2024年時点最新【2023年EC流通総額ランキング】国内16・海外27のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド

 

毎年2月~7月にかけて、世界中のEC業界の各主力プレイヤーが前年の流通総額や売上高を公開している。ここ数年は、市場の頭打ちにより、中国大手アリババグループが流通総額の発表を実施しなくなるなど、実数の把握が困難なサービスが増えてきている。そんな環境下ではあるものの、eccLabでは、世界の大手ECモール・カート・アプリなどの2023年の流通総額の数値データを推測も含めて紹介していく。今回も国内外の各主力プレイヤーの値を中心に紹介していき、それぞれの市場のトレンドを見ていく。今回は昨年と比較して4サービス(うち、国内1サービス)調査対象を広げた。一方で、これまで推測可能であった7サービス(うち、国内6サービス)を対象から外した。

 

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2023年版 EC流通総額ランキング:国内21・海外25掲載

2023年時点最新【2022年EC流通総額ランキング】国内21・海外25のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド
【2022年EC流通総額ランキング】国内21・海外25のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド 毎年2月~6月にかけて、世界中のEC業界の各主力プレイヤーが前年の流通総額や売上高を公開している。今年も5月中旬に公開された中国大手アリババグループの...

 

 

目次
▼国内16サービスの流通総額ランキング
▼海外27サービスの流通総額ランキング
▼国内16・海外27サービスの全流通総額ランキング
▼世界のマーケットプレイス(C2C)14サービスの流通総額ランキング
▼世界のECモール19サービスの流通総額ランキング
▼世界のカート・PKG10サービスの流通総額ランキング

 

 

国内16のECモール・カート・アプリの流通総額ランキング

 

まずは、国内の16の主力モール・カートサービス及びパッケージ、フリマアプリなどの2023年(1月~12月)の流通総額を見ていく。

国内16のECモール・カート・アプリの2023年流通総額ランキング

※ダウンロードファイルに高解像度の上記グラフ画像も含まれます。

 

2023年国内16のEC流通総額ランキングから見るトレンド

2023年における国内各社の流通総額は調査対象の4割近くのサービスがマイナス成長となるなど、国内市場全体で見ると停滞気味だ。ただ、流通総額を公開していないLINEギフトなどの新興サービスなども多く、市場全体としては右肩上がりの成長をしていることから、市場の勢力図が徐々に変わりつつあると捉えた方が良さそうだ。また、2桁成長を実現したのは、ecbeing、メルカリ、Qoo10、BASEの4サービスに留まった。

国内の流通総額上位を見てみると、2023年も引き続きAmazonが堅守、楽天市場との差は大きくは変わっていない。Amazonは7兆円、楽天市場は6兆円の大台をそれぞれ突破している。一方、一時期は3大モールになると思われていたYahoo!ショッピングは、上位2サービスとの差は大きくなり、下位のサービスの足音が間近に迫ってきている状況だ。

C2Cサービスでは首位交代があった。初の1兆円を突破したメルカリが、1兆円の壁を今年も超えられなかったYahoo!オークションを抜き悲願の首位奪取となった。

 

それでは、国内の主力プレーヤーの流通総額をそれぞれ見ていこう。公表されているサービスも多いが、残念ながら公表されていないサービスもある。ここでは公表データだけでなく、eccLabによる推測値も掲載し、流通総額が多い順に紹介していく。

 

Amazon 流通総額:7兆1,857億円(推測)

Amazon.comが公開している年次報告書の69ページによると、2023年の日本国内における総売上高は260億200万ドルで、2023年の平均為替レートを139.56円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、米ドルに対しては全てこの値を使用)、日本円にして3兆6,288億円となった。前年2022年は243億9,600万ドルだったため、売上高は米ドルベースで前年比6.6%増となっている。

