【2019年EC流通総額ランキング】国内16・海外20のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド
早いもので、2020年に入り、既に1/3が経過している。毎年2月~5月にかけて、世界中のEC業界の各主力プレイヤーが前年の流通総額や売上高を公開している。今年も5月22日に公開された中国大手アリババグループの発表で、世界の大手ECモール・カート・アプリなどの2019年の流通総額の数値データが出揃った。今回も国内外の各主力プレイヤーの値を中心に紹介していき、それぞれの市場のトレンドを見ていく。今回は昨年と比較して国内で1サービス、海外で2サービス調査対象を広げた。
注)この記事には、同じ内容の2023年最新版、EC流通総額ランキングが既に公開されています。
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目次
▼国内16サービスの流通総額ランキング ▼海外20サービスの流通総額ランキング ▼国内16・海外20サービスの全流通総額ランキング ▼世界のマーケットプレイス(C2C)10サービスの流通総額ランキング ▼世界のECモール13サービスの流通総額ランキング ▼越境ECモール6サービスの流通総額ランキング ▼世界のカート・PKG7サービスの流通総額ランキング |
国内16のECモール・カート・アプリの流通総額ランキング
まずは、国内の16の主力モール・カートサービス及びパッケージ、フリマアプリなどの2019年(1月~12月)の流通総額を見ていく。
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2019年国内16のEC流通総額ランキングから見るトレンド
2019年もほぼ全てのプラットフォームは右肩上がりの成長を続けており、特にモールは成長率が安定して高い水準を維持している。ただし、一方で、ヤフオクやminneといった個人間取引を行うマーケットプレイスサービスは、マイナス成長となるなど、メルカリが牽引するものの、成長率は鈍化しつつあるようだ。
最上位は今年も楽天が堅持したものの、トラベルや楽天ペイ、ラクマなどを含んだ値となっており、純粋な楽天市場だけの値だけで見ると、Amazonの流通総額の方が今年も上回っているとeコマースコンバージョンラボ編集部(以下、eccLab)では推測をしている。また、Yahoo!ショッピングやメルカリは依然として1兆円の壁は厚く、今年2020年の到達も厳しい状況だ。
それでは、国内の主力プレーヤーの流通総額をそれぞれ見ていこう。公表されているサービスも多いが、残念ながら公表されていないサービスもある。ここでは公表データだけでなく、eccLabによる推測値も掲載し、流通総額が多い順に紹介していく。
楽天市場 流通総額:3兆8,595億円(トラベル等含む)
楽天の投資家向け発表によると、国内EC事業の流通総額は前年比13.4%増の3兆8,595億円となった。この値は楽天市場だけでなく、トラベルなどの宿泊流通、GORAによるゴルフ流通、ビジネス、楽天Direct、楽天デリバリー、ラクマ、クーポンなどの値を含んだものとなっている。また、2019年第2四半期から一部事業において内部取引消去が行われ数値が遡及修正されているため、昨年の流通総額が昨年公表時の3兆3,4310億円から3兆4,049億円に修正されている。これで楽天は2年続けて前年の流通総額を下方修正する結果となっている。
Amazon 流通総額:3兆4,238億円(推測)
米Amazon.comが公開している年次報告書の68ページによると、2019年の日本国内における総売上高は160億200万ドル。2019年の平均為替レートを108.05円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、米ドルに対しては全てこの値を使用)、日本円にして1兆7,290億円となった。前年2018年の同データは約1兆5,133億円(138億2,900万ドルで為替レートを109.43円とした場合)だったため、売上高は米ドルベースで前年比15.7%増となっている。Amazonの売上高については、日本国内でAmazonが売主となるものと、第三者が売主になるものの手数料10%程度が合計された値となっており、その割合は未公表だ。しかし、eccLabでは2018年のマーケットプレイス割合を50%と推定。マーケットプレイスのシェアは引き続き拡大していると考えられることから、2019年の割合は55%であると推定。このことから、2019年の流通総額は3兆4,238億円、前年比24.4%増と推測する。
