eコマース(EC)とは?
「eコマース(EC)」とは、インターネットなどのネットワークを介して契約や決済などを行う取引形態のことで、インターネットでものを売買することの総称である。「eコマース」の「e」とは、「Electronic」の略であり、「eコマース」とはつまり、「Electronic Commerce」のことである。また、「eコマース」の「e」には小文字が当てられているのには理由があり、単語の先頭が小文字で始まると、何かやってくれる、格好いいというイメージとは別に、科学の電子は通常「e」と小文字で表現することが由来になっていると言われている。
「eコマース」は、そもそも、このサイトのタイトルに使っている、業界用語の中心のキーワードであるが、「eコマース」と言われたり、「EC」と言われたり、場合によっては「ネットショップ」や「ネット通販」と言われたり、正式には「電子商取引」となり、最も基本的なキーワードにも関わらず、このように色々な表現が乱立している。そのため、使う相手によってどのキーワードを用いるか考えなければならない、非常に面倒な言葉である。
“eコマース=電子取引”の内容は大きく3つに分けられ、
- 企業同士の取引をB to B
- ネットショップなどの企業と消費者間の取引をB to C
- オンラインオークションなどの消費者同士の取引をC to C
と呼ばれる。一般的にeコマースと言った場合には、多くの場合この「B to C」の取引を指すことが多い。現在ではeコマースの発展により、企業が消費者に直接販売するD to C、企業が従業員に販売するB to E、企業が政府と取引するB to Gなど、非常に多くの形態が存在している。
eコマース(EC)の市場規模
ここ20年ほどで急速に発展してきたeコマース。国内では、1997年にサービスを開始した楽天が業界最大手で、会員数1億1,980万人(2020年12月時点)、日本人の約1.05人に1人が会員になっている計算である。現在では、オークションサイトやオンライン証券取引、旅行代理業など、多様なサービスを展開しており、常に業界を牽引する存在として注目を集め、2023年の流通総額は6兆円という巨大サービスとなっている。また米国発の大型モール、amazonも日本でのサービス提供を拡大しており、eccLabでは日本国内における2023年の流通総額を7.2兆円と推測している。国内のeコマース全体の市場規模としては、BtoCに限っても、2023年で24.8兆円、野村総合研究所の調査によると、2026年には29.4兆円ほどに膨らむと予測されている。
国内の市場規模を示す最も代表的なデータは経済産業省が公開するレポートである。このご時勢で、まだ右肩上がりのデータが公表されている、まだまだホットな業界といえるだろう。
また、総稼働店舗数については以下の記事も参考にしてほしい。

