PPC(ペイパークリック広告)のプロは、適切なツールを使用することで、予期せぬ変化が起きたときにフォローすべき自動化戦略を設定することが可能だ。

 

PPCのプロはこの1年の間に、適応性、創意工夫、そして機敏なマーケティングについての短期集中コースを受講したようなものだ。パンデミック時代において、PPCで成果をあげた人は、”PPC’ology (PPC学)”の高度な名誉学位を受けるに値するだろう。スマートで効果的なPPCが、まさに、ブランドを崩壊の瀬戸際から救ってきた事例は多い。

 

現実を見てみよう。PPCのプロは、PPCは、初めて登場してから常に、改革をおこなっているという状況を経験している。印刷物や放送などの他のマーケティング分野と比べると、PPCは、せいぜい青春期にあり、実際に、仕事をするのに刺激的な領域である。そして2020年、我々は非常に短期間で、より多くの再発明と適応を強いられた。

 

この1年の混乱は、実は、恵みなのかもしれない。スマートなPPCのプロは、思い通りに使用できるツールを利用し、人々の検索を使用した商取引方法のニューノーマルに適応しながら、ブランドが回復の波に乗る体制を整えている。

 

PPC自動化:2021の理念とすべき2020年からの教訓

特にこの1年間、PPC自動化がもたらすパワーとその落とし穴について非常に長く議論されてきた。それは、2020年10月21日のSearch Engine Landの記事の主なトピックであり、パンデミック対応としてローンチされ今では隔週で開催しているバーチャルPPC Town Hallにおいて、繰り返し取り上げられたトピックでもある。

 

レッスン1:ステイホームしながらも、取引を行っている

パンデミックの初期には、多くの人々が、経済や雇用への懸念から支出がされなくなるのではないかと危惧していた。しかし、多くのケースでは、逆の結果となった。多数の分野ではパンデミックによる購入が急増し、この変遷を予想していた人たちが勝利した。

 

今、高度に自動化されたチャネルでどのように仕事をするのか以上の議論を進め、最近の狂気じみた予測不可能な数ヶ月の間に学んだレッスンと結びつけたいと考えている。確かに自動化によって、基本的なPPC運用を容易にするが、それはまた、怠ける原因ともなる。ここで怠けてはいけない。2020年からいくつかのヒントを得て、適応することを学び、卓越した存在となっていこう。自動化されたツールと手動コントロールをスマートに組み合わせ、行動変化を予測し、迅速に対応することで、他社より優位に立つことができるのだ。

 

  • 自宅で過ごす時間が増えたことで、ホームセンター商品、ホームオフィス用品、家電製品、造園サービス、その他、自宅隔離をより過ごしやすくするための商品への支出が増えた。
  • ジムの閉鎖により、自転車やホームフィットネスギア、カヤック、オンラインのヘルスコーチングの需要が急増した。
  • 飛行機での移動が減り、陸移動が増えたことで、より快適な自動車やバイクの購入が促された。この動機付け要因の変化を理解し、Campaign AutomatorOptmyzrのキャンペーン自動化ツール)のようなツールを使用して適切な在庫優先順位付けを行った自動車ディーラーは、2020年に大儲けしている。

 

多くの指標が示すように、いまでは、多くの企業や従業員が、より柔軟性に対応しリモートワークに関する取り決めを受け入れている。人々は、毎日渋滞で過ごしていた1時間以上の時間を取り戻したことを喜んでいる。そして上記のように、人々というのは、自分の状況を最大限に良いものにしようとするのである。2020年の出来事によって引き起こされたこれらの要因の組み合わせが、人々のブランドとの関わり方や(仕事中か否かにかかわらず)商取引を行う方法に、恒久的なシフトをもたらす可能性がある。

 

PPCのプロは、戦略的な役割により注力し、過去には自分自身で行っていた退屈で反復的なボタンを押す業務を機械に任せることで、成功を収めることができる。しかし、2021年以降にPPCを成功させるためには、人間が不可欠な存在であることは明白である。

 

消費者行動は、社会的、そして、パンデミック関連の圧力によって、予期せぬ形で変化し続けているため、機械が単独で成果を上げることはできない。人工知能と機械学習は歴史的な傾向とデータを利用しているのだ。

 

機械は、コンバージョン率に影響を及ぼす外的要因に対応し入札を変更することはできる。しかし、企業が流通モデルを変更し、2020年の重要な新トレンド(例えば、BOPIS:オンラインで購入し、店頭で受け取るサービス)を強調するために全広告を作り直すべきだと判断することはできない。2020年から学ぶべき主要なレッスンの一つは、現場で急速に変化するダイナミクスは、機械が無駄な広告費を回避するために使用できるシグナルを送ることは可能だが、必ずしも企業が新たな機会を獲得するのに役立つわけではないということである。

 

PPCのプロには、使用可能なツールをマスターし、より深い戦略的インサイトを適用して、機械の能力を最大限発揮させ、検索広告を介してオーディエンスに到達させるチャンス(と責任)があある。

 

2021年以降は、プラットフォームツールだけに頼っていては成功しない。Google、Bing、Amazon、Facebookのネイティブでバラバラな自動化機能は、基本的な有料検索には確かに有効である。しかし、より優れた結果を求める高度なPPCマーケッターのニーズには適していない。