Amazonの売上高については、日本国内でAmazonが売主となるものと、第三者が売主になるもの(マーケットプレイス)の手数料10%程度が合計された値となっており、その割合は未公表だ。eccLabでは2023年のマーケットプレイス割合を55%と推定。このことから、2023年の流通総額は7兆1,857億円、前年比5.8%増と推測する。

 

楽天市場 流通総額:6兆490億円(トラベル等含む)

楽天投資家向け発表によると、国内EC事業の2023年の流通総額は前年比7%増6兆490億円となった。この値は楽天市場だけでなく、トラベルなどの宿泊流通、ブックス、ブックスネットワーク、Kobo(国内)、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、Rakuten24などの日用品直販、Car、ラクマ、Rebates、楽天西友ネットスーパー、クロスボーダートレーディングなどの値を含んだものとなっている。また、2023年のQ1から楽天チケットを国内EC流通総額へ追加し、Q2から国内EC流通額の定義を一部見直ししたことで数値が遡及修正されているため、2022年度の流通総額が公表時の5兆6,301億円から5兆6,560億円に修正されている。

 

Yahoo!ショッピング 流通総額:1兆6,336億円(LINEショッピング等含む)

Yahoo!JAPANを経営するLINEヤフー株式会社決算説明会資料によると、2023年のYahoo!ショッピング関連事業の国内流通総額は前年比6.9%減1兆6,336億円となった。この流通総額には、2023年のQ1以降Yahoo!ショッピング以外にも、「ZOZOTOWN」、「LOHACO」、「チャーム」、「LINEショッピング」、「LINE FRIENDS」、「LINEギフト」、「MySmartStore」、「Yahoo!マートby ASKUL」、「LIVEBUY」、「LINE SHOPPING (台湾・タイ) 」、「GIFTSHOP」、「EZ STORE」、「QUICK EC」、「MyShop」が含まれている。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、LINEヤフー株式会社が発表している2023年度通期の値とは異なる。また、Yahoo!とLINEは2023年10月1日に統合され、Zホールディングス株式会社からLINEヤフー株式会社に変更されている。

 

ecbeing 流通総額:1兆2,405億円

ecbeingはの公式サイトの記事によると、2023年の流通総額が1兆2,405億円となっており、2022年が9,912億円のため前年比は25.2%増となる。今回の大幅な流通総額の増加について、同記事では「多様なサービスをワンストップに提供するために開発者500名・マーケティング200名の大規模な体制によって成功事例を増加させられたためだ」と述べている。

 

メルカリ 流通総額:1兆361億円

フリマアプリ、メルカリ決算説明会資料によると、国内の2023年のメルカリの流通総額は1兆361億円となった。2022年の国内の流通総額が9,325億円のため、前年比11.1%増と昨年に引き続き約10%の成長率を維持している。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、メルカリ公式発表の2023年度通期の値とは異なっている。

 

ヤフオク! 流通総額:9,956億円(ZOZOUSED、Yahoo!フリマ等含む)

LINEヤフー株式会社決算説明会資料によると、2023年のヤフオク!の国内流通総額は9,956億円と前年比1.6%増(昨年分の金額が1億円異なっていた為、増加率の計算も修正している)だった。この流通総額にはヤフオク!以外にもPayPayフリマ、ZOZOUSEDが含まれている。また、ヤフオク!の流通総額は昨年度を上回るも、近年上昇は緩やかとなっている。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、LINEヤフー株式会社の公式発表の2023年度通期の値とは異なる。さらに、2023年度 第1四半期までは、Zホールディングス株式会社が決算を行っていたが、それ以降はLINEヤフー株式会社が対応を担っている。

 

ZOZOTOWN 流通総額:5,650億円

ZOZOTOWNを運営する株式会社ZOZO決算報告資料によると、2023年のZOZOTOWNの流通総額は5,650億円であった。2022年の流通総額が5,398億円(昨年の流通額、5,399億円から5,398億円へ端数の関係で修正)のため、前年比4.7%増となる。また、この金額には受託販売、USED販売、BtoB事業、買取・製造販売、LINEヤフーコマース、その他が含まれている。

