ニューヨークに本拠地を置くインターネット広告業界団体Interactive Advertising Bureau(IAB)が発表した2018年上半期AdEx Benchmark Studyの調査結果によると、同期のヨーロッパのデジタル広告費は10%増加し257億ユーロ(224億ポンド)に。モバイル広告費は初めて100億ユーロを越えた。この調査は、ロンドンを拠点とする情報、分析ツール、ソリューション提供企業IHS Markitと共同で実施されたものである。
ヨーロッパのモバイル広告出稿額は、デジタル広告の総出稿額の50%を占める勢いだ。プログラマティック広告(データに基づいたリアルタイムな広告枠の自動買付け)においては、すでに50%を越えている。ビデオ広告はディスプレイ広告分野の30%を占めており、2018年上半期においては、非ビデオディスプレイ広告の4倍以上の伸び率となった。
「今回の調査によって、ヨーロッパにおけるデジタル広告市場の情勢が一新されたことが明らかになった」とIAB Europeの最高経営責任者Townsend Feehan氏は言う。「マーケターは、デジタルをブランド構築のためのメディアとみなし、ビデオ広告やモバイル広告が引き続き成長を続けることは確実であろう」。
ディスプレイ広告の成長率は12.3%で、検索連動型広告の10.2%を上回ったが、総支出額では検索連動型広告費が全体の46%でディスプレイ広告の40%を上回っている。ディスプレイ広告は、西ヨーロッパでの成長率が11.2%であるのに対し、中央・東ヨーロッパでは17.9%と目覚ましい成長を続けている。実際のところデジタル広告全体では、中央・東ヨーロッパ地域は17 %の成長率であった一方で、より成熟した西ヨーロッパの市場では9%の成長だった。
「さらに、今回の調査により、現在の市場では消費者がデジタルとアナログをほとんど区別せず生活しており、あらゆるコミュニケーション手段とチャンネルにデジタルの要素が取り込まれていることが明らかになった」と話すIAB Europe Research Committee委員長でアメリカのマーケティングサービス企業MindshareのパートナーテクノロジーコンサルタントAnton Kopytov氏。「従来型とデジタル広告との境界線が曖昧になり、クロスチャネルビデオ戦略の成長や、デスクトップパソコン、スマートテレビ、スマートフォン機器などのマルチプラットホームでのオーディオの復活の原動力となっている」。
「2018年前半に施行されたEU一般データ保護規制(GDPR)により、データ駆動型アクティベーションは大きな影響を受け、主要な市場参加者はより慎重になった。しかし、全体的な影響としては肯定的で、デジタル業界に対する信頼を築くことにつながっているため、2018年後半には復調な兆しを見せている。東西ヨーロッパのどちらにおいても、全体的には着実な成長が続く見通しである」。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の11/12公開の記事を翻訳・補足したものです。