2019年12月1日時点での全世界のインターネットユーザー数は、4,521,480,071人であった。一ヶ月後、その数は50億人にさらに近づいた。10年前、全世界でソーシャルネットワークユーザーは10億人未満であった。こうしたユーザー数の成長は、代替的なソーシャルネットワーキングプラットフォームの台頭を示す主要な指標となっている。

 

マーケター、そして消費者は、常にエンゲージメントの対象となる目新しいものを探している。それは、消費者にとっては社会的なアウトリーチと共有であり、マーケターにとってはコマースと共有である。よって、ソーシャルプラットフォームとリテールプラットフォームの両方において消費者が利用可能なスケールはとてつもなく大きく、さらに多くの選択肢となり得るプラットフォームが登場しつつあるのだ。

 

それはすべて、消費者のオンライン行動によるものである。ようこそ、マーケティングにおけるメビウスの輪(無限ループ)へ。「消費者のオンラインアクティビティが成長を遂げるにつれて、さらに期待も高まり、そうした期待に応えるために構築されるより新しい代替ソーシャルプラットフォームやリテールプラットフォームが生まれていく。そして、それが消費者活動を高め、高い期待値を伴うことによりオンラインアクティビティが増加し、それが次に…」と、言いたいことは理解してもらえるだろう。

 

マーケターであるあなたがたは、おそらくこのメビウスの輪を今も経験していることだろう。この行動パターンと消費者の社会的行動やリテール行動の経験的性質は、期待の高まりとともにますます当たり前になってきている。

 

消費者の期待は、注目するカテゴリーによって違いがあるが、年に18%から25%の範囲で成長する。ブランドは、その期待の成長スピードの約5%から7%にどうにかついていくことができる。つまり、40億人以上のインターネットユーザーが期待するものと、ブランドが実際に提供できるものとの間には大きな差がある状態だ。

 

変わらないことは、自然は真空をひどく嫌うという事実だ。空間は不自然であり、埋める必要がある。それは、物理学である。消費者の拡大し続ける期待に応えることができるような、ますます多くのプラットフォームが必要なのか?それは、マーケティングである。

 

こうした高まり続ける期待に応えようと、新しい代替的なプラットフォームが構築されているが、期待は石油流出のようなものだ。ある場所での流出は、隔離されたままとはならない。 それはあるカテゴリーから別のカテゴリーに広がり、それゆえ、新しい期待は新しい期待を生み、オンラインソーシャルとオンラインリテールが混ざり始めたのだ。

 

ショッパブルなソーシャル戦略

消費者は、オンラインに暮らし、オンラインで買い物をし、オンラインで共有し、オンラインに学ぶ。彼らが共有し、学び、そして彼らの生活の不可欠な部分となったのは、彼らがほとんどすべてのものにアクセスできるということだ。いざ質問があれば、彼らは検索する。ただ、オンラインで目にしたものを実際には「検索したくない」と考えている。彼らは、目にした画像をタップして、すぐに必要な情報にたどり着きたいのだ。そう、今すぐ。

 

それは、どこにあるのだろう?何が入っているのだろう?どんな商品だろう?その人達が着ているのはどんな服だろう?値段はいくらだろう?どこでそれを買えるだろう?消費者は、「ショッパブル(買い物可能な)ポスト(投稿)」を求めている。画像をタップすれば、すべてが分かる。それが、消費者が今、またはとても近い将来に期待していることなのだ。

 

Twitter、Facebook、InstagramなどのB2C(Business to Customer)コアプラットフォームや、LinkedInなどのB2B(Business to Business)プラットフォームは、まだ消費者の期待に応えていない。しかし、それらのいずれもが、AmazonやJd.com(中国ECサイト)などに対してより高い競争力を有するために、ショッパブル戦略を採用、または開発中である。

 

たしかに、さらなるpay-to-play(有料広告)プラットフォームの増加は、エンゲージメントがより問題の多いものとなることを意味する。TikTokのような代替的なeコマースプラットフォームのおかげで、ブランドは、消費者の期待を満たしていない従来のプラットフォームから期待を満たしてくれる新しい代替的なプラットフォームへ移行し、または移行しようとしている消費者を、より簡単に引きつけることができる。

 

マーケティングの歴史を通じて一貫していることは、消費者を失望させたくないということだ。昨今の多数の選択肢がある状況は、消費者が自身を失望させるソーシャルサイトやリテールサイトにやり直させるチャンスを与える可能性が低いということを意味する。なぜ、消費者はチャンスを与えるべきだろうか?

