米国でのモバイル端末の利用時間がテレビ視聴時間を8分上回ると、e Marketer社が予測

デジタルマーケティング、マスメディア、商業に関する市場調査会社eMarketerは、米国において、スマートフォンやタブレット端末の利用時間が従来型のテレビの視聴時間よりも長くなるだろうと予測している。モバイルデバイスの利用には、インターネットからダウンロードした動画の視聴時間も含まれる。今回の予測によると、米国成人はモバイルデバイスの一日平均利用時間は、3時間43分(通話時間を除く)に達し、テレビの平均視聴時間は3時間35分となる。

 

オーディオとソーシャルメディアがモバイルデバイス利用のトップ

具体的には、モバイルメディアの利用時間のうち、スマートフォンの利用時間は今年2時間33分を占めるだろうとのこと。eMarketerによると、このスマートフォン利用時間は、昨年に比べ9分間増加するという。動画は、“モバイルアプリのエンゲージメントの成長を支える三番手の推進力”となっており、デジタルオーディオとソーシャルネットワーキングが、それぞれ一番手と二番手にあたるとのことだ。

 

テレビとモバイルデバイス:米国での平均利用時間(2014年~2021年)

時間:人口あたりの一日利用分数

 

 

各種デバイスで視聴される大量の動画

従来型のテレビ視聴時間は減少しているものの、視聴者はさまざまなデバイスで大量の動画コンテンツ、特にOTT(”over the top”の略。動画・音声などのコンテンツ・サービス)を視聴している。しかし、動画については依然としてテレビでの視聴が優勢だ。今年のデジタル動画の一日平均視聴時間が1時間37分である一方、テレビの平均視聴時間は3時間35分である。

 

テレビとデジタル動画:米国での平均利用時間(2017年~2021年)

時間:人口あたりの一日利用分数

 

なぜ懸念すべきか

”モバイルデバイスがテレビに打ち勝つ”という大胆な見出しは、断片的な動画視聴者やメディアの変容といった話を必ずしもすべて伝えきれていないだろう。リビングルームやファミリールーム、ベッドルームにある大きなスクリーンは、今でも動画視聴の主要なデバイスではあるものの、次第に数あるデジタルスクリーンの一つとなりつつある。

たしかに、“テレビ”は急速にオンライン動画やディスプレイと同じようなターゲティングやアトリビューション機能を備えたもう一つのデジタルチャネルになりつつある。そのため、テレビに手を伸ばす視聴者は減少するだろうが、一方で、変化する動画視聴環境とテレビのデジタル化によってより高度なターゲティングとパーソナライゼーションが可能になっているのだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の6/6公開の記事を翻訳・補足したものです。