2016年、およそ18億ユーロに達したヨーロッパでのカード不正損失額。その中でも、イギリスでの損失額が最も高かったという。

同国の2015年のカード不正による損失額は6億4,600万ユーロであったのに対し、翌年2016年には9%増のおよそ7億300万ユーロに。イギリスとフランスの二国だけで、ヨーロッパにおけるカード不正損失の約4分の3を占めている。

この数字は、国際市場調査のトップ企業であるEuromonitor Internationalと、UK Cards Associationのデータをベースにしたヨーロッパカード不正地図「European Fraud Map」によるものである。この双方向地図はヨーロッパ19か国のカード不正損失を示しているが、このデータによるとCNP(Card Not Present)不正、つまりクレジットカードを実際に提示しないオンライン決済でのカード不正利用損出が、2008年はカード不正損失全体の50%だったのに対し、2016年には70%に増加していることがわかる。

 

ヨーロッパでのカード不正の変遷 2016年

イギリスでのカード不正の増加率は、2015年にはヨーロッパで最も高かったが、昨年はスエーデンが前年比18%増で最も高く、次いでポーランドが前年比10%増。全体としては、ヨーロッパの10カ国でカード不正が増加し、8カ国で減少、ルーマニアのみ前年度と変わっていない。

「ますます難化するカード不正取引の検出」

「クレジットカードやデビットカードをICカード化して、暗証番号を入力しないと本人認証が行えないchip & PINプロジェクト導入で、かつてのカード不正は阻止され、危険な犯罪ルートは減少してきたものの、オンライン決済やCNPカード不正の増加により、銀行や小売業者は新たな難題を突き付けられている」と分析ソフトウェアの大手企業FICOの不正対策上級顧問Martin Warwick氏は言う。「オンライン購入の成長の影に潜むものは、犯罪者の視点からはチャンスに映る。不正取引を検出しこれを阻止することはますます難しくなってきている」

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News Europe」の6/29の記事を翻訳・補足したものです。