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マーケティング
2016/02/23
人工知能(AI)でECサイトのマーケティングオートメーションはどのように変わっていくのか

人工知能(AI)でECサイトのマーケティングオートメーションはどのように変わっていくのか

 

ここ数年、人工知能はかなりホットな話題の一つであり、急ピッチで様々な分野に進出している。そして、例外に漏れずマーケティングの分野においても人工知能はキーとなりつつある。ECサイトでは「顧客とのコミュニケーション」「多様化する顧客のニーズへの対応」が未だに発展途上領域として挙げられるが、これらはECサイトのさらなる発展のためには克服が不可欠である。人工知能はこれらのポイントを改善するための中核となり得るのか。今回はそんな人工知能によるECサイトのマーケティングオートメーションサービスの今を紹介し、来るべき未来について考えていきたい。

 

<参考>

ECサイト向けのマーケティングテクノロジーの進化 - ECサイト運営はマーケティングオートメーションでどのように変わっていくことができるのか

ECサイトでも使えるマーケティングオートメーションサービスを4つのセグメントで整理してみた

ECサイトのコンバージョン率アップの切り札となるのか - Web接客サービスの究極の「おもてなし」

オンライン上の接客は顧客から個客へ - ECサイト運営もビッグデータの恩恵を受けよ

 

 

そもそも人工知能(AI)とは

 

人工知能(AI=Artificial Intelligence)には厳密な定義はないようだが、一般的には人間の知能を持つような機械のことか、人間が知能を使って行うことを機械にさせようとすることの2パターンに大別されるようだ。マーケティング領域での人工知能は後者のバリエーションであり、記憶や推論、学習を自動的にプログラムや機械に行わせることにより、自立的に能力が高まっていく仕組み全般を指す。

マーケティング領域における人工知能の飛躍的な進歩には、主に2つの背景がある。一つ目はビッグデータによる知識量の向上である。これは、インターネットが世界的に発達したことによりデータの流通量が爆発的に増加したことが起因している。二つ目は機械学習による学習効率の向上である。これは、データを自動的に取り込み、人工知能が自らの知識体系を形成していくバリエーションや柔軟性が劇的に向上したことが起因している。

それでは、人工知能を搭載したECサイト向けのマーケティングオートメーションサービスを見ていこう。

 

 

フロムスクラッチ「B→Dash」

 

B→Dash」はフロムスクラッチが提供する、人工知能を搭載したマーケティングオートメーションツールだ。

B→Dashの人工知能はマーケティングデータの解析によって自動的に“ROIの最大化”を図ることを目的としている。集客施策から顧客管理におけるマーケティングプロセスが全自動化されることで、マーケターがより多くの時間を戦略策定に割けるようになることが望めるのだ。

B→Dashのもう1つの特徴は、他ツールとの接続なしのワンプラットフォームでマーケティングデータの管理・統合・活用を行っていることだ。通常のマーケティングプラットフォームは他ツールとの連携・接続によって構成されているため、このことをマーケティングオートメーションを越えた「次世代型マーケティングプラットフォーム」として提示している。

この2つの特徴によりB→Dashは、企業のマーケティングプロセス全体を一元管理することが可能となり、施策提案・原因分析の自動化が実現。人間がすると膨大な時間と手間がかかる作業でも効率的にこなすことができるため、マーケターはより戦略策定をはじめとした知的作業に集中できるようになるだろう。

 

 

ピアラ「Bemattch」

Bemattch」はピアラが提供する、即時解析AIを用いたソリューションで、One to One接客を可能にするサービスだ。

タグをウェブサイトに埋め込むだけで、お客様のオンライン上の行動から離脱ポイントなどの“水漏れポイント”を見える化し、お客様ごとに最適化したナビゲーションを表示させる事で、One to One接客を可能にする。導入するのには5分しかかからず、手軽さが特徴となっている。また、Bemattchの人工知能は、データが貯まるとそのデータを基に顧客の特性を機械学習する。例えば送客に成功したユーザーの特徴と似たユーザーの動きを特定し、表示することも出来るなど、人工知能を即時解析してサービスに反映させるものだ。ユーザーの特性を6つに分けて、そのデータを基に人工知能が学習し、特定のユーザーに対して、最適なアクションを決定し、オンライン上でのOne to Oneの接客を実現している。

 

 

メタップス「SPIKEオートメーション」

 

