リサーチ&デザインラボのSPACE10と、IKEAの世界的なフランチャイザーであるInter IKEA Systemsは、最新のデジタル実験の結果を、進化する実験プラットフォームであるEverydayExperiments.comで公開した。

 

一連のデジタル実験であるEveryday Experimentsは、家庭におけるテクノロジーの役割を探り、日常を特別なものにすることを目的としている。共同研究者たちは、人々が室内に閉じこもっている時間を考慮して、日常を少しでも良くするために、家庭内の問題から逃れる方法と解決する方法の両方を模索した。その結果、AI(人工知能)を活用したレシピジェネレーターや、瞑想のためのウォーキングアプリケーションなどが生まれた。

 

Inter IKEA SystemsのデジタルマネージャーであるFredrik Axénは次のように語っている。

「IKEAは、多くの人々に刺激を与え、この星の中でより良い日常生活を送れるようにすることを目指している。空間コンピューティングは、家の中でお互いを感じ、理解し、つながり、コミュニケーションをとる新しい方法を可能にする。テクノロジーを個人や集団でも新しい方法で使用することで、自宅での生活を改善するだけでなく、4面の壁という物理的な制約から逃れ、部屋から出る必要なくテクノロジーを使用するには、どうすればよいだろうか」。

 

これが、最新の実験の概要だ。

 

フィールド・システムズのVirtual Oasis

Virtual Oasisは、拡張現実(AR)と空間音響を用いて、ユーザーをガイド付きの瞑想の旅に誘い、自宅の境界をデジタルの楽園にまで広げるもの。この複合現実体験では、古代の技術を現代の技術で再現し、瞑想と回復のための空間を提供している。Virtual Oasisは、周囲の音を使用して、ユーザーを瞑想状態に導く。これは、リラクゼーションやストレス解消のために、サウンド・バスのような聴取方法に基づいている。

 

OskによるAlgorithmic Chef

Algorithmic Chefは、物体検出と人工知能(AI)を用いて、無駄になってしまいそうな食材から独自のレシピを作成するもの。このアプリケーションでは、まず物体検出の技術を使って個々の食材を視覚的に識別し、次に、さまざまなレシピで訓練された自然言語処理システムを使って、タイトル、説明、材料を含むオリジナルのレシピを作成する。その結果、ユーザーがすでに持っている食材のみを使用したパーソナルな料理が完成し、キッチンでの創造的で持続可能なアプローチを促進することができる。

 

OskのMood Blossom

Mood Blossomは、AIを使って、ユーザーの幸福感を反映した花のアバターを生成する。このアプリケーションは、より統計的な理解とのバランスをとるために、自然を基盤とすることで、ユーザーがどのように感じているかを直感的に表現する。ユーザーの全体的な幸福感を把握するためのインタラクティブな体験を提供し、ユーザーに一連のプロンプトを提示して応答させる。そして、言語や数値データではなく、敵対的生成ネットワーク(GAN)を使用して、ユーザーの現在の幸福感を表すパーソナライズされた花を生成するというものだ。

 

Pitch StudiosによるForever Meadow

Forever Meadowは、瞑想的なウォーキングアプリケーションだ。ユーザーの足の動きがトリガーとなって、周りに無限の庭を作り出す旅に誘う。物理的に不可能な場合もあるが、多くの人は自然界との密接な関係を切望し、アウトドアに憧れている。Forever Meadowは、瞑想的ウォーキング(外出中に心を落ち着かせるために使われるテクニック)の効果を家の中で体験できるツールとして、拡張現実を提案している。

 

Tin & EdによるKaleidoscopic Home  

Kaleidoscopic Homeは、遊び心のある空間介入により、ユーザーの自宅での生活を豊かにし、身体的・精神的な健康を増進させるARアプリケーションだ。このアプリケーションは、ユーザーが物理的な空間をデジタル的に拡張することで、より活動的で、創造的で、遊び心のある生活を促進する方法を探る。

 

Yuri SuzukiのConvolution Reverb

Convolution Reverbは、空間音響を用いて、ユーザーが自宅の部屋の形や大きさ、素材感を新たに体験できるアプリケーションである。このアプリケーションは、スマートスピーカーを使って、部屋の寸法を音で変化させ、壁や天井の位置、大きさ、形状、素材を自由に変えて、周囲の環境を変化させることができる。ユーザーは、カスタマイズした場所と現実の場所を行き来して、まったく新しい音の風景を体験することも可能だ。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の9/20公開の記事を翻訳・補足したものです。