 

MakeShop 流通総額:3,153億円

MakeShop発表によると2023年のMakeShopの流通額は過去最高の3,153億円で、2022年の流通総額は3,055億円のため、前年比3.2%増となった。この金額は国内のECサイト構築SaaS業界において12年連続流通総額No.1となっている。この背景について、円安の影響により、昨年に続き越境ECが好調なことや、アニメ・ゲームを中心に市場が拡大し続けている等が考えられる。

 

Qoo10 流通総額:2,536億円(推測)

Qoo10は、ここ数年で大きく運営母体が変わっていることもあり、流通総額は断片的な情報を組み合わせて推測するしかない状況が続いている。eccLabでは今回もQoo10の流通総額の推測を行う。2022年は「2022年の流通総額の成長率は比較的落ち着いているが、2桁以上の成長は継続できており目標は達成できそうだ」という記事の記述や、新たに開設されたファッションカテゴリーの「MOVE」の売上が好調という記述を元に2,305億円と考察した。2023年は、「2023年も流通総額は2桁成長を実現」との記事があることから、前年比10.0%増2,536億円と予測する。

 

EC-CUBE 流通総額:2,100億円

EC-CUBEを運営している株式会社イーシーキューブのHP上に記載がある年間流通総額は2,100億円となっており、詳細の時期は不明だが、eccLabでは2023年の流通総額として取り扱う。2022年の流通総額は不明のため前年比は不明となる。

 

カラーミーショップ 流通総額:1,931億円

カラーミーショップは決算はあるものの、EC関連サービスの流通額推移(カラーミーショップ/SUZURI/minne含む)のみが公表されている。カラーミーショップを運営するGMOペパボ株式会社決算資料から、EC関連サービスの流通額から「minnne」と「SUZURI」の年間流通額を引いて前年比11.2%減1,931億円と算出した。

 

futureshop 流通総額:1,929億円

株式会社コマースOneホールディングスの決算報告によると、2023年のfutureshopの流通総額は、1,929億円となる。また、2022年データについてはeccLabでは推測で記載を行っていたが、同サイトで掲載の値により1,955億円となるため、前年比1.3%減となる。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、株式会社コマースOneホールディングスが発表している2023年度通期の値とは異なる。

 

BASE 流通総額:1,359億円

インスタントECを提供するBASE決算説明会資料によると、2023年のBASEの流通総額は1,359億円で、2022年の流通総額が1,186億円で前年比14.6%増となっていた。この背景として、COVID-19感染拡大に伴う急成長を経た後も、認知度の向上及び月額有料プランの提供等により、月間売店数及び1ショップあたり月間平均GMVは成長を継続していることが影響したとみられている。

 

Commerble EC PaaS 流通総額:400億円(推測)

柔軟性に優れたクラウドプラットフォームCommerble EC PaaSの2023年の流通総額は、関係者の情報を総合すると、前年比14.7%減400億円と推測する。

 

Creema 流通総額:165.8億円

ハンドメイドサイトCreema(クリーマ)を運営する株式会社クリーマ決算説明会資料によると、2023年のCreemaの流通総額は165.8億円で、2022年の流通総額が168.4億円(もともと2022年の流通総額は165.4億円と記載していたが、168.4億円に修正している)のため前年比1.5%減となった。また、Creemaは2月期のため2023年の3月~2024年の2月の分を計上している。

 

minne 流通総額:129.0億円

ハンドメイドサイトminne(ミンネ)を運営するGMOペパボ株式会社決算説明会資料のp55によると、2023年のminneの流通総額は129.0億円。2022年の流通総額が150.7億円のため、前年比14.4%減となった。流通総額は前期比で減少していたが、注文単価数、作家・ブランド数はいずれも増加している。

 