Yahoo!ショッピング 流通総額:8,519億円
Yahoo!JAPANを経営するZホールディングス株式会社の決算説明会資料によると、2019年のYahoo!ショッピング関連事業の国内流通総額は前年比16.5%増の8,519億円となった。この流通総額はYahoo!ショッピング、LOHACO、(株)チャームの取扱高を含むが、アスクルBtoBの取扱高は除いている。また、2019年度第3四半期のみPayPayモールを含むが、ZOZOTOWN本店の取扱額は除いている。増加要因としてはZOZO連結子会社化による影響やPayPayモールオープンによる拡大、または消費増税前の特需によるものとされている。なお、eccLabの集計は2019年1月~12月の値となるため、Zホールディングス公式発表の2019年度通期の値とは異なる。
ヤフオク! 流通総額:8,212億円
同じくZホールディングス株式会社の決算説明会資料によると、2019年のヤフオク!の国内流通総額は8,212億円となった。2018年は9,011億円だったため、前年比8.9%減となった。C2C系のメルカリが順調に伸びているのとは裏腹に、2年連続の減少となっている。減少要因としては、2019年度下半期に向けて販促費を削減したことなどが挙げられる。なお、eccLabの集計は2019年1月~12月の値となるため、Zホールディングス公式発表の2019年度通期の値とは異なる。
メルカリ 流通総額:5,434億円
フリマアプリのメルカリの決算説明会資料によると、国内の2019年の流通総額は5,434億円となった。2018年の国内の流通総額が4,178億円の為、前年比30.1%増となる。昨年までの急成長と比較すると多少緩やかになったものの、国内ECにおいては依然として高い成長率を維持している。
ZOZOTOWN 流通総額:3,423億円
ZOZOTOWNを運営する株式会社ZOZOの決算報告資料によると、2019年のZOZOTOWNの流通総額は3,423億円となり、前年比10.9%増となった。昨年までの成長率と比較すると落ちているものの、これは2019年9月に株式会社ZOZOがZホールディングス株式会社(旧:ヤフー株式会社)に買収されたことによる影響も大きく、このような環境の中でも手堅い成長を達成したと見るべきかもしれない。
EC-CUBE 流通総額:2,100億円(推測)
オープンソースECパッケージEC-CUBEを運営する株式会社イーシーキューブは、2019年8月時点での年間流通総額が2,100億円であると公表している。eccLabではこれを基準に、2019年の流通総額も同様に2,100億円であると推測する。2014年のものと思われる流通総額は1,500億円とされているが、その後の情報公開がないため、前年比は不明である。
MakeShop 流通総額:1,734億円
MakeShopの発表によると2019年流通額は1,734億円。2018年の流通総額は1,594億円のため、前年比8.8%増となった。8年連続で国内のカートASPジャンルの中での流通総額No.1となっており、この背景についてMakeShopは「EC市場の動向に合わせたサービスや機能の強化・拡充が起因していると考えられる」とコメントしている。
ラクマ 流通総額:1,500億円(推測)
ラクマの流通総額は公表されていないが、2017年には流通総額が1,400億円に達していたことが明らかになっている。2018年はそれまで無料だった手数料が3.5%に変更されたこともあり、流通総額は1,500億円と推測。2019年も情報公開や数値の更新が見られないことから、流通総額は昨年と同様1,500億円と推測する。
カラーミーショップ 流通総額:1,459億円
国内のショッピングカートサービスで最大規模の出店店舗数を誇るカラーミーショップの発表によると、2019年の流通総額は1,459億円、前年比10.9%増となっている。
Wowma! 流通総額:1,287億円(推測)
auコマース&ライフ株式会社が運営しているWowma!の流通総額は正式には公表されていないため、過去からの情報を元に推測を行う。eccLabでは2016年度の流通総額を約500億円、2017年度はWowma!フォーラムで流通総額の年間成長率を132%と発表していることから流通総額660億円、2018年度は成長率が150%とのことから990億円と推測。そして2019年は前年比30%増との関係者からの情報から、流通総額は1,287億円と推定する。
