Amazonは敵か味方か。小売業者はAmazonとどのように向き合っていくべきか | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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公開日2019/05/24

Amazonは敵か味方か。小売業者はAmazonとどのように向き合っていくべきか

独自の商品を取り扱う小売業者は、Amazonでの販売に比較的慎重だ。しかしAmazonは季節外れの商品やクリアランス商品の販売には非常に強いチャネルとなっている。小売業者は商品の特性を理解したうえでAmazonへの商品展開を考える必要があるだろう。

 

この18か月間、eコマース分野において最も話題になっているトピックスの一つは、「Amazon効果(Amazonがもたらした影響)」だろう。Amazonはeコマース業界で幅を利かせており、消費者と直接つながるAmazonは各小売業者の利益を蝕む恐れがあるかもしれない。

Amazonを始め、他のマーケットプレイスは、なくなることはないというのが現実である。マーケットプレイスはすべてのeコマース売上の約半分を占めており、Amazonだけで米国のeコマース売上の40%を占めている。プライベートブランドや500万社以上の売り手の自社製品を含むほぼすべての小売分野において、1,200万点の商品を販売している。

Amazonの影響力の高まりから、小売業者は「Amazonのような巨大企業と共存し続けるにはどうすればいいのだろうか」という疑問をまず抱くだろう。

その答えは、いくつかの重要な要素を理解することにある。それはAmazonができることとできないこと、そして、マーケットプレイスでの販売および広告のリスクと収益、さらに、マーケットプレイス環境でビジネスを行うためのベストプラクティスを理解することである。Amazonで販売するにはバランスをとることが必要だが、Amazonで販売するメリットを理解する小売業者は、成功を手にすることができるのではないだろうか。

 

Amazonでできることできないこと

マーケットプレイス上で稼働するほとんどの小売業者は、自社のeコマースサイトとは違う取り組みを実施している。マーケットプレイス環境では、小売業者は顧客との関係を持たないからだ。結果として、小売業者は自社のeコマースとは異なるさまざまな指標やビジネス目標に重きを置いている。

例えば自社のeコマースでは、多くの小売業者がブランドの評判を築くことや、新規の顧客を獲得すること、高い顧客生涯価値を生み出す関係の育成に力を注いでいる。これらの戦術はしばしば、特定の顧客とその購入のサイクルの段階に基づいた、より柔軟なリターン目標を持つ。

小売業者、特にリセラー(再販業者)は、自社の顧客を持たないため、Amazonを違った観点から見ている。彼らは顧客をリターゲティングしたり、関係を構築しするための情報を受け取れない。彼らは長期的に見て、顧客獲得コストに見合うだけの再購入を促すことはできないのだ。

Amazonは、最近になって特定のセラーと消費者の属性データを共有し始めた。しかし、本当の意味での顧客を獲得するためには、小売業者はリターゲティングのためのデータ(Eメールアドレスなど)を必要とする。それが実現するまで、小売業者はAmazonを商品を販売してキャッシュフローを生み出すまでの手段として見続けるだろう。セラーは、Amazonを顧客獲得戦略に織り込むことはできないのだ。

 

メリットとリスクのバランス

それでも、Amazonはいくつかの利点をもたらし続けている。その中で最大の魅力は、非常に多数の購買意欲のある顧客へのアクセスだ。

次に、マーケットプレイスでの販売と広告の主な利点の一部を紹介する。

 

Amazonの強み

利益率の高い小売業者は、在庫を流動させ、キャッシュフローを生み出すためにAmazonの顧客ネットワークを活用する。

Amazonの顧客基盤のロイヤルティーは非常に高く、1億人を超えるPrime会員が存在。通常、Amazon以外のチャネルにおいて、質の高いオーディエンスと接触するには、大変な労力を要する。

AmazonはAmazonを利用しない消費者にとっても、価格比較のための有力な手段である。ある調査では、10人中9人がAmazonで価格を確認している。

Amazonでの購入された商品の種類と量を知ることは、取り扱っている商品の需要を把握するのに役立つ。さらにその情報は、eコマースサイトで扱う商品を決めるのに役立つ。

Amazonで販売する製造業者は、物流ネットワークとしてAmazonを利用することでブランド価値を得ることができる。オーディエンスの規模とリーチは、そのコンバージョンとフィードバックが提供される可能性の高さと相まって、ブランドエクイティ(ブランドの名前やシンボルが持つ価値や資産)を強化することができる。

 