推測困難なその他のサービス

ここ数年伸長著しいLINEギフトだが、当記事内では、Yahoo!ショッピングの流通総額内に含む形で記載を行っている。しかし、LINEギフト単体での流通総額については、前年比で母の日で160%、父の日で168%、夏季全体で135%となっていることが公開されているものの、2023年通年での値は見当たらない。

また、これまで値を掲載していたau PAY マーケット、楽天ラクマ、Eストアーショップサーブ、STORES、リピスト、おちゃのこネットについては、公開されている情報が全く無く、推測することも難しい状況のため、値の掲載を2023年については取りやめた。

 

 

海外27のECモール・カートの流通総額ランキング

 

続いては、海外の27の主力モール・カートサービスなどの2023年(1月~12月)の流通総額を見ていく。こちらも公表データだけでなく、eコマースコンバージョンラボ編集部による推測値も掲載し、流通総額が多い順に紹介していく。

 

Amazonグローバル 流通総額:77兆6,334億円(推測)

Amazon.comが公開している年次報告書の24ページによると、2023年のグローバルにおける売上高は5,747億8,500万ドルで前年比11.8%増となった。この値はEC事業以外も含む。EC事業のみで見ると(年次報告書38ページ)、2,558億8,700万ドルで前年比5.3%増となっている。

2023年の平均為替レートを139.56円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、米国ドルに対しては全てこの値を使用)、日本円にして35兆7,116億円となる。この値も第三者が売主になるものが手数料10%程度しか計上されていないため、eccLabでは海外のマーケットプレイス割合は国内よりも多いことから60%と推定。このことから、グローバルでの2023年の流通総額は77兆6,334億円前年比26.0%増と推測する。

また、2023年の売上高を地域別に見ると、アメリカが3,956億3,700万ドル、ドイツが375億8,800万ドル、イギリスが335億9,100万ドル、日本が260億200万ドル、その他の地域が819億6,700万ドルとなっており、昨年と同様、日本は世界で4番目の売上高を誇る規模になっている。また、本国米国の売上高は68.8%を占めている。

 

Pinduoduo(拼多多/ピンドゥドゥ)流通総額:77兆2,114億円(推測)

中国の上海に本拠地を置く共同購入システムのeコマースプラットフォームPinduoduoの流通総額は非公開となっているため、eccLabでは最新資料から推測を行う。中国のニュースサイトでは「2023年の拼多多の年間GMVは4兆500億元」といった記事や、Global Top Onlineの資料に「589.82(billion US dollars)/ 5,898億ドル」といった値があったことから前年比17%増、2023年の流通総額は3兆9,555億元、2023年の平均為替レートを19.52円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、中国元に対しては全てこの値を使用)、日本円換算で77兆2,114億円と推測する。いままでほどの勢いではないものの2023年も安定して勢いは健在であり、Amazonと肩を並べるほどの規模に成長している。

 

JD.com(京東商城/ジンドン) 流通総額:70兆3,462億円(推測)

中国大手ショッピングモール京東商城(JD.com)京東全球購(JD Worldwide)などを運営するJD.comは、2021年の発表から流通総額の記載が無くなったため、資料を合わせた推測を行う。交銀国際報告書によると、「GMVは一桁台後半で成長すると予想」、「第4四半期のGMV成長率は6%~-1%であると推定される」とあることから流通総額の大きな変更はないと考え、2023年の流通総額は前年比3.5%増の3兆6,038億人民元、日本円換算で70兆3,462億円と推測した。

 

Taobao(淘宝网/タオバオ) 流通総額:70兆1,002億円(2023年4月から2024年3月までの値・推測)

Alibabaグループは事業全体や売上高メインの情報公開となり、Taobao単体の流通総額が掲載されていないため、これまでの数値と最新資料を合わせた推測を行う。また、例年4月から3月までの数値しか公開されていないことから、同期間での値となる。中国のニュースサイトによると「市場シェアの計算に基づくと、タオバオと天猫の昨年のGMVは約7兆元」との記載があることや、同グループの第二四半期の報告書に「タオバオと天猫で生じたオンライン GMV のわずかな減少によって」との内容からeccLabでは前年比3%減程度と推測。ここから逆算し、Taobaoの2023年度の流通総額はおよそ3兆5,912億人民元、日本円換算で70兆1,002億円と推測する。

