多様なメジャメント(効果測定)手法を実行しつつ、コネクテッドTV(CTV)やプレロール広告に注力しよう。

 

動画は広告主にとって魅力的なチャネルであるが、動画広告キャンペーンの戦略や指標に関しては、一般的な意見の一致がまだ得られていない。よくある誤解の一つは、動画キャンペーンは複雑なものでなければ高いROI(Return on Investment/投資利益率)を達成できない、というものだ。

 

Merkle(米国のグローバルパフォーマンスマーケティング代理店)のCX(カスタマーエクスペリエンス)戦略担当副社長であるRocco Albano氏は、米国で開催されるマーケティングテクノロジーイベントMarTechで次のように話している。「提供しているカスタマーエクスペリエンスを、動画を使ってシンプルにすべきであって、より難しく複雑なものにすべきでない。統合された効果的で使いやすい動画体験を実現することは難しいが、顧客とビジネスに大きな利益をもたらすことを、計画の最初から理解しておくこと」。

 

Albano氏の全プレゼンテーションはここから視聴できる。

 

顧客エンゲージメントを高め、販売を加速させるために、動画広告キャンペーンの利用が増加している。引き続き5Gが本格展開し、ブロードバンドの高速化が実現すれば、動画広告キャンペーンの量は増加するばかりであろう。画像やテキストよりも、動画や映画の方がインパクトがあるということは、顧客の72%が動画を通して商品やサービスについて情報を得たいと考えているという結果が出たHubSpot(米国のマーケティング企業)による2020年の調査を含め、数十件の調査でも十分に示されていることだ。

 

Adtaxi(米国のマーケティング代理店)のシニアセールスディレクターであるLindsy O’Connor氏は、最近のウェビナーで次のように話している。「FacebookやInstagramのライブ動画は、事前に録画された動画の約3倍視聴されている。適切な動画戦略の導入とは、ブランドを露出させることではなく、消費者にブランドやそのサイトを見てもらうよりも、コンバージョンを獲得したいかどうかということが重要である。それは、動画広告に関することだけではなく、ビジネスの収益を生み出すためにどのようにピボットするかということである」。

 

AdtaxiのMarTech Todayでの全ウェビナーはここから視聴できる。

 

トレンドの把握

2020年の動画分野におけるあらゆる動きにもかかわらず、2019年のトレンドはすべて今年に引き継がれている。より深いパーソナライゼーションを備えたモバイルデバイス上でのより短時間の動画広告は、動画分野における3つのトレンドであり、今後も確立されたものとなるだろう。また、マーケターが正しい方法でプログラマティック広告のバイイングを行えば、高いROIが継続して得られる。

 

「プログラマティック広告キャンペーンから獲得できるデータを、過小評価してはいけない。同キャンペーンは、最もデータ獲得におけるROIが高く、それらのデータを獲得するための最も手軽な『広告チャネル』なのだ」とO’Connor氏。

 

また、動画分野には多くのプラットフォームや、製品、ツールがあるが、ほとんどの企業のマーケターにとって、キャンペーンの主な目標は一つである。それは、エンゲージメントを獲得し、収益を生み出すコンバージョンに変えることだ。多くのマーケターは、これを達成するためには、高価で高品質な動画キャンペーンが必要であると信じているが、それは高いROIの達成にマイナスに働く可能性がある。

 

「動画は高品質である必要はない。本物の動画はよりリアルで、一般人からも好意的に受け入れられている。また、動画に多額の費用をかけたり、時間をかけたりする必要はないのだ」と、AdtaxiのCX担当ディレクターであるBob Batchelor氏は最近のMarTech Todayのウェビナーで語った。

 

ベンダーのベストプラクティスは、クライアントからの動画リクエストに対し、3~4営業日で作業を完了させることだ。予算が少なく、人材が不足している状況に直面しているマーケターは、過去の動画コンテンツが現在のキャンペーンと関連性がある場合には、迷わずそれを取り入れるべきだ。低額の予算をフル活用するために、1つの動画のCTA(Call to Action/行動喚起)だけを変更した複数バージョンを使用し、ディストリビューションを増やすことで、キャンペーンを即座に拡大することができる。

 

「動画コンテンツのポイントは、最初の10秒でユーザーを引き付けることだ。そして、予算を最大限に活用するために、社内スタッフを活用したり、大学生からの協力を得たりといった、その他のあらゆる動画コンテンツを生成する方法を考えてみてほしい」とBatchelor氏は話している。

 

