マーケティング担当者達は、記録破りのホリデーセールスのマイナス面から何を学ぶのか 

感謝祭からサイバーマンデーにかけての記録的な売上により、マーケティング担当者達はほっと肩をなで下ろしていた。Adobe社よると、感謝祭の週末の期間中カートの決済は常に行われており、サイバーマンデーだけでもオンライン販売で総額79億ドルの売り上げを記録したという。しかし、全てが大成功とは言えなかった。平均注文額の低下やカート放棄率の高さ、そして不正行為の増加が、多くのマーケティング担当者たちにとって悩みの種になっている。

 

エンゲージメントとコンバージョンの低下への対策 

機関によって調査結果の数値は異なるのだが、多くのデータから読み取れるのは、「売上高は伸びているが、エンゲージメントはコンバージョンについてはマーケティング担当者は苦労している」ということだ。パーソナライゼーションプラットフォームのMonetate社よれば、昨年と比較するとカートの放棄率は2.6%増加し、コンバージョン率は9.7%減少した。さらに、直帰率は12%増加したという。

 

サーチ・エージェンシーのNetElixir社は、平均注文額(AOV)は、前年比で4%減少したと報告した。

 

感謝祭とブラックフライデーの売上が、感謝祭週末の他の日よりも多大であることは間違いないが、それは消費者の「高額セール商品をより早く手に入れたい」という熱意の表れとも言えよう。

 

NetElixir社のCEOであるUdayan Bose氏は、安価な商品を購入する傾向にあるモバイル顧客の増加により、AOVが低下していると指摘する。

 

Bose氏は「マーケティング担当者達は、モバイル顧客と彼らの購入傾向をより理解し、それに応じたproduct(商品)、price(価格)、place(流通)、promotion(プロモーション)の”4Pミックス”をカスタマイズすることで、この低下しているAOVを改善ことができる」と語っている。最低注文金額を超えた場合に送料無料と割引を適用するなど、高額の買い物をしてもらうためにマーケティング担当者達が何かしらの特典を提供することを奨励している。またBose氏は、消費者が探しているものを見つける手助けとして、検索エンジンのプラグインや、ライブチャットを活用することも推奨している。

 

不正行為の増加

「非常に多くのアクセスとオンライン決済が行われるホリデーシーズンのピーク時は、常習犯が不正行為を行う機会が増加する」と話すのは、Namogoo社のマーケティング担当SVPであるOhad Hagai氏だ。

 

「ブラックフライデーとサイバーマンデーの期間中は、オンライン上のハイジャック行為は時間帯に限らず、通常と比較して25~35%増加した。通常のウェブセッションの15~25%において、表示広告が消費者に影響を及ぼしているとされる。2018年のホリデーシーズン全般を通じて、不正行為による損害はオンライン小売業者の売上の24億ドルに相当し、これは昨年より17%増加している」と、Hagai氏は語っている。

 

マーケティング担当者達は、不正行為対策の責任を負うわけではない。しかし、不正行為は収支決算に影響を与えるものであるため、ショッピングシーズンの間、開発チームによって自社サイトのセキュリティが強化され万全な警戒態勢がとられているよう努める必要があるだろう。

 

なぜ重要なのか? 

どのような指標においても、”売上の増加”はマーケティング担当者達にとって良いことである。しかし、今回のような規模での売上増加においては、問題点も見逃してはいけない。ホリデーシーズンはまだ始まったばかりだ。NetElixir社は、オンラインでのホリデーセールスの76%はまだこれからで、小売業者は次の数週間を見越して戦略を練り直す時間があるとみている。

 

Monetate社CEOのStephen Collins氏は、次のように語っている。「ホリデーショッピングの期間は小売業者にとって、新たな顧客を獲得し、それらの顧客を自社のリピーターにする絶好の機会だ。小売業者は、ウェブサイトへの訪問数増加を利益につなげるために、自社のエンゲージメント戦略を再検討するべきである。すべての利用可能なデータポイントを活用し、買い手にとってより良く最も関連性の高いエクスペリエンスを作り出すことが必要不可欠なのだ」。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の12/6公開の記事を翻訳・補足したものです。