 

消費者の期待は、彼らに代替的なプラットフォームで競争力のある選択肢を無理にも探し出させ、ブランドに消費者をエンゲージメントするために利用するすべてのタッチポイント(ブランドと顧客の接点)で、消費者にショッパブルなコンテンツエクスペリエンスを提供することを余儀なくさせるだろう。

成熟しつつあるデジタル/オンライン/ソーシャル/リテール市場では、テクノロジー企業は、あらゆることを商取引利用可能とするために懸命に取り組んでいる。ショッパブルポストは、店舗で買い物を”しなければならない”という考えに対する別の選択肢となっている。

 

ソーシャルなeコマースシナジー

TikTokの広告には、ユーザーをマイクロサイト(特定のキャンペーン、製品またはキーワード専用の小規模なウェブサイト)にリダイレクトするユーザー作成コンテンツとつながった「今すぐ購入」のボタンがある。Instagramは、Shopify(eコマースプラットフォームを世界展開するカナダ企業)ネットワークを使用する小売業者が販売商品を投稿に組み込むことができるプログラムを導入した。商品をタップすると、値段が表示され、値段をタップすると、より多くの商品情報が表示される。リンクをタップすると、すぐに購入できるのだ!

 

最近のPinterestユーザーを対象とした調査では、92%のユーザーが、同プラットフォームが購入の決定に役立ったと感じている。過去2年にわたり、すべての主だったソーシャルプレーヤー企業は、オンラインユーザーがクリエイティブそのものから買い物ができるフォーマットを開発してきた。たとえ、ユーザーが、当初は、買い物をするためでなく、共有するためにソーシャルを利用していたとしてもである。

 

小売の観点からいうと、アナリティクスが、小売業者がショッパブルにしたい商品に優先順位をつける方法を示すことができるようになるべきだ。また、ソーシャルとリテールをシームレスに融合する方法を見つける必要もある。なぜなら、世の中に存在し、消費者を引きつけるもののほとんどが、リテールのみに閉じられた領域よりも広範である(そしてより曖昧である)という事実があるためだ。

 

今日、エンゲージメントとは、認知と感情の問題である。そして、認知と感情によって、所望される何かを作るための入り口が形成される。それゆえ、それは極めて社交的であり、共有可能であって、かつショッパブルである。ショッパブルポストのアイデアは、消費者に瞬時に買物する機会を与えているのだ。

 

5年前、マーケターは、消費者がモバイル端末で買い物をすることに慣れるには時間が必要だと示唆していたかもしれない。米国の買い物客の85%以上が、オンラインで商品を購入していることは既知の事実である。当然の予想として、近い将来には、「あなたのお好みのプラットフォームでタップして購入する」ことがトレンドになるだろう。

 

販売プロセス全体に対応でき、または少なくとも販売プロセスを円滑化できる新しいプラットフォームは、サイト訪問と広告の効果を提供できるという付加的な利点がある。

 

ショッパブルポストは非常に大きなトレンドであり、それ以上に大きなアイデアではあるが、ブランドはまず簡単なことから始めるべきだ。小売業者は、独自のソーシャルネットワーキングの取り組みとウェブサイトから着手する必要がある。そして40億人以上いるオンライン消費者のことを覚えておくべきである。ソーシャルメディアとeコマースが継続的に成長していることから、両者のシナジーは極めて大規模なものとなるだろう。この融合は、ソーシャルメディア、特にこれから登場する新しいソーシャルネットワーキングプラットフォームにとって、次なる目玉となるだろう。

 

ネイティブ統合により消費者は、商品の認識や購入が簡単に行えるようになり、商品ページの検索がより簡単に、より直感的に、より迅速にできるようになる。これらすべてによって、オンラインエクスペリエンスは、より関連性が高く、より魅力的で、カスタマイズ可能なものとなり、またより多くのショッパブル広告の収益性の向上の実現が約束されるだろう。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の2/11公開の記事を翻訳・補足したものです。