2019年第1四半期のソーシャルおよびメッセージングの広告収入は、前年同期比で26.2%増加し、ほぼ180億ドルに達したが、成長率が約半分に減少している。

マーケティング調査会社のWarcレポートによれば、世界最大のソーシャルおよびメッセージング企業6社、つまりFacebook、Pinterest(ピンタレスト)、Snap、Twitter、Tencent(テンセント)、Weibo(微博・ウェイボー)の合計売上高は179億ドルに達し、記録上二番目に高い合計額となったとのこと。一方、成長率は2018年第1四半期の51.6%の記録より大きく減退しており、同6社すべてにおいて広告収入の伸びが鈍化したという。

 

ソーシャル広告の最大市場は北米であり、2019年第1四半期に80億ドルの広告費が支出された。しかし、この一年でユーザー数の伸びは失速し、また、ソーシャルプラットフォームの利用時間は停滞。過去3年間、一日平均2時間のままだ。

それと同時に、米国では70%の人々がソーシャルメディアからの情報を信用していないといい、英国ユーザーにおいては、その割合は82%にまで数字が跳ね上がる。

 

Warc Dataの編集長であり、この調査レポートの著者でもあるJames MacDonald氏は以下のように語る。

「ソーシャルセクターは、なおも急速に拡大しており、今年の最初の3ヶ月間だけで179億ドルもの広告出稿費を集めた。しかしその成長は、ここ数四半期で減速しており、一年前に比べ半減した。さらに、北米ではユーザー数の伸びも失速し、ソーシャルプラットフォームに対する消費者の信頼も低下している」。

 

広告収入の伸びが鈍化するにつれ、ソーシャルメディア会社は、提供するサービスの多様化に一層注力する傾向にある。その明らかな事例として、Facebookが最近発表した仮想通貨「リブラ(Libra)」、また、MessengerとWhatsApp向けのデジタルウォレット「カリブラ(Calibra)」が挙げられるだろう。

 

MacDonald氏は続いて、「Facebookはリブラを立ち上げることで、自社の収益源の多様化を目指しているようだ。同社によれば、リブラによって獲得したデータを、広告販売目的で収集している消費者データの強化のために、直接利用することはないという」と語る。

「しかし、Facebookの提供広告とリブラがもたらす売上増との関係性が判明すれば、同社のソーシャルプラットフォームでの広告価格が上昇する要因となるかもしれない」。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の7/2公開の記事を翻訳・補足したものです。