米アプリ分析、アプリ市場データ調査企業App Annieの上級副社長、Danielle Levitasによると、食料品店の未来はモバイルが重要な鍵を握っているという。

ほとんどすべての小売業に広がっているモバイル利用への大規模な移行だが、ただ一つの例外がある。それは食料品分野だ。全ての分野でモバイルオプションの需要が急増しているにもかかわらず、食料品は頑なに伝統を守っており、今でも店内で簡単に商品を選び買うことができる。

先日発表された米大手EC企業Amazonによる高級自然派スーパーWhole Foodsの買収計画により、同社は最後に残された食料品販売分野の“モバイル化への移行”という最終目的地へ、再挑戦する準備ができた。

 

<参考>

【米国】Whole Foodsを137億ドルで買収したAmazonの今後のビジョンを占う

【米国】AmazonがWhole Foodsを買収した後の影響

 

有望な成長を示すデータ

Amazonはビジネスのほぼすべての分野にわたって、モバイルにおいてすでに驚異的な成長を見せている。App Annieのデータによると、Amazonは2017年5月現在、米国内で8,000万人のiPhoneとAndroidのアクティブユーザーを抱えている。Whole Foods Marketも過去2年間で月間利用者数は増加しており、モバイル分野でも素人ではない。これは食料品の買い物客(特にWhole Foodsの消費者)が、自分たちのショッピング体験を促進するために、ますますモバイルアプリに頼ることを示している。

この10年間で大口小売業者との統合とシェア争いの激化を経験している食料品業界にとって、この買収はあまりにも危険に思えるかもしれない。しかし、Amazonが検証したことが1つあるとしたら、それは食料品店全体の経験を垂直に統合する強力なライバルが他にいないかどうかということだ。Whole Foods Marketアプリを利用しているiPhoneユーザーは、米国の一般市民と比較してAmazon Primeを3倍以上使用する可能性が高いことから、Amazonはすでに有利なスタートを切っていると言えよう。

 

一体化へ

ここ数年、食料品店の買収を狙ってきたAmazon。その買収によりこの分野が劇的に加速し、Amazonは米国内の主要な場所に数百の店舗を持つこととなった。小売業、特にモバイルコマースはほかのすべてのチャネルを上回っており、2016年から2021年にかけて世界中で約6倍の成長が見込まれている。実際App Annieは、米国内ユーザーあたりの2016年の電気通信費は613ドルで2021年には2,012ドルに増加すると予測している。食料品分野は2021年に近づくに従って、この成長を促す重要なセグメントの1つである。

この買収によって、Amazonはモバイル注文と支払いの複合的な小売戦略を通じてモバイルコマースの成長から利益を得ることができる。ユーザーはショッピングリストを作成したり、ブラウザで商品を閲覧したり、価格を調べたり、最もお買い得な情報を得たり、購入したりを、全てアプリ内で行えるのだ。最近Whole Foodsはアプリのいくつかの機能キーを削除したが、顧客からの意見を受けてこれらの機能が復活することを我々は期待している。

 

モバイルファーストの未来

米国人は1日当たり2時間15分以上アプリを利用する。これは1年に換算すると1か月以上に相当する。いつでもどこでも顧客とつながることができる。これがアプリの持つ力だ。過去2年間で倍増しているショッピングアプリに費やす時間や、平均して1日ほぼ2回これらのアプリを利用するスマートフォンユーザーによって、ショッピングとモバイルコマースはアプリの重要な成長要因となっている。

一夜にしてモバイルが食料品市場の中心にはならない。しかし、2021年の世界的なアプリ経済の価値は6兆3,000億ドルに増加すると見込まれており、モバイルは引き続き成長を加速している。世界的にみると、アプリ市場は銀行業界から医薬品業界に至るまで、モバイルのほぼすべての分野で新しいフランチャイズが登場している。モバイルファーストの社会は利便性、価値観、新しいものを受け入れる意欲を求めて動き続ける。Amazonはその勢いを食料品業界にもたらすことによって、モバイルがこの業界の消費者とブランド双方に不可欠であることを示唆。同社はその最前線にいる。

 

※当記事は欧州メディア「Mobile Marketing Watch」の9/7の記事を翻訳・補足したものです。