 

Tmall(天猫) 流通総額:69兆4,580億円(2023年4月から2024年3月までの値・推測)

Taobaoと同じ根拠に加え、ここ数年TaobaoよりもTmallの成長率が若干高いことから、中国大手ショッピングモールTmall(天猫)の成長率は前年比2%減程度と推測。ここから逆算し、Tmallの2023年度の流通総額は3兆5,583億人民元、日本円換算で69兆4,580億円と推測する。

 

Shopify 流通総額:32兆9,222億円

北米大手ショッピングカートサービスShopifyが発表した年次報告書によると、Shopifyの2023年の年間流通総額は2,359億ドルとなり、日本円にすると32兆9,222億円前年比19.6%増となっている。また、総収益は2022年と比較して26%増加して71億ドルとなっており、中でも、事業者とサブスクの収益が好調となっている。Shopify社長のハーレー・フィンケルスタイン氏は「2024年に向けて引き続き、進化し続ける商取引環境でイノベーションを推進し、加盟店やパートナーのサポートを得て、加盟店のビジネスを前進させる製品を提供することに注力していきます。」とコメントしている。

 

Adobe Commerce(旧Magento) 流通総額:21兆6,318億円(推測)

米国ショッピングカートサービスMagentoの2023年の年間流通総額は、記事によると2022年と同じ金額が記載されていたため、2023年の流通総額も変わらず1,550億ドル、日本円にすると21兆6,318億円と推測した。また、Magentoは2008年にサービスを開始したのち2010年にeBayによって、2018年にはAdobeに買収されたことで提供元が2度変更になっている。

 

Shopee 流通総額:10兆9,555億円

シンガポールに本拠地を置くSeaが運営する、東南アジア地域を中心に普及しているC2CモールのShopeeの2023年の流通総額は、Seaの決算発表によると785億ドルであった。これは日本円に換算すると10兆9,555億円で、2022年の流通総額が735億ドルのため、前年比6.8%増となる。また、2022年の値は為替レートを誤って計算していたため、2022年分の流通額は修正し計算を行った。

 

eBay 流通総額:10兆2,158億円

米国eBay Inc. が発表した投資家向けリリースによると、eBayの2023年の流通総額は732億ドルで、日本円にして10兆2,158億円であった。昨年の流通総額が739億ドルのため、前年比0.95%減となっているものの、円安の影響を受け、日本円では昨年よりも金額は高くなっている。

 

Coupang 流通総額:6兆9,314億円(推測)

2010年に韓国で誕生した大手ECモールCoupangの2023年度の流通総額は、記事によると496億6,640万米ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると、日本円換算で6兆9,314億円前年比43.1%増となった。Coupangは韓国におけるAmazonのようなECサイトで、最短翌日に届くロケット配送を特徴としており、2021年6月には日本にも進出。ただし、2023年3月10日をもって日本国内でのサービスを終了している。

 

Mercado Libre 流通総額:6兆2,453億円

アルゼンチンに本拠地を置き、中南米向けにECモールを展開するMercadoLibreの2023年の流通総額は、年次報告書によると447億5000万ドルであった。これは日本円にすると6兆2,453億円となる。また、昨年の流通総額が344億4,900万ドルだったため、前年比29.9%増となっている。昨年より流通額自体も高くはなっているが、円安の影響でさらに金額が大きくなっているようだ。

 

GoTo(旧:Tokopedia) 流通総額:4兆9,086億円

インドネシアのスーパーアプリ「GoTo」を提供するGoTo Groupは、2021年5月にTokopediaGoJekが経営統合し設立された企業だ。年次報告書によると、2023年におけるGoTo Groupの流通総額は606兆ルピアであった。2023年の平均為替レートを0.0081円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、インドネシアルピアに対しては全てこの値を使用)、日本円に換算して4兆9,086億円であった。昨年の流通総額が613兆ルピアのため、前年比1.14%減となる。しかし、流通額的には減っているものの、円安の為、円換算すると昨年より金額が高くなっている。