 

進化する2021年のデジタルマーケティング環境で、PPCのプロは開発と機会獲得の最前線にいなければならない。今年のPPCの成功者は、使用可能なすべてのツールを最大限に活用する人たちである。

 

レッスン2:人々は便利さを愛し、eコマースは全能の王となる

さて、表面的には、利便性の重要性は分かり切ったことである。しかし、ここ数ヶ月の間に、安全と安心への欲求が高まり、人々は簡単さと便利さへのニーズにより投資するようになった。スマートなPPCマーケッターは、自社のマーケティングミックスをより全体的に見ている。考慮すべき点をいくつか挙げてみよう。

 

  • 「検索」という概念は、GoogleやBingをはるかに超えている。検索は、AmazonやFacebook(特に、Marketplace)を含め、あらゆる場所で行われている。
  • 人々は、1つのチャネルだけで検索するわけではない。Googleで検索を開始し、その後、Marketplaceで同レベルの中古品を検索、そして、利便性の高いAmazonで購入を検討することもある。
  • リモートワークに移行したことで、より多くの人の画面視聴時間が増加した。勤務時間にちょっとした買い物をした人もいるかもしれない。(今後も、そうする可能性が高い。)
  • 人々は、食事をしなければいけない。多くの人は、これから先も長期的に、屋内のレストランを避けるか可能性があるが、自宅のドアまでレストランから届けられる食事を非常に好むようになるかもしれない。

 

一つの芸しかできないポニーのようなPPCのプロは、もう通用しないのだ。クロスチャネルPPCマーケティングで、成功を収める人が急増するだろう。単一のインターフェースで管理された効果的な一元化されたキャンペーンを実行することで、PPCマーケターはよりパワーを得て、顧客がどこにいて、どのように行動しているかを把握することができるようになる。

 

広告主は、各チャネルを個別に最適化し、それぞれのチャネルの独自機能を最大限に活用した上で、クロスプラットフォームで予算を最適化し、最もパフォーマンスの高いチャネルに広告費を優先的に投下することを考えていく必要があるだろう。

 

レッスン3:サプライチェーン混乱は、販売力に大打撃を与える

「通常」時でさえも、企業はサプライチェーンや配送チャネルの予測可能性に苦心している。顧客の需要を満たす上で、些細な混乱が大きな困難につながる可能性がある。

 

トイレットペーパーやハンドサニタイザーからマウンテンバイクやスキー場の空き時間帯に至るまで、サプライチェーンと販売可能在庫によって、販売能力は大きく制限される可能性がある。過去数か月の間に、世界的なパンデミックによって、「予測不可能」な事態が日常となり、マーケティング担当者は、実際に売上を生み出すまでにさらなるチャレンジを強いられた。

 

  • サプライチェーンのかなり上流での混乱が起きると、特に需要が突然急増した場合には、販売能力を予測することはほぼ不可能となる。
  • サプライチャネル間でのデータソースのばらつきは、マーケターが、何をいつ、どのように販売すべきかを理解するのをさらに難しくする。
  • 非常に大きな混乱は、それが短期間生じただけであっても、数か月に及ぶ影響を与える可能性がある。

 

広告主は、販売準備ができている商品だけに集中して広告を掲載していくべきだ。アカウント構造、広告テキスト、キーワード、拡張子などのテンプレートを指定すると、必要なキャンペーンや広告グループを自動的に構築して、在庫のある商品の広告を出稿することができる。さらに、広告主が最安値、製品バリエーションの数や、緊急性を感じさせる限定在庫(例:「残り3個」)などのダイナミックな要素を挿入することで、より関連性の高い広告を作成していってもいいだろう。

 

 

Google Merchant Feed(オンラインストアがGoogleに商品情報を送信するための管理画面)を利用している広告主は、Shopping キャンペーンやSmart Shopping キャンペーンの自動化も進めていきたい。サードパーティーのツールの利用によって、高度なショッピングキャンペーン構造を数分で構築することができ、定期的に更新されるため、人気のある商品が在庫切れになったときには、広告費の無駄遣いを防ぐことができるものもある。

 

2021年の目標を達成するためには、2020年から学ぶことが必要である。

 

ここ数か月の間に学んだレッスンによって、マーケターはより強く、より適応力を得て、よりクリエイティブになった。プラットフォームレベルのツールに頼っているだけでは、成功しない。

 

次の話に移る前に、今いるすべてのPPCのプロに賞賛の言葉を贈りたい。NASAのアポロ13号時代のチームの功績を語るとき、フライトディレクターのGene Kranz氏は、誰もが自分の人生の中で少なくとも一度は、自分の功績を称えるために紙吹雪の舞うパレードをするべきだと考えていると述べたことは有名な話である。

 

PPCのプロのために、パレードをすることができればいいのだが、ソーシャルディスタンシングの観点から現実的ではないし、実際には、紙吹雪のパレードは、全く環境的に許容されていない!しかし、今の時代の精神に基づき、2021年に向けて、私たちが一丸となって通常に近い生活に戻ることを約束しつつ、バーチャルな紙吹雪の祭典をお届けしたいと思う。

 

補足:当記事に記載した内容は、 Optmyzr社のツールを利用すると、比較的容易に運用が可能となる。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の1/19公開の記事を翻訳・補足したものです。