しかし同時に、これらの強みは、Amazonがもたらすリスクと差し引きする必要があるだろう。市場シェアの拡大から価格競争の激化まで、同社は多くの小売業者に課題をもたらしているといえる。

 

Amazonがもたらすリスク

Amazonの成長する市場シェアとブランドロイヤルティは、Amazonを利用しない買い物客が利用できる市場を奪っている。

Amazonが設定している顧客サービスと利便性に関する期待基準に応えることはかなり難しい。Amazonの最近の1日無料配送の動きを考えてみてほしい。

ほとんどの顧客は価格比較方法に十分精通しているが、Amazonのマーケットプレイスでは、簡単に価格比較を実行できる。そのため、小売業者は想定される最低価格に合わせるかそれを下回る必要があるので、結果として利益率は薄くなる。多くのセラーは、競争力を維持するために価格マッチングツールを使わなければならない。

・Amazonはプライベートブランドを扱っていて、優先的に販売したり、小売業者の商品と並行して勧めたりしている。

Amazonは収集したデータを使用して自社ブランドの商品オファーを洗練させ、強調。そのため、小売業者にとってさらに競争が激しくなる。

Amazonは顧客データを小売業者と共有しないため、小売業者はリマーケティング不可能である。

Amazonは、現在、多くの小売業者にとって主要な収入源のマーケティングチャネルであるGoogleの検索連動型広告で広く宣伝している。Amazonの活動は競争をさらに激化させ、コストの増加と減益をもたらす。

 

Amazonで勝つ戦略を立てること

Amazonでの販売と広告において、リスクが売上を上回る小売業者もいる。しかし、Amazonチャネルは収益を伸ばし、商品化の決定を促進し、在庫を管理するための貴重なツールとなり得る。これがAmazonの使い方だ。

 

収益成長率の戦略

小売業者がAmazonで販売して利益を上げることができるのであれば、それをしない理由はほとんどないだろう。まず小売業者は、マーケットプレイスの手数料(通常15%)と激しい価格競争によって、利益が損なわれないかを確認する必要がある。それでも利益を上げることができるのであれば、Amazonの質が高くで購入意欲が高い顧客との取引によって、営業収益を増やすことが可能だろう。

 

Amazonで競争するには、価格競争力だけでなく有料広告に投資することが必要である。Amazonの広告ソリューションであるAmazon Advertisingを利用すると、実装後、売上が大幅に増加することがよくある。その結果、2019年第1四半期には小売業者はこれまで以上に同社に投資しており、スポンサープロダクト広告費は前年比19%増、スポンサーブランド広告費は前年比77%増となった。アナリストは、Amazonが新しいツールと優れたプラットフォーム統合によって広告マネジメントを強化するにつれて、同社の成長が加速すると予測している。

 

マーチャンダイジング戦略

Amazonは幅広い層のオーディエンスを有しているため、当初の需要がそれほど大きくないと思われる新商品や新カテゴリの販売を開始するのに効果的である。小売業者は、需要を生み出すためにAmazonで新製品を販売し、その後、認知度とブランドエクイティが高まるにつれて、その製品のAmazonでの販売を止めることができる。その結果、その商品へ愛着があるAmazonの買物客は、将来小売業者独自のサイトからその商品を購入することになるだろう。しかし、必ずしもそうなるという保証はない。

 

逆に、小売業者はAmazonを新製品のテスト市場と見なすことができる。商品がマーケットプレイスで好評を博している場合は、プッシュ戦略マーケティングを実行し、自社eコマースサイトでより大々的に販売を行う価値があるかもしれない。

 

在庫管理戦略

独自の商品を提供している、もしくは既に市場で競争優位性を保持している小売業者は、自社で取り扱う商品のすべてをAmazonで販売することに慎重になるかもしれない。一方、早急に在庫をなくしたい商品に関しては、Amazonでの販売を検討しても良いだろう。例えばシーズン最後のクリアランス商品や売れ行きの思わしくないサイズや色、余剰在庫などが考えられる。Amazonは、不要な在庫を販売し、長期の在庫コストを最小限に抑えるための強力なチャネルにもなり得る。

 

eコマース業界を支配しているAmazon。成長とイノベーションにもかかわらず、同社は、他の小売業者に彼らのビジネスを成長させるチャンスを残し続けている。Amazonが敵か味方かにかかわらず、この巨大企業が変化を生み出し続ける環境を理解し、それが自社の企業目標において果たす役割を判断していくことが重要なのだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の5/16公開の記事を翻訳・補足したものです。

 

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