 

Lazada 流通総額:4兆4,971億円(推測)

シンガポールに拠点を置き、東南アジア各国で展開するアリババ傘下のモールLazadaの流通総額は、記事によると322億2,360万ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると、2023年の流通総額は日本円で4兆4,971億円であった。昨年の流通総額が233億ドルのため、前年比38.3%増となる。

 

VIP唯品会 流通総額:4兆602億円

VIP唯品会投資家向け情報によると、中国大手のECモールであるVIP唯品会の2023年の流通総額は2,080億人民元、日本円に換算すると4兆602億円だった。昨年の流通総額が1,752億人民元のため、前年比20.8%増となる。

 

Flipkart 流通総額:4兆472億円(推測)

2018年にWalmartに買収されたインド最大手のECサイトでありインドのAmazonとも言われるFlipkartの2023年度の流通総額は、記事によると290億ドルと推測され、日本円で4兆472億円となった。昨年の流通総額が230億ドルのため、前年比26.1%増となる。

 

AliExpress 流通総額:3兆9,775億円

アリババグループである越境ECプラットフォームのAliExpressの2023年流通総額は、記事によると、285億米ドル、日本円に換算して3兆9,775億円前年比44%増となった。

 

蘇寧易購 流通総額:2兆6,079億円(推測)

中国大手のECモールである蘇寧易購の2023年の流通総額は、公式ではGMVについての記載がなくなっているものの、決算の文章には「2023 年には、リテール クラウド チャネル製品の総販売量は前年比 20% 以上増加し、販売量は急速な成長を維持すると予想されます。」との記載や、ニュースサイトでは「赤字7割減少」とあることから回復傾向と考え、前年比20%増の1,336億人民元と推測。日本円に換算すると2兆6,079億円となった。

 

TikTok Shop 流通総額:2兆3,944億円(推測)

TikTok Shopは、2023年9月に正式にリリースされたサービスで、TikTokと同じく、中国のByteDance社が運営を行っている。公式に記載はなかったが、記事によると東南アジア地域での2023年の流通総額は163億ドル、この記事によると95%以上の流通総額がこの東南アジア地域で得られているとの記述があるため、全世界での2023年の流通総額は171.57億ドルと推測。日本円で2兆2,3944億円となった。

 

Zalando 流通総額:2兆2,021億円

ドイツに本拠地を置くオンラインアパレルサイトZalando発表によると、Zalandoの2023年の流通総額は146億3,160万ユーロとなり、2023年の平均為替レートを150.50円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円に換算すると2兆2,021億円前年比1.1%減となる。なお、昨年の流通総額は147億9,790万ユーロから147億8,870万ユーロへと修正がなされた。また、昨年より流通総額は微減していたものの、円安の影響により日本円に換算すると増加している。

 

allegro 流通総額:1兆8,878億円

ポーランドを本拠地として欧州で展開するモールallegroの2023年の流通総額は、決算報告書の25ページによると583億7,340万ズロチ。2023年の平均為替レートを32.34円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円にして1兆8,878億円となった。昨年の流通総額が524億9570万ズロチのため、前年比11.2%増となる。

 

Etsy 流通総額:1兆8,368億円

米国ハンドメイドマーケットプレイスEtsy決算発表によると、Etsyの2023年の流通総額は131億6,120万ドルとなり、日本円にすると1兆8,368億円となった。昨年の流通総額が133億1,840万ドルのため、前年比1.2%減となる。また、この値にはEtsy以外にも「Reverb、Depop、Elo7」の3サービスが含まれている。

 

Vinted 流通総額:1兆4,961億円(推測)

