ここのところのイギリスのeコマースの状況は、好調とは言えないようだ。同国のオンライン小売業界の今年11月の成長率は、2011年以来最低となり、その売り上げは前年比8.1 %増にとどまっている。

 

この調査結果は、イギリスのオンライン小売協会IMRGとフランスに拠点を置くコンサルタント企業Capgeminiによる最新のIMRG Capgemini e-retail sales Index(オンライン小売業績指標)によるもの。この最新の調査によると、イギリスのオンラインファッション通販サイトAsosが17日に発表した思わしくない業績報告は、予想外の低迷ではないことがわかる。11月のイギリスのeコマース成長率は、過去3ヶ月、6ヶ月、1年の平均売上成長率を下回っているのだ。また、今年のブラックフライデーの週は史上最低の成長率となっている。

 

「今年のブラックフライデーは、収益の点から見ると、ひどく残念な結果となった。顧客の消費額が予想していたほど伸びなかったことには、多数の理由がある」とIMRGのAndy Mulcahy氏は言う

「経済的、政治的な不安定性が、買い物客の消費意欲に潜在的な影響を及ぼしている。また、顧客はブラックフライデーセールのようなイベントに倦怠感を覚え始めている可能性も考えられる。直前に否定的な話題が報道されたことも悪化の要因の一つだろう」。

 

大幅な値下げが、11月の売上げ低迷につながったか

ブラックフライデーよりもかなり前から大幅な値下げが行われていたことも、11月の低迷と何らかの関係があるのかもしれない。「今年はかなり複雑な状況ではあったが、値下げセール期間が長かったことと、割引率が非常に高かったことは、低迷の主要な要因であると考えられる」とMulcahy氏は語る。

 

値下げの影響も11月の憂慮すべき数値の主要な原因であろうとCapgeminiは捉えており、 同社のBhavesh Unadkat氏は、「11月は、全ての週において注文数が増加し、コンバージョンも高かったにもかかわらず、平均注文額の落込みによって売上成長が伸びなかった。つまり、プロモーション期間を延長したことが、今年の収益にマイナスの影響を与えたと言えよう」と語っている。

 

※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の12/20公開の記事を翻訳・補足したものです。