Qoo10 流通総額:1,209億円(推測)
Qoo10は、ここ数年で大きく運営母体が変わっていることもあり、流通総額は断片的な情報を組み合わせて推測するしかない状況が続いている。eccLabでは今回もQoo10の流通総額の推測を行う。まず、2017年のQoo10全体の流通総額は12億ドルで、その半分が日本によるものとの記事から2017年の流通総額は667億円と推測。また、2017年の流通総額は前年比40%増との記事から、2016年の流通総額は476億円と推測。2018年もユーザー数の継続的な増加が公表されていることから40%程度の増加と推測し、930億円と推測。2019年は「前年比30%増のペースで流通総額を拡大している」という記事の記述をもとに、1,209億円と推測する。
futureshop 流通総額:1,141億円
国内大手ショッピングカートfutureshopを運営する株式会社フューチャーショップのオウンドメディア「E-Commerce Magazine」の記事によると、2019年のfutureshopの流通総額は1,141億円。2018年の流通総額は1,085億円のため、前年比5.2%増となる。稼動店舗数は2,500店舗となっており、毎年100店舗のペースで増加を続けているとのこと。
ショップサーブ 流通総額:850億円(推測)
ショップサーブについてはデータの公表がここ数年行われていない。以前の公式サイトには累計値の掲載があったため、そこから逆算を行っていた。2013年3月掲載の流通総額の累計値は6,421億円、2014年3月は7,089億円、2016年3月に1兆円となっていた。そかしそれ以降の情報公開はないため、2019年の流通総額も昨年と同様850億円と推測する。
BASE 流通総額:429.6億円
インスタントECを提供するBASEはこれまで流通総額を公表していなかったが、今回より決算説明資料が公開された。資料によると、2019年の流通総額は429.6億円。同資料内に2018年の流通総額が269億円との記載があるので、前年比59.7%増となる。
minne 流通総額:119.8億円
ハンドメイドサイトminne(ミンネ)を運営するGMOペパボ株式会社の決算資料のp8によると、2019年のminneの流通総額は119.8億円。2018年の流通総額が120.7億円の為、前年比0.75%減となった。今後はカラーミーショップなどのストックビジネスによる継続的な収益を基盤として、minneを含む成長期待の高いサービスへの戦略的投資を行い、サービス規模を拡大していくという。
推測困難なその他のサービス
ハンドメイドサイトCreemaは2016年の流通総額が100億円であることが公表されているが、それ以降の情報公開がなく推測不能。カートASPサービスのおちゃのこネットは2017年の流通総額が320億円とされているが、その後の情報公開がないため推測不能。インスタントECサービスSTORESは「毎年、前年比2倍以上のペースで流通額が増加している」という記事はあるものの、数字が全く公開されていないため、昨年までに引き続き推測不能としている。
海外20のECモール・カートの流通総額ランキング
続いては、海外の20の主力モール・カートサービスなどの2019年(1月~12月)の流通総額を見ていく。こちらも公表データだけでなく、eコマースコンバージョンラボ編集部による推測値も掲載し、流通総額が多い順に紹介していく。
Taobao(淘宝网/タオバオ) 流通総額:52兆4,308億円(2019年4月から2020年3月までの値)
Alibabaグループの通期実績資料によると、2019年度のAlibabaグループの流通総額は6.589兆人民元であった。また、同資料によるとTaobaoの流通総額は3.387兆人民元となっている。Alibabaグループは例年4月から3月までの流通総額しか公開しておらず、当記事の他のサービスにおける集計期間である1月から12月までの値は推測が困難なため、ここでは公開数値をそのまま使用する。2019年の平均為替レートを15.48円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、中国元に対しては全てこの値を使用)、日本円に換算すると52兆4,308億円、前年比8.7%増となる。
Tmall(天猫) 流通総額:49兆5,670億円(2019年4月から2020年3月までの値)