UABグループの衣料品やアクセサリーなどの売買や交換を行うリトアニアのオンラインマーケットプレイス、Vintedの流通総額は記事によると、107億2,000万ドルとなっており、その値をそのまま推測値として使用すると、2023年の流通総額は日本円で1兆4,961億円となった。

 

Bukalapak 流通総額:1兆3,315億円

CtoCモールを筆頭にBtoBやBtoCなども展開するインドネシアの企業Bukalapakの2023年流通総額は決算報告書の6ページによると164兆3800億ルピア、日本円で1兆3,315億円であった。このことから、2023年の流通総額は前年比7.0%増となる。

 

Trendyol 流通総額:1兆3,187億円

トルコを本拠地として中東地域に展開するモールTrendyolの流通総額は、記事によると94億4,870万米ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると、2023年の流通総額は日本円換算で1兆3,187億円となった。昨年の流通総額が180億ドルのため、前年比47.5%減となる。

 

Gmarket 流通総額:1兆128億円(推測)

韓国最大のショッピングモールGmaketの流通総額は、記事によると72億5,710万米ドルとなっており、その値をそのまま推測値として使用すると、2023年の流通総額は日本円にして1兆128億円となる。前年比5.5%減だったものの、円安の影響で日本円に換算すると昨年より高くなっている。また、サービス開始時の運営会社はGmarketであったが、2009年にeBay社の子会社となり、現在の運用はeBay Korea社によって行われている。

 

Squarespace 流通総額:8,669億円

米国ショッピングカートサービスSquarespaceの2023年の年間流通総額は、決算報告書によると62億1,182万ドルとなり、日本円換算で8,669億円となった。昨年の流通総額が60億5,883万ドルのため、前年比2.5%増となる。

 

Hepsiburada 流通総額:4,159億円

トルコを本拠地として中東で広く展開するショッピングモールであるHepusiburadaの2023年流通総額は記事によると1,165億トルコリラとなり、前年比31.1%増となる。2023年の平均レートを3.57円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円にして4,159億円だった。2022年の流通総額の値が539億トルコリラから889億トルコリラに遡及修正されている。流通総額自体は増えているものの、為替の影響で日本円での流通総額は減少している。

 

推測困難なその他のサービス

シンガポールに本社を構えるECサイト構築サービスSHOPLINE、インドの大手ECサイトでありソフトバンクやアリババが出資していることでも知られるSnapdeal、トルコを本拠地として中東地域に展開するモールのn11、はいずれも流通総額を公表しておらず、推測するための情報も存在していない。Amazonが親会社となっているアラブ世界最大のECモールSouqは今年は推測するための情報が見つからず掲載を見送った。

 

 

国内16・海外27の各主力プレイヤーの流通総額ランキングから見る市場トレンド

 

国内16サービス、海外27サービスの流通総額を紹介してきたが、ここで全てのサービスを流通総額順に並べてみる。

 

国内16・海外27の各主力プレイヤーの2023年流通総額ランキング

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昨年(2022年データ)から、Pinduoduoが一気に上位の4強(Amazon、Taobao、Tmall、JD.com)に迫り、今年(2023年データ)は、中国の3サービスを抜き去り、Amazonに並び77兆円台で2強と言っても良い状況になっている。次いで3番手にはJD.comが上がり、アリババグループのTaobao・Tmallは4・5番手に落ちた。当調査を開始した2016年には他サービスを大きく凌駕していた中国のこの2サービスは衰退傾向が浮き彫りになってきている。

とは言え、ここまでの5サービスは70兆円レベルとなっており、それ以降のサービスの倍以上の流通総額を誇っているため、まだまだ市場に対する影響力は大きいものとなっている。

また、世界的にサービスを展開しているカート・PKGサービスのShopify、Adobe Commerceが30兆円、20兆円台で6・7番手に続いている。そして、マーケットプレイスの雄であるShopee、eBayが8・9番手になっており、ここまでの9サービスが10兆円をクリアしている状況だ。

