スマートフォン向け写真共有アプリSnapchatは、位置情報ベースの広告配信戦略に注力し続けている。Snapchatが提供を開始した新機能により、広告主はビーチや映画館、大学などの地点やその周辺にいるユーザーへのターゲティングが可能になる。
Snapchatは2018年3月22日に3つの新しい広告ツールをリリース。そのうち2つは、位置情報ベースのターゲット設定オプションを含むもの、もう1つは広告主が実店舗のトラフィックを追跡できるようにする店舗内分析ツールである。
位置情報カテゴリー
2つの新しい位置情報ベースの広告機能のうち、1つは”位置情報カテゴリーフィルター”である。この機能を使って、広告主はビーチや映画館、大学のようなロケーションタイプに基づいたオーディエンスのターゲット設定を行うことができる。
Snapchatによると「例えば水着ブランドは、全国のビーチにいるSnapchatユーザーへリーチすることができ、同様に映画スタジオは、劇場にいるSnapchatユーザーにリーチすることができる」とのこと。さらに「広告主はさらに、位置情報のカテゴリーを州や市、DMA(テレビ視聴地域)などによって絞り込むことができる」と言う。
Snapchatによると、広告主は全米で150以上の位置情報カテゴリーを選択可能。
「ロケーションタイプの広告フィルターは独自のもの」と言い切る同社は、他の主要な広告プラットフォームでは実現困難であろう”広告ターゲティングのオプション”を提供していくと言う。
ターゲット地域
もう一つの新機能は”ターゲット地域設定”。これにより、広告主は特定地点の周辺にいるオーディエンスに対しターゲティングが可能になる。つまりこの機能を使用することで、世界中の住所や市街地、地図上の特定ピンや地点の一定半径内のエリアを、ターゲット地域に追加、または除外できるのだ。
Snapchatは、例として、ターゲット地域設定機能のベータ版ユーザーである旅行企画ウェブサイトHopperとNordstrom Rack(米国のデパートNordstromのアウトレット店)の2社を挙げる。Hopperでは、他のソーシャルプラットフォームと比較すると、ターゲット地域設定フィルターによってインプレッション当たりの広告費用(CPIs)が半額に。また予約率は4倍になったとのこと。
Nordstrom Rackは具体的な数字は明らかにしていないものの、ターゲット地域設定フィルターを使って新規オープン店の半径20マイルのユーザーをターゲットに広告を打ち、来店客数の増加につなげたと言う。
これらの位置情報カテゴリーとターゲット地域設定フィルターは、SnapchatのAds Manager プラットフォーム内の新しい位置情報検索バーから利用が可能。この位置情報検索バーは、広告主が位置情報カテゴリーや住所、市、近隣などの地図上の特定地点を迅速に設定できるツールなのである。
来店客数の分析
Snapchatは更に、実店舗を持つ広告主に向けて、特定のロケーションを訪れたSnapchatユーザーの実店舗への来店を追跡する新機能のベータ版を開始。これはユーザーの年齢や性別、興味に関する情報を提供する、新しい来店客数分析ツールである。
現段階ではベータ版のリリースであるが、既に実店舗を有する“何百もの”企業が利用可能とのこと。まもなくAds Managerプラットフォームを通じてすべての広告主に提供していく予定だと言う。この分析ツールは無料で、出稿費用とは関係なく利用可能であるとのこと。
Snapchatは“位置認識カメラ”アプリとしての地位を確立した後、位置情報分析プラットフォームPlacedや位置情報共有アプリZenlyなどの企業を買収し、位置情報関連技術に多くを投資してきた。この最新の広告フィルターは2018年に入って初めて公開する位置情報を中心とした機能であるが、今後さらに多くのこうした機能を追加していく予定だと言う。
また位置情報が同社が提供する広告サービスにおいて重要な役割を果たしている一方で、ユーザーのプライバシーの順守にも取り組むSnapchat。「Snapchatは、広告主にユーザーを特定する位置情報を(勝手に)提供するということはなく、すべてのユーザーには位置情報サービスを利用するかどうかの選択肢が用意されている」ということだ。
さらにSnapchatは、新しい位置情報によるターゲティングオプションを発表したのと日を同じくして、ユーザー向け機能である“Explore”をリリースしている。“Snap Map上で起こっていることのツアーガイド”と定義されたExploreでは、自分の位置情報をシェアするよう選択したユーザーの位置情報を自動で更新する。
Snap Mapは現時点では広告を含んでいない。しかし同社は、Snap Map機能の充実に重点を置いており、位置情報ベースの広告戦略と組み合わせた地図機能への広告拡張の可能性を示唆している。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/22公開の記事を翻訳・補足したものです。