タオバオと同じ根拠から、中国大手ショッピングモールTmall(天猫)の流通総額は3.202兆人民元となっている。これは日本円に換算すると49兆5,670億円、前年比22.6%増となる。
Amazonグローバル 流通総額:37兆6,782億円(推測)
米Amazon.comが公開している年次報告書の18ページによると、2019年のグローバルにおける売上高は2,805億2,200万ドルで前年比20.5%増となった。この値はAWSなどのEC事業以外も含む。EC事業のみで見ると(年次報告書38ページ)、1,604億800万ドルで前年比13%増となっており、日本円にして17兆3,318億円となる。この値も第三者が売主になるものが手数料10%程度しか計上されていないため、eccLabでは海外のマーケットプレイス割合は国内よりも多いことから60%と推定。このことから、グローバルでの2019年の流通総額は37兆6,782億円、前年比35.2%増と推測する。なお今回から前年比の計算方法についてもマーケットプレイス割合を考慮したものに修正した。
また、2019年の売上高を地域別に見ると、アメリカが1,936億3,600万ドル、ドイツが222億3,200万ドル、イギリスが175億2,700万ドル、日本が160億200万ドル、その他の地域が311億2,500万ドルとなっており、昨年と同様、日本は世界で4番目の売上高を誇る規模になっている。また、本国米国の売上高は69%を占めている。
JD.com(京東商城/ジンドン) 流通総額:32兆2,820億円
中国大手ショッピングモール京東商城(JD.com)や京東全球購(JD Worldwide)などを運営するJD.comの決算発表資料によると、2019年の流通総額は2兆854億人民元で、日本円に換算すると32兆2,820億円となる。2018年の流通総額が1兆6,769億人民元のため、前年比24.4%増となった。
eBay 流通総額:9兆2,394億円
米国eBay Inc. が発表した投資家向けリリースによると、eBayの2019年の流通総額は855.1億ドルで、日本円にすると9兆2,394億円となった。2018年の流通総額が898.29億ドルのため、前年比4.8%減となっているようだ。
Shopify 流通総額:6兆6,060億円
北米大手ショッピングカートサービスShopifyが発表した年次報告書によると、Shopifyの2019年の年間流通総額は611億3,800万ドルとなり、日本円にすると6兆6,060億円となった。昨年の流通総額が411億300万ドルなので、前年比48.7%増となる。
2017年末に日本市場へ参入以来急成長を遂げているShopifyは、米国と日本のShopify利用店舗を対象に、管理画面を経由して楽天市場での店舗運営を可能にするサービスを4月7日に開始したばかりだ。国内外における今後のサービス拡大に注目していきたい。
Suning(蘇寧易購/スニン) 流通総額 3兆6,959億円
蘇寧易購の年次報告書によると、中国第4位のECモールである蘇寧易購の流通総額は2,387.53億人民元、日本円に換算すると3兆6,959億円となる。前年が2,083.54億人民元となっているため、前年比14.6%増となる。
VIP唯品会 流通総額2兆2,941億円
VIP唯品会の年次報告書によると、中国第5位のECモールであるVIP唯品会の流通総額は1,482億人民元、日本円に換算すると2兆2,941億円となる。前年が1,310億人民元となっているため、前年比6.7%増となる。
Shopee 流通総額:1兆8,991億円
シンガポールに本拠地を置くSeaが運営する、東南アジア地域で急速に普及しているC2CモールのShopeeの流通総額は、Seaの決算発表によると175億7,620万ドルであった。これは日本円にすると1兆8,991億円となる。昨年の流通総額が102億7,930万ドルのため、前年比71%増となる。
Mercado Libre 流通総額:1兆5,124億円
アルゼンチンに本拠地を置き、中南米向けにECモールを展開するMercadoLibreの流通総額は年次報告書によると、2019年の流通総額は139.974億ドルであった。これは日本円にすると1兆5,124億円となる。昨年の流通総額が125.049億ドルのため、前年比11.9%増となる。
Tokopedia 流通総額:1兆4,430億円
