多くの国で、TikTok(モバイル向けショートムービーアプリ)のビジネスの将来が不透明となっているなか、Instagramは、同人気プラットフォームに極めて類似した機能「Reels(リール)」を8月上旬にリリースした。

 

ユーザーはReels機能で、オーディオやエフェクト、その他のクリエイティブツールを使用し、編集可能な15秒の動画を記録することが可能。記録した動画を自分のフィードやストーリー上で、そして、クリエイターやクリエイターを目指すユーザーは、「Explore」を通じて共有することができる。

 

ユーザーは、Instagramのミュージックライブラリの曲、または、オリジナルのオーディオを使用したりすることが可能。多くのARエフェクトを選択でき、クリップ間でTikTokのようなトランジションを実行したり、動画の一部の速度を調整したりすることができる。

 

Reelsは、米国、英国、オーストラリア、インド、日本、ブラジルを含む50カ国以上でリリース。AndroidとiOS向けのInstagramの最新版に対応している。

 

Facebookが所有するInstagramが、他プラットフォームの機能を「借用」するのは初めてのことではない。過去に、スマートフォン向け写真共有アプリSnapchatなどのアプリから多大なインスピレーションを得た機能をリリースしたことは広く知られている。

 

TikTokは、ユーザーデータの不正使用の疑いにより、世界的な議論を引き起こしている。現在、これらの懸念を軽減するために、同アプリの所有者である中国テクノロジー企業ByteDanceは、Microsoftと、TikTokの米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業買収の可能性について協議中である。

 

デジタル市場調査会社eMarketerのプリンシパルアナリストであるDebra Aho Williamson氏は、次のように述べた。

「Facebookは、他社の機能をコピーに関する複雑な実績がある。長年にわたる試みの多くは失敗に終わっている。しかし、Instagramは、SnapchatからコピーしたStoriesで非常に成功した。Instagramは、今回リリースしたReelsで、同様のチャンスがあると私は考えるが、成功が保証されているわけではない」。

 

「ソーシャルメディアユーザー、特に若い世代のユーザーは、ソーシャルプラットフォームを、異なる目的で使う傾向がある。彼らは、プライベートや少人数のグループで友人とコミュニケーションをとるためにSnapchat使用する。また、Facebookを使って、学校のグループの情報を得たり、親が自分について何を言っているかをチェックしたりしている。また、自分の情熱や興味を追いかけるためにInstagramを使い、自分の楽しみのためにTikTokを使っている」。

 

「Instagramは、Reelsの開発に力を入れてきた。これは、TikTokユーザーやアプリを制作しているクリエイターにとって魅力的なものとなっているが、TikTokの代わりになるとは思えない。(個人的には可能性は低いと考えているが)たとえ、アメリカでTikTokが禁止されたとしても、ユーザーは、どうアプリを使い続ける方法を見つけるだろう。ユーザーの信じられないほど高いロイヤルティによって、TikTokは守られているのだ」。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magagine」の8/6公開の記事を翻訳・補足したものです。