世界における日本のeコマース(EC)の市場規模位置付け
日本のeコマースの市場規模は世界の中でどのような位置付けになっているのだろうか。同じく経済産業省のレポートによると、日本のeコマースの市場規模はここ数年4位を維持している。上位はというと、1位の中国が2位のアメリカを2.5倍近く引き離し独走、3位にイギリス、5位に韓国、6位にインドとなっている。しかし、伸び率で見ると上位10ヵ国の中では日本は低い方で、成長が他の国と比較してやや鈍化しているようだ。
eコマース(EC)と実店舗の違い、メリット
当初eコマースが始まったとき、一部の大きな可能性を信じていた若者とは異なり、多くの識者が否定的に捉えていたのも事実だ。その論旨の多くは、これだけ身近に便利なお店があるのに、いつ誰がインターネットを使ってモノを買うのか、というものだ。なかなか手に入りにくいものや、近くに便利な実店舗が無い場合などは良いが、日用品やアパレルなど近所のスーパーや実際に試着の出来る実店舗の方が良いに決まっていると考えられていた。しかしご存知のように今やそんなことを言う識者は存在しないほど、eコマースは日常に浸透している。
では、eコマースと実店舗の違いはどのようなものがあるのだろうか。大きく分けてeコマースには3つのメリットがある。1つ目はいつでもどこでも買い物を楽しめる点。営業時間などを気にせず24時間、気になったタイミングでショッピングが行えるというのは実店舗との大きな違いだ。2つ目は価格の比較が楽である点。楽天やAmazonなどのモールを中心に、価格順に商品の並べ替えが一般的なため、より安く入手することが出来る。3つ目は商品を配送してくれる点。これはメリットであると同時に、即座に入手できない点でデメリットとなるケースもある。また、実店舗でも配送サービスがあるところも多いため、eコマースだけのポイントとは言い切れない部分もあるだろう。重い商品、実際に使用する日まで余裕があるものなど、自宅まで配送してもらえることは大きな利点となる。
一方で実店舗には2つのメリットがある。1つ目は店員さんが丁寧に商品の説明や使用した印象を教えてくれる点だ。いくらeコマースサイトで丁寧に商品説明を記載しても、生身の人間の温かみのある説明にはなかなかかなわないだろう。2つ目は実際の商品を手に取って検討出来る点だ。現在ではARの活用など様々な工夫がされているが、あくまでもバーチャルであり手に取ることは不可能なので、これは永遠にeコマースサイトが実店舗に追いつけない点と言える。そのためeコマースサイトでは商品の説明は力を入れてしっかりと行っていく必要があり、少しでも手を抜くと売上に大きく影響するだろう。
eコマース(EC)運営側のメリット
eコマースは、実店舗を構えて商品を販売する従来の商取引と比べて維持コストが少なく、地方在住者でも簡単に販売を行えるメリットがある。販売を開始するための仕組み自体も非常に安価で提供されており、実店舗を開店するよりも安価にスタートできる点も非常に魅力的だ。最近では海外の消費者向けに販売を行う「越境EC」も盛んになっており、あらゆる消費者に対して商品を販売することも国内にいながら安価で行える。またeコマースサイトでは、マーケティングで活用できる多くの顧客データを収集しやすい点もメリットとして挙げられる。
eコマース(EC)運営にありがちな課題
eコマース運営で課題になりやすいのが、競争率が高くただ出店しただけでは売上を伸ばしていくことが難しい点と、それゆえに集客コストがかかりやすい点である。インターネット上に場所を設けて販売すること自体は簡単だが、それが実際に「売れる」ことと必ずしもイコールになるわけではない。オンラインが生活に浸透してきた今、Webマーケティング活動を行うことは必須で、そのコストや難易度は年々上昇している。そのため「店舗を簡単に開店できるから」という理由だけで開店するのではなく、開店後に集客するためのマーケティングについてもしっかり準備をして、eコマースサイトで収集したデータを活用しながら店舗運営に臨むようにしたい。
eコマース(EC)の種類
一言でeコマースと言っても実は色々な形態がある。今eコマース業界には多くの出店・開店に向けた選択肢が広がっており、個人や事業者のどのようなニーズであっても、思い通りの店舗展開をオンライン上で実現できるようになってきている。楽天やAmazonなどの「ECモール」以外にも、無料から安価で始められる「ASPカート」、柔軟性の高い「ECパッケージ」、安価でカスタマイズも可能な「オープンソース」、0から構築する「フルスクラッチ」、最新性に優れる「クラウドEC」、消費者どうしで取引する「C2Cモール」など、様々な形態が存在する。

eコマースを始めるにあたっては、大きく分けて「出店する」と「開店する」の2種類がある。
出店するというのは、楽天やAmazonなどのECプラットフォームにお店を出店すること。実際の世界に置き換えていうなら、百貨店の中にお店を出すようなものだ。百貨店と同じく、出店する場合は既に多くのユーザーがいるところに出店できるため、集客に関わる費用は一般的には抑えられるが、場所代として売上の何%かを差し引かれることになる。
この出店することが出来るプラットフォームだけを見ても、目的に応じた多くのサービスが存在している。

次に開店する形態を見ていこう。開店というのは、自社ブランドの店舗をオンライン上に開設すること。実際の世界に置き換えて考えるなら、路面店を開店するようなものだ。場所代や売上へのチャージは抑えられることもあるが、集客のコストは出店する場合よりもかかるケースが多い。また、店舗の自由度が高いため、思い通りの形態のショップを構えることが出来るのも利点だろう。
この開店することができるサービスも、市場に多く存在している。

格段に手軽に開店できるようになってきた「eコマース(EC)サイト」
そんな中、以前はある程度の規模の投資が必要だったeコマースサイトの開店のハードルも、ここ数年で一気に下がってきている。特に、BASEやSTORES(旧:Stores.jp)に代表される「3分で開店出来る」などの謳い文句でサービスを行っているインスタントECというプラットフォームを用いれば、本当に数分での開店が可能となっている。しかも驚くべきことに無料だ。

