AppleとSamsungが圧倒的優勢、その他は後塵を拝する

2018年7月18日、欧州委員会(EC)はGoogleに独占禁止法違反の制裁金を課すことを発表した。この罰金は、Googleの世界のスマートフォン市場の支配に関するもので、過去最高額となる。

Androidは、基本ソフト(OS)世界市場を圧倒的に独占しており、77%(もしくはそれ以上)を占める。米国ではiOSとAndroidの市場シェアの割合は、それほど極端ではない。iOSスマートフォンメーカーは、Appleの1社だけだが、Androidデバイスメーカーは世界中に多数存在する。

その多様なエコシステムによって、Androidは世界的に成功している。しかし、米国市場において重要なAndroid OEM(相手先ブランド製造会社)は1つしかない。それは韓国のSamsungだ。米国の市場調査会社Consumer Intelligence Research Partners, LLC(CIRP)は、現在の米国市場が基本的に2社独占であることを示す新しいデータを発表した。

CIRPによると、米国の電子・通信機器メーカー Motorola や韓国の電気機器メーカーLGなどがSamsungに敗北し、米国Android市場は統合されつつあるとのこと。CIRPの調査データと分析によれば、他のAndroidメーカーも一桁台のわずかなシェアで、状況を打開する可能性はほとんどない。

 

スマートフォンのアクティベーション

 

米国のデジタル市場分析会社comScoreによると、Samsungは米国市場の30%を占めている。LGや Motorola 、台湾のスマートフォン・携帯情報端末メーカーHTCのシェアは、合計で15%以下。iPhoneは約45%。残り(約10%)は、その他のAndroidと、ごくわずかなWindows Phoneが占める。

 

米国の市場調査会社IDCによると、Androidの各 OEMメーカーの世界的なシェア状況は、「その他」が最大で約37%。Samsungは約19%で、次に続く中国の通信機器メーカーHuaweiが11%弱のシェアを占めているという。

 

Googleの親会社Alphabet(米国のコングロマリット)とSamsungは、ヨーロッパ市場の状況に、非常に大きな影響を受けるだろう。欧州委員会がGoogleに対しGoogle Play(Googleが提供するAndroid端末向けデジタルコンテンツ配信サービス)へのアクセスをプリインストールさせることを禁止した場合、Samsungのような大手OEMへパワーバランスがシフトする可能性がある。主要OEMが、デフォルトを他のアプリに置き換えたり、アプリをホーム画面に配置することに対して料金を請求することも可能になるからである。

そのような事態になれば、Android市場のダイナミクスを変えることになる。例えば、もしSamsungが(おそらくないとは思うが)Bing(Microsoftの検索エンジン)を初期設定の検索エンジンとしてプリインストールしたら、Bingのモバイル検索市場シェアを大幅に拡大する可能性があるからだ。(AppleはウェブブラウザSafariでこれを行い、最終的にGoogleに戻した。)

さらに推測すると、大手のAndroid OEMがサードパーティーアプリストアやモバイル広告ネットワークを買収し、より大きなAndroid領域で(中国のように)新しいOEM中心のエコシステムを作り出すかもしれない。見方によっては、マーケティング担当者がAndroidユーザーにアプローチするチャネルを「多様化」または「断片化」する可能性もあるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の7/23公開の記事を翻訳・補足したものです。