インドネシアに本拠地を置くC2CモールのTokopediaの流通総額は、Tokopediaによる予測によると222兆ルピアに達する見込みとのこと。2019年の平均為替レートを0.0065円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円にすると1兆4,430億円となる。昨年の流通総額が73兆ルピアのため、前年比204%増となる。この前年比率は今回調査したサービスの中で最大の成長率である。ShopeeやTokopediaと言った東南アジア地域のC2Cモールの躍進は凄まじいものがある。また、この流通総額はインドネシアのGDPの1.5%にも相当するとのこと。
Zalando 流通総額:9,887億円
ドイツに本拠地を置くオンラインアパレルサイトZalandoの発表によると、Zalandoの2019年の流通総額は82億ユーロとなり、2019年の平均為替レートを120.57円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円に換算すると9,887億円となった。昨年の流通総額が66.4億ユーロだったため、前年比23.5%増となる。Zalandoは昨年、2019年のGMVを20~25%成長させるという目標を発表していたが、その目標を見事達成したことになる。
Etsy 流通総額:5,375億円
米国ハンドメイドマーケットプレイスEtsyの決算発表によると、Etsyの2019年の年間流通総額は49億7,494万ドルとなり、日本円にすると5,375億円となった。昨年の流通総額が39億3,175万ドルなので、前年比26.5%増となる。
Bukalapak 流通総額:4,550億円
インドネシアに本拠地を置くC2CモールのBukalapakの流通総額は、同社による予測によると70兆ルピアに達する見込みとのこと。日本円にすると4,550億円となる。昨年の流通総額が48兆ルピアのため、前年比45.8%増となる。インドネシアの最大手Tokopediaの陰に隠れる形になっているが、このBukalapakも成長力が非常に高い。
中国の越境ECモール・アプリ(推測)
データ分析会社、易観分析の推測分析によると、2019年越境EC輸入小売市場の流通総額は4,822.6億元、前年比14.4%増となっている。IImediaの報告によると2019年上半期の越境EC輸入小売市場の流通総額のうち、網易Kaolaは27.7%、Tmall 国際は25.1%、JD.Worldwideは13.3%、VIP唯品会(国際)は9.9%、小紅書(RED)は6.1%、aomygodは1.9%を占めている。これから、網易Kaolaはおよそ1,336億元(2兆679億円)、Tmall国際はおよそ1,210億元(1兆8,738億円)、JD.Worldwideはおよそ641億元(9,929億円)、VIP唯品会(国際)はおよそ477億元(7,391億円)、小紅書(RED)はおよそ294億元(4,554億円)、aomygodはおよそ92億元(1,418億円)となる。
推測困難なその他のサービス
マレーシアを中心とした、東南アジア最大級のショッピングモールLazada、2018年にWalmartに買収されたインド最大手のECサイトでありインドのAmazonとも言われるFlipkart、同じくインドの大手ECサイトで、ありソフトバンクやアリババが出資していることでも知られるSnapdeal、韓国最大のショッピングモールGmarket、ポーランドを本拠地として欧州で展開するモールallegro、トルコを本拠地として中東地域に展開するモールのTrendyol、n11、同地域に展開するeBayが親会社となっているマーケットプレイスのGittiGidiyor、Amazonが親会社となっているアラブ世界最大のECモールSouq、アリババグループでグローバルに越境ECプラットフォームを展開するAliExpressは、いずれも流通総額を公表しておらず、推測するための情報も存在していない。
国内16・海外20の各主力プレイヤーの流通総額ランキングから見る市場トレンド
国内16サービス、海外20サービスの流通総額を紹介してきたが、ここで全てのサービスを流通総額順に並べてみる。
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2019年も頭が抜けている上位4サービス、Taobao、Tmall、Amazon、JD.comは安泰だ。ただ、トップのTaobaoの成長率は一桁となり、他の3サービスは20%以上の成長をしているため、2020年では特に同じアリババグループ内での首位交代の可能性は有り得そうだ。その他の上位陣では、Shopifyの成長率が鈍化しつつあるも他と比べると非常に高くなっている。また、東南アジアのShopee、Tokopediaの成長率は非常に大きく今後が楽しみなサービスだ。ただ、依然として30兆円オーバーの上位4サービスを伺う可能性のあるサービスは存在せず、3兆円以上10兆円までの5サービスのグループと、それ以下のグループでまだまだ流通額に大きな溝がある。