ただ、eコマースをしっかりと事業として位置付けている方には、上記のサービスは物足りない側面もあるだろう。事業をしっかりと行っている方であれば、まずは楽天などのモールに出店して、売上をしっかり作ってから独自の店舗などを拡張していくという方法が主流だ。

eコマース(EC)を運営するための業務内容
出店・開店することが初期のゴールになりがちだが、実際に大変なのはeコマースサイトを出店・開店した後だ。eコマースサイトの店長業務はとにかく多岐にわたる。商品企画、サイトメンテナンス、商品情報作成・登録、商品写真撮影、画像加工、受発注対応、顧客対応、集客施策検討など多くの知識が必要になってくる。特に初期はそれらの業務を1人もしくは2人程度で行うことが一般的なため、非常に難易度が高くなる。そのため、それらの運営業務を支援するサービスも多く存在している。eコマースサイトを効率的に運営するためには得意な業務、不得意な業務を見極めて、効果的に外部のアウトソーサーを検討・利用していく必要もあるだろう。

eコマース(EC)が持つ将来性
コロナ禍によるEC需要の後押しもあり消費者の間に急速に広まったeコマースは、今後も右肩上がりに伸びていく見込みだ。Shopifyでは、コロナ禍の3ヶ月間でeコマースは10年分の成長を遂げたと報告されている。スマホからの利用者も年々増加しており、5Gの導入はeコマースに限らず、多くの分野が進歩するきっかけとなった。
国内では、2025年の携帯電話総販売台数の約56%が5G対応機種、契約回線ベースでは46%が5G契約になると予測されている。5Gの人口カバー率は2023年度末に98.1%を達成しているものの、普及率で見ると3Gから4Gへの移行と比べて5Gは立ち上がりが遅く、まだ消費者の間に浸透したとはいえない状況だ。この背景には、5Gを利用できる場所が限られていることや、コンテンツが充実していないなどの理由がある。
5Gは今後も緩やかに普及していくとみられ、Beyond 5G(6G)は2030年代のあらゆる産業・社会活動の基盤となることが期待されている。現時点では課題もあるものの、キラーコンテンツの実装などがきっかけとなり、急速に広まる可能性も考えられるだろう。
今後の成長が期待できる商品カテゴリ
eコマース全体の市場規模は前述の通り非常に大きなものとなっており、国内EC市場は現在も拡大している。EC化率も数値こそ違うもののBtoB、BtoCともに増加傾向にあり、電子化は引き続き進んでいる。
コロナ禍をきっかけに「食品」「アパレル」「医薬品」のEC化が進むなどの変化があったが、アフターコロナの現在はまた異なる変化がみられた。物販系分野が全体的に成長を続ける中、一時期は大幅に落ち込んだサービス系分野が大幅に回復しているのだ。サービス系分野には「旅行」「飲食」「チケット」などが含まれ、コロナ禍以前よりも市場規模が大きくなっている。
また、「電子書籍」「有料音楽配信」「有料動画配信」といったデジタル系分野も増加している。物販系分野と比べると市場規模は小さいものの、これらのサブスクリプションサービスは物流面の課題の影響を受けないという利点がある。
AIやXRなど、革新的なテクノロジーを活用したeコマースへ
eコマース運営側の大きな変化として、AI(人工知能)の活用が急速に広まったことが挙げられる。AIは業務効率化だけでなくターゲティングやパーソナライゼーション、顧客体験の強化など、多方面に革新をもたらした。AIはすでに企業にとって欠かせないものとなりつつあり、活用の可能性も未知数である。今後は、AIを人間の判断や戦略と組み合わせることがより重要になっていくだろう。

5Gはまだ途上にあるが、Beyond 5G(6G)は2030年代の生活・社会基盤になるとされており、一度普及すればそれがもたらす恩恵は大きい。メタバースの認知も広まり、スマートフォンからのEC利用が増加した今、AR、MR、VRを含めた次世代のXRが開発され、将来的には消費者にとって身近なものとなっていく可能性もある。

eコマース業界はこのようにトレンドの移り変わりが非常に激しく、1年後には新たなXコマースやマーケティング手法が登場していてもおかしくはない領域だ。そのため、常に最新の情報・トレンドにアンテナを張っていくことも重要になるだろう。
eコマース業界はさらなる発展が予想されている。今後どのような未来となっていくのか、その主役は今この記事を読んでいる皆さんかもしれない。