オンラインeコマースビジネスは、このホリデーシーズンで際立つための秘訣としてマーケティングを活用する機会を得ているのだ」。
安全性を強調する
eコマースの利点の1つは、顧客が自宅で安全に買い物ができることだ。パンデミックが長引く中、こうしたメリットはマーケターが注目し、活用し続けられるものでもある。
Jivox(パーソナライズされたデジタルマーケティング技術を提供する米国企業)のCEO兼創設者であるDiazNesamoney氏は、次のように語った。「パンデミックが続く中、eコマースマーケターは、『安全に買い物をしよう』というメッセージを使い、自分や他人を危険にさらすことなく自宅から簡単に買い物をする方法を提供できる」。
「また、自宅から買い物をすることで、店舗やモールに人が集まるのを避けることができるだろう。eコマースは、今年も会うことができない友人や家族、特に高齢者や健康に問題のある人のために買い物をするのに最適な方法だ。こうしたより重症化リスクの高い人々は、オンラインで買い物をし、ギフトを発送することができる」。
コネクションを築く
企業がホリデーマーケティングを確実に成功させるための1つの方法は、顧客やクライアントと有意義な関係を築くよう努めることだ。
「私からの最大のアドバイスは、人と人とのつながりが戦略の最前線にあることを確認することだ」と、Chopra氏。「これを行う最善の方法は、たとえばライブストリーミングなど、オーディエンスと有意義に交流できるメディアを活用することだ。eコマースマーケターの場合、消費者は、購入決定を促す動画とビジュアルエンゲージメントを重視しているため、ライブストリーミングはホリデーシーズンのたびにますます重要になってくる」。
ショッピング体験のカスタマイズは、売り上げにつながるような人間関係を築くための重要な方法の1つである。
「消費者は、最も便利な時間と場所で買い物をしたいと思っている」と、JRNI(エクスペリエンス・リレーションシップ・マネジメントプラットフォーム)のCEOであるJohn Federman氏は説明した。「eコマースビジネスが、今日の小売業界で競争力を維持するには、顧客に提供すべきカスタマイズされたサービスを伝えることが重要だ」。
「顧客が個人的なホリデーギフトを、自信を持って購入するために、1対1のバーチャルセールスアドバイザリーを採用したり、オンラインで購入したアイテムを店頭またはカーブサイドピックアップで注文するようスケジューリングしたりといった柔軟性とパーソナライゼーションは、ポジティブなショッピング体験を生み出すのに役立つ。最終的には、顧客ロイヤリティを構築するのに有効だ」と同氏は提案した。
需要に留意する
ホリデーマーケティング戦略では、常に進化し続けるエンゲージメントが必要となるシーズンのペースも考慮する必要がある。
Moxtra(米国のデジタルチャネルソリューション提供企業)のチーフブランドオフィサーであるLeena Iyar氏は、「企業は、ホリデーシーズン中にタイムリーで質の高いエンゲージメントを期待する顧客の大量流入に対応する準備をしなければならない」と説明している。
「ホリデーシーズン中の需要増加に対応するため、企業はクライアントに便利でジャストインタイムのエンゲージメントを提供できなければならない」とIyar氏はアドバイスした。「このクライアントエンゲージメントの方法では、企業は、即時のオンデマンドサービスを提供しようとすることで、すべてのリソースを浪費することなく、タイムリーな対応をすることができる」。
また、需要に対応するとは、人々がそれらを注文する際に、販売されている商品が購入可能であることを保証することを意味する。
Vibenomics社の最高戦略責任者兼オーディオ・アウト・オブ・ホーム(Audio OOH)担当社長のPaul Brenner氏は次のように語った。「買い物かごのサイズが大きくなり、人々が家で食事を用意することが増えるに従い、マーケティングメッセージは、よりクリエイティブで示唆に富んだものにならなければならない。人々は、衝動買いしたものや、リストから除外されたアイテムを思い出したり、さらには新しいアイデアを探索したいと考えたりしている」。
「サプライチェーンの混乱により、小売業者は、典型的なホリデーベストセラーが混乱のために在庫不足や在庫切れになった場合、どのタイプの商品を宣伝するかについて、既成概念にとらわれずに考える必要がある」と同氏。「昨年の教訓として、在庫が十分にある商品だけをマーケティングあるいは強調するようにしよう」。
技術の向上
さらに、迅速な関与と需要への対応には、eコマース企業が自社のWebサイトやアプリ、注文テクノロジーに投資する必要がある。
「ホリデーシーズンを前にして、企業は消費者の嗜好に合わせて自社のテクノロジーを再検討する必要がある」とIyar氏は言及した。「より多くの人々が、対面での対話よりデジタルチャネルの利便性を好むため、クライアントの企業との関わり方は、よりモバイルかつデジタルな方向にシフトしていくことになるだろう」。
「企業は今、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを加速させ、これらの嗜好に対応し、業務を管理および効率化するためにデジタル戦略を継続的に進化させる必要がある」とIyar氏は提案した。「ホリデーシーズン中のエンゲージメントは、企業が大量のクライアントとやり取りする際に、デジタルチャネル上でヒューマンタッチを維持する方法を学ぶことで進化し続けるだろう」。
テクノロジーとデジタルプラットフォームを最大限に活用することは、最終的には企業がホリデーマーケティング活動を成功させるためには有効となる。
「コマースページを最適化し、必要なブランドページを更新しよう」と、Oceanwing(米国のIT・情報サービス企業)のゼネラルマネージャーであるJoe Wu氏は語る。「ブランドページは、ホリデーシーズン中に他のどの時期よりもはるかに多くの顧客を獲得することができるのだ」。
マーケターは瞬間をとらえよ
ホリデーシーズンは、人々がマーケターからの連絡を求めている時期であるため、eコマース企業は、特別な努力をしても彼らに連絡をすることが必要なのだ。
「クリック率やコンバージョンデータがどうであれ、マーケターには常に、顧客が連絡を望んでいないのではないか、という不安がつきまとうものである」と、Iterable(米国のクロスチャネルプラットフォームを提供するマーケティング・広告企業)のエンタープライズカスタマーサクセスマネージャーであるTasmin Singh氏は語った。
「顧客に我々のメッセージを受け入れてもらえる数少ない機会であるホリデーシーズンに、マーケティングメッセージを正しく伝えることだ」とSingh氏。
「eコマースマーケターがこの期間中に顧客にリーチしたい場合、適切なメッセージ、適切なタイミング、そして適切なチャネルで適切な顧客にリーチし、顧客第一でパーソナライズされたキャンペーンをキュレートすることが、彼らの義務である」と締めくくった。
※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の10/25公開の記事を翻訳・補足したものです。