チャネルの選択

では、動画コンテンツのROIを最大化するために、マーケターはどの広告チャネルを使うべきだろうか。O’Connor氏は、コネクテッドTV(CTV)とオンラインプレロール広告の二つを強く推奨している。

 

「どのチャネルを使う場合でも、すべての動画広告はクリック可能なものにして、トラフィックをウェブサイトに直接誘導する必要がある。これまでに動画キャンペーンを実施したことがない場合や少ししか経験がない場合は、コネクテッドTVにすぐさま着手する前にファネルの下位から始めることだ」と同氏。

 

CTVと、Hulu、Netflix、YouTube TVなどのチャネルは絶大な人気を誇っているが、マーケターは動画キャンペーンコンテンツを、すべてのチャネルを包含し、且つ、CTV、プレロール広告、ソーシャルプラットフォームやGoogle/YouTubeなどで実行できる形式で戦略化する必要がある。

 

「コネクテッドTVは今や、最大のオーディエンスでを誇る。そこはオーディエンスがいる場所であり、そのオーディエンスの目に触れるために戦略を調整する必要がある」とO’Connor氏は語っている。

 

没入型環境の活用

企業のマーケティングチームや十分な予算のあるチームにとって、没入型環境への投資は高いROIを生み出し、ブランドを構築しながら販売サイクルを短縮することができる。

 

没入型環境が生み出したROIの輝かしい事例は、国際的な美術品オークションハウスであるSotheby’sのものである。同社は没入型環境を構築し、2020年には、すでに250回以上のライブオンラインオークションを開催している。これにより、絵画が5,000万ドルをはるかに超える額で落札され、数々のオンライン販売の記録が塗り替えられた。

 

では、 Sotheby’sはどのように動画を使ってアート市場を変革したのだろうか。

 

Sotheby’sは、没入型のVR(仮想現実)ウェブベースのアートギャラリー体験に、高品質のプリセールマーケティング動画を導入したのだ。ゲストは、絵画を拡大したり、プレセールの見積もりを取ったり、さらにはアーティストの経歴を取得することができる。現在、Sotheby’sは、収益を増やすために、ライブやリモートでのリアルタイムオークションを開催し、VRアートギャラリーで所得したデータを使用してオークションを予測し、ウェブ分析に基づいてどの作品が最も関心を集めているかを特定している。

 

Albano氏は次のように述べている。「Sotheby’sは、実際に動画を使って、自社が販売しているものについてのドラマや演劇を構築している。確かに、同社の商品のほとんどは、高額品であるが、この種のプレセール動画が、さまざまな商品カテゴリーにおける多様な種類の低価格商品と関連性がないというわけではない」。

 

手法と指標

次のホリデーシーズンに向けて新しい動画キャンペーンが開発されており、現在の動画キャンペーンはホリデーシーズンと“ニューノーマル”に合わせて修正されている。キャンペーンの状況にかかわらず、その手法が何を伝えたいかという点におけるベストプラクティスと合致していることを確認することだ。

 

オーディエンスに影響を与え、教育するために開発されたブランド認知度向上を目的とする動画は、コミュニティへの働きかけの動画と同様に、15~60秒に抑える必要がある。どちらも、連絡先情報とウェブリンクに重点をおく必要がある。

 

eコマースや新しいリードジェネレーションを促進するための商品やサービスの販売動画は、より長く、30秒から5分までのものとすることができる。この動画コンテンツでは、商品の購入方法、商品情報や商品ページをオンラインで共有する方法、そしてダウンロード可能な商品情報の提供方法を強調する必要がある。

 

正しい手法が明確になったら、キャンペーンのパフォーマンスを真に測定するためのさまざまなメジャメントを導入する必要がある。インプレッション、ビュー、フリークエンシー(同一人物によるビュー)、リーチやユニークリーチなどの標準的なメトリクスはすべてパフォーマンスレポートに含まれるべきだが、マーケターは動画キャンペーンの真のパフォーマンスを明確にするために、分析をもう少し深く掘り下げる必要がある。

 

「マーケターは、より深いメトリクスを使用してパフォーマンスを評価する必要がある。認知度の増加、広告想起率の増加、ブランドへの関心、ウェブサイトの訪問数、再生数や視聴完了率を測定すること。また、マーケターは、コンバージョン後に謝意を伝え、アップセルの動画を送信することの価値を忘れてはならない。これらによって、より高い収益が得られるのだ」とO’Connor氏は話している。

 

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の10/16公開の記事を翻訳・補足したものです。