SPIKEオートメーション」はメタップスが提供する、人工知能によって最適な販促を実施するWeb接客サービスだ。

メタップスはこれまで10万を超える事業者に対して決済を提供し、購買の分析を行ってきた。そのノウハウをいかしてECサイトを訪問したユーザー行動を人工知能がリアルタイムで分析し、最適なタイミングで最適な販促施策を実施する。行動パターンからユーザーをいくつかのグループに自動分類し、最適なタイミングで最適なユーザーに割引クーポンやポイントなどを付与することで、購買率を最大化を図る。導入は最短1分で、専門知識不要でタグを設置するだけで利用できるという手軽さが特徴。また、初期導入作業や運用開始後のPDCAサイクルをまわす運用フローはすべてSPIKE側で解析し最適化するため、運用コスト0で導入できるのも特徴だ。

 

 

Emotion Intelligence「ZenClerk」

 

Zen Clerk」はEmotion Intelligenceが提供する、人工知能によるユーザーの感情解析によって最適な販促を実現するサービスだ。

Zen Clerkを導入しているECサイトの月商流通総額は200億円以上。サイト内のユーザーのマウスの動きやスクロールを統計・行動経済学にのっとりリアルタイムで分析、サイト閲覧者にクーポンなどのインセンティブを与える。

特徴的なのは、全ての購入検討客に同様の接客アクションを行なうわけでなく、アクションを行わないという選択を含めた様々な種類のアクションを行なうこと。そして自動的にABテストを行い施策の効果を明確化し、改善していく仕組みを持つ点だ。これによって、購入意欲があって迷っているユーザーの引き上げが望める。初期費用、月額費用が無料となっており、ABテストによって改善した売上に対する成果報酬体系となっている。タグ設置後30日間無料体験が可能だ。

 

 

人工知能搭載サービスの今

 

それぞれのサービスの対象業務と、対象サイト規模についてまとめてみよう。

人工知能(AI)でECサイトのマーケティングオートメーションはどのように変わっていくのか

SPIKEオートメーション、Zen Clerkは、flipdeskなどの接客サービスと対象業務領域は類似しており、サイト訪問者への販促活動に留まる。いずれも個人個人に最適化された販促を実行するものであり、購買率・継続率の最大化を最終目標としている。そのためマーケティングオートメーションというには少し狭い業務領域となる。一方で、B→Dashはマーケティング活動のほぼ全ての領域を網羅している。また、Bemattchは単体で見ると接客サービスとなるが、運営会社のピアラではネオマーケティングオートメーションツールのRESULTシリーズを提供。これは、ビッグデータから顧客を見つける「リードジェネレーショ ン」、顧客を誘導する「リードナーチャリング」、商品を購入させる「クロージング」、リピーターを育てる「CRM」というように、新規顧客の獲得・既存顧客の育成に重点を置いた、集客→販促→顧客育成までの一貫したものだ。そのためこれと連携させることでB→Dashと同じ業務領域を担うことが可能となる。

導入においてSPIKEオートメーションは最短1分専門知識不要、Bemattchはタグを埋めるだけ5分程度で終わる、Zen Clerkはタグ設置後30日間無料体験、といずれも手軽さを重視し、B→Dash以外は全てのサイト規模を対象としたサービスとして提供を行っているようだ。しかし現実的にはSPIKEオートメーションとZen Clerkが中小事業者向け、Bemattchは中規模以上のサイトが主な対象となるだろう。

 

 

人工知能で変わるECサイトの販促施策の未来

 

2045年、人工知能が全人類の知能を凌駕する技術的特異点シンギュラリティがおとずれると言われている。この技術的特異点に達するとき、「現在の多くの仕事が人工知能に取って代わられ、人間は不要になる」という懸念が語られることがあるが、これには素直にうなずけない。確かに、野村総合研究所と英オックスフォード大学との共同研究において「日本の労働人口の49%が人工知能などによって代替できるようになる可能性が高い」という結果がでているように多くの仕事が人工知能に取って代わられてしまうという点は否定できない。しかし、人間が不要になることはないと考える。

なぜなら、人工知能が進歩し驚異的な分析能力や処理能力を得たとしても、自らの意志や感情をもたなければ人の心を動かすことはできないからだ。コンテンツを作るマーケターは人の心をいかにして動かすかを考えることが重要となる。我々は人工知能と共存を探っていくことで、さらなるスピード、生産性を得ることができるだろう。これから我々人類はAIにはできない付加価値は何かを考えて生き抜くことが求められるに違いない。