一方で、世界的に見ても拡大傾向が続ている市場ではあるが、ebayやヤフオク、minneと言ったC2C系のサービスや、越境EC系のサービスにおいてマイナス成長となっているサービスも少しずつ増えてきている。
続いてサービス形態別に見てみよう。
世界のマーケットプレイス(C2C)型の流通総額ランキング
まずは、マーケットプレイス(C2C)型の流通総額を見ていく。
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マーケットプレイス型のサービスは世界的に見ても非常に成長率が高いジャンルとなっている。しかし、2019年は成熟市場では成長が若干頭打ちしてきており、ebay、ヤフオク、minneなどマイナス成長となっているサービスが目に付くようになってきている。上位2サービスは前回までと変わらず、中国のタオバオが圧倒し、次いで米国のebayとなっている。またここには掲載していないが、Amazonは流通総額の6割がマーケットプレイス型によるものとされているため、額面通りに計算すると22.6兆円となり、ebayを上回り2番目にランクされることになる。今後は、東南アジア系のShopee、tokopedia、bukalapak等を中心としたサービスが市場の成長を牽引していくだろう。
世界のECモールの流通総額ランキング
次にモール型サービスの流通総額を見ていく。
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モール型は爆発的な成長はないものの、いずれも堅実に10%から30%程度の成長率で推移している。Tmall、Amazon、JD.comの3サービスの流通総額は頭二つ程度抜けている。4位グループの楽天、中国第3位のSuning、第4位のVIPなど、2兆円から3兆円台での攻防も熾烈だ。このレベルの流通総額には、今後、インドや南米、中東などのサービスも到達してくるのではないだろうか。
越境ECモールの流通総額ランキング
次に越境ECモールの流通総額を見ていく。今回も主に中国市場発のものだけとなる。
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KaolaとTmall国際の上位2サービスは成長率も高く、抜けており2強と言える。VIP唯品会(国際)はマイナス成長で、昨年までと5位と6位は顔ぶれが変わっており、今後も入れ替わりが予想される。
世界のショッピングカート・PKGの流通総額ランキング
次にショッピングカートASPサービス、及びECパッケージ(PKG)の流通総額を見ていく。
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カートサービスは、2年前からShopifyが世界的に見ても圧倒的に制圧している。ここ数年、日本国内でも営業を強化してきており、選択肢候補にも上がることが大きなってきている。当初は英語だけでの展開だったものの、ここ数年は多言語化に成功しており、今後もこの流れは続きそうだ。国内サービスも堅調に推移しているものの、爆発力はなく、言語の問題もあり海外進出を考えているサービスは無さそうなため、限られた国内のシェアを奪い合う展開が続きそうだ。
こうして流通総額を並べて見ると、2019年は中国や欧米、日本などの成熟市場の成長率が一段落する中、東南アジアなどの新興地域の成長率が非常に高くなっている1年だったと言えるのではないだろうか。中国の規模感や東南アジアなどの成長率に圧倒されるが、海外サービスと国内サービスを並べてみることで多くの気付きを得ることが出来るのも事実だ。今後のEC業界の市場トレンドの検討のインプットにしていって頂ければ幸いだ。
今回も新規に南米や東南アジア地域で調査対象に追加したサービスがあるが、今後も、南米、中東、東南アジアなど新興市場で爆発的成長を行っているサービスも含めて調査を行っていく。
当記事で使用した全データ(エクセル版、及び高解像度グラフ画像)はこちらからダウンロードできます。ご利用に際してデータ出典元を明記頂いた上で、ご自由にお使いください。
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