次がAmazon Japanとなるわけだが、韓国のマーケットプレイスCoupangや、南米のモールMercadoLibreが間近に迫ってきており、日本と言う市場自体の成長率の低さも気になるところだ。

 

 

続いてサービス形態別に見てみよう。

 

世界のマーケットプレイス(C2C)型の流通総額ランキング

まずは、マーケットプレイス(C2C)型の流通総額を見ていく。

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マーケットプレイス型のサービスは、昨年(2022年データ)と同様に、今年(2023年データ)においても、大きく成長したサービスと、成長が低迷しているサービスに2極化している。各国の市場環境などの影響だけでなく、サービス展開方法なども関係しており一概に原因を特定することは難しそうだ。Taobao、eBay、Etsyは昨年から低迷が続いているが、GoToは昨年は大きく成長していたにも関わらず、今年は低迷している。

数字上では、変わらず中国のTaobaoが圧倒し、次いで米国のeBayとなっているが、Amazonは流通総額の6割がマーケットプレイス型によるものとされているため、約44兆円となるり、Taobaoの半分強の流通総額となり、2位に位置付けられることになる。今年、大きく成長しているCoupang、AliExpressなどは来年も成長を維持できているのか注目していきたい。

 

 

世界のECモールの流通総額ランキング

次にモール型サービスの流通総額を見ていく。

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ECモールの流通総額は、Amazonグローバル、Pinduoduo、JD.com、Tmallの4強が、それ以下を10倍以上引き離している。

南米の成長著しいMercadoLibreが楽天市場を抜き、東南アジアのLazadaも高い成長率で楽天市場に迫るなど、日本市場はかつての勢いがなくなっているのは明白となってきている。
5位以下で流通総額1兆円を超えるサービスは12サービスとなり、昨年に引き続いて過去最多を記録している。

 

 

世界のショッピングカート・PKGの流通総額ランキング

次にショッピングカートASPサービス、及びECパッケージ(PKG)の流通総額を見ていく。

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自社サイトを展開する際に利用されるこれらのカートやパッケージ、クラウドサービスのカテゴリでは、依然としてShopifyが1位、次いでAdobe Commerceとなっており、3位以降のサービスに大きく差をつけている状態だ。ただ、世界的にシェアを伸ばしているSHOPLINEや、Salesforce Commerce Cloudなどの流通総額が大きいと予想されるサービスのデータが不明なため、このランキングには入っていないため、それらのサービスが入るとこのランキングも大きく変わってくるだろう。

日本のサービスではecbeingが昨年に続き高い成長率を誇っており、BASEも昨年の低迷を脱したように見える。また、Shopifyは日本市場のみのデータが公開されていないため詳細は不明だが、恐らく、ecbeingに近しい流通総額を日本国内でも既に獲得しているものと推測している。

 

 

2023年のECモール・カート・アプリの流通総額の総括

 

2023年もいくつかのランキングの変更が起こった。まずは中国のアリババグループのTaobao、Tmallの減速に伴い、Pinduoduo、JD.com、がこの2サービスを抜いて、中国の長年にわたって変わることのなかった勢力図を塗り替えた。また、国内ではC2CサービスのトップランナーだったYahoo!オークションが、遂にメルカリに抜かれた年になった。

そして、市場には新しい形態のサービスが続々登場してきている。まだ流通総額自体はそれほど大きくないが、TikTok Shopは開始して数か月で2兆円を叩き出すなど、そのポテンシャルは凄まじいものがある。国内でもLINEギフトの攻勢が各所で囁かれており、その流通総額はどの程度の規模に達しているのか、全く推測も出来ない状況だ。

インドネシア等の東南アジア、中東地域、南米地域、東欧地域など、これまでECがそれほど浸透していなかった地域にも新興サービスが、高い成長率とともに市場を伸ばしている。

今後はこのトレンドがどのように変化していくのか、引き続き調査を行っていきたい。

 

 

 

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