消費者は「ブランドのモラル」に興味がなく、過度にパーソナライズされたと感じるコンテンツや広告を望まないという調査結果が発表された。

様々な駆け引きが行われ分極化が進む昨今の市場は、ブランドにとって危険を秘めるちょっとした”地雷原”のようなものである。多くの調査では、消費者の顧客ロイヤルティが低下し、ブランドの誤りやモラルに反する行為に対して概して寛容ではなくなっていることが分かっている。

しかし、モバイルロケーションデータ会社Blis新しい調査では、回答者の52%が5年前より現在のほうが、高いブランドロイヤルティを感じていると答えた。また、女性は男性よりもブランドロイヤルティがかなり低いという、意外な結果も示されている。しかしこの調査によって、「ブランドロイヤルティが高いか低いか」という問題よりも興味深く、より重要な意味を持つ発見があった。

米国の消費者2,000人を対象とした今回の調査では、消費者が小売業者やブランドを評価し購入決定に至るまでの「欲求(と価値)階層」が示されている。低階層は、最も重要で共通の欲求(価値)である「製品の品質と価格」がある。売り手の価値や「モラル」は、購入決定要因としては影響力に欠けている。

 

消費者のブランド欲求階層

 

上図の通り、調査回答者の大多数である71%が「ブランドとかかわる際の第一の判断基準は”価格と品質”」と答えた。興味深いことに消費者は、自分が「好きなブランド」に対してはエラーやミスに寛大である(それが何を意味しているかはっきりしていない)。しかし、世代や収入レベルによって調査結果に明確な変動と違いがある。

大多数は「たった1度の失敗でブランドへのロイヤルティを失ってしまう」と回答。年齢層別で見てみると、ミレニアル世代が最も寛容ではない(但し、特定の「好きなブランド」に関しては例外である)。ただ、調査回答として表現された感情と実際の行動は、必ずしも一致しない、ということを覚えておくことが重要だ。

 

企業の誤りを何度まで許せますか?(年齢別)

 

またこの調査では、所得水準が高くなるほど寛大ではなくなり、短気であることがわかった。

つまり、消費者の家計収入が高いほど、ブランドを見限る可能性が高くなる。家計収入が2万5,000ドル未満の消費者のうち36%がブランドの失敗に対して複数回チャンスを与えようとするが、7万5,000ドル~20万ドルの消費者の54%はそれほど寛容ではないのだ。

ブランドのどのような行動に対して、苛立ちを覚えたり、関わりを持ちたくないと感じるかという質問に対しては、品質の悪さや”いんちき”な商売、カスタマーサービスの悪さを一番の理由にあげた回答者。続いて、「監視されている感じを受けるような過度にパーソナライズされたコンテンツ」、「ブランドに認識されず報われないロイヤルティ」、「多すぎるEメール(過度のコミュニケーション)」があげられた。他の調査項目の結果によると、消費者が最も価値のあると感じるのは、「プロモーション」コンテンツ(割引や特典を意味する)のコンテンツであった。

 

何が原因でブランドから離れますか?(重要度別)

 

企業の視点から見れば、上記の図はおそらくこのレポートの中で最も重要な内容だろう。「立ち入りすぎやオンライン上の行動を監視されているように感じるコンテンツや広告」に消費者は憤慨し、ブランドとの関わりを拒否したいと考えるという一方で、お得な割引や新製品の詳細、もしくは企業内部情報が得られるのなら、個人情報を共有してもよいと考えているのだ。

これら2つの調査結果では、「”立ち入りすぎ”と感じさせない、”パーソナライズされた”コンテンツや広告と宣伝を作る」という、ブランドがまさに直面している課題を明示している。つまり「あちらを立てればこちらが立たず」ということである。

 

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※当記事は米国メディア「Marketing Land」の4/3公開の記事を翻訳・補足したものです。