市場データやアプリ分析の提供をするApp Annieは、調査レポート「収益モデル別アプリ市場規模予想」を2017年6月29日に公開。レポート内では、世界中でアプリ利用にかける時間と金額が著しく増加していることを指摘している。

アプリ市場の現状から2021年にはアプリの市場規模が6兆3,000億ドルとなることを予測し、これをもたらす要因として、アプリストア、アプリ内広告、モバイルコマースを挙げている。

 

デバイス基盤とアプリ利用の拡大がもたらすアプリ市場価値の増大

2016年におけるアプリ市場規模は1兆3,000億ドルであったが2021年までには5兆拡大すると、App Annieが予測している背景には、デバイス基盤とアプリの利用拡大がある。ユーザー基盤とアプリの総利用時間はそれぞれ、2016年では34億人、1兆6,000億時間であるが、2021年には63億人、3兆5,000億時間にまで増加するという。

また、技術革新や、商取引のモバイル化により、全世界のユーザー一人当たりの年間支出額は、379ドルから、1,008ドルへ増加するという。リテールバンキングアプリの利用拡大によって、Bank of Americabarclaysのような多国籍の大手金融機関では、実店舗への訪問が減り、顧客サービスへのコストが減るとというように、ビジネスがアプリの恩恵を受けるということも、アプリ市場規模の増大に関連しているという。

 

アプリ市場に6兆3,000億ドルという規模をもたらす3つの要素

アプリ市場を成長させる3つの要素として、アプリストア、アプリ内広告、モバイルコマースを挙げている。

アプリストアにおいて、全モバイルアプリストア消費者支出額は今後、年平均18%で成長し2021年には1,390億ドルに到達する見込みだという。iOS App Storeについて、単独では最大ストア規模を保ち2021年には消費者支出額600億ドルを超え、Google Play とモバイルパーティーのAndroidストアの合計額は、iOS App Storeを2017年に抜く見込みだという。とりわけ中国は、若くて豊かで、モバイルファーストな消費者より、世界のアプリストアの成長を牽引すると見込んでいる。

アプリストア消費者支出額の過半数をゲームが占めており、2016年から2021年にかけて2倍になる見込みを立てているが、アプリ利用の広まりと、マネタイズモデルの普及を背景に、動画、音楽、マッチング、教育、仕事効率化といった分野でのアプリストア購入と、サブスクリプションの増加の結果、非ゲーム系アプリの支出額は3倍に増加すると見込んでいる。

アプリ内広告への全世界支出額は2016年の720億ドルから2021年には2010億ドルに増える見込みだ。アジア太平洋地域では、年平均25%、東南アメリカは26%成長すると見込んでいるが、EMEAについては一部の市場の非効率性の増大や、中東やアフリカの一部地域を狙った広告費の減少により、世界平均に届かない年平均15%の成長となることを見込んでいる。

モバイルコマースはモバイルおよびアプリ市場の最大の成長要因であり、経済活動がモバイルに移行していることを明確に示すものだという。世界のモバイルコマースは年平均で38%で成長するが、モバイル以降ペースには地域差がある。とりわけモバイルへの移行が急速に進むアジア太平洋地域は、単独でモバイルコマース収益の最大地域であり続けるという。

 

世界のモバイル消費者のアプリ利用時間が1年につき1ヵ月相当伸び、非ゲーム系アプリの普及も進んでいる。モバイルの日常における重要性が増すことからも、アプリ市場の成長に注目したい。