米Amazonが、レシピと調理に必要な食材がすべて入った「食材キット」を宅配するサービス、Amazon Meal Kitsを準備中であることが明らかとなった。大手自然食チェーンWhole Foods Marketの買収計画を発表しているAmazonは、ミールキット市場への参入によって生鮮食料品業界における存在感をさらに強める狙いだ。
Amazonはミールキットの試験販売をすでに開始
ミールキット配達サービスとは、レシピと調理に必要な食材がすべて入った「食材キット」を宅配するサービス。ユーザーは配達された食材をレシピ通りに調理するだけでよく、買い物の手間やレシピを調べる時間が省けるとして、アメリカで人気を博しているサービスだ。
▲Amazon Meal Kitsの商品「STEAK AU POIVRE」
Amazonは7月6日に、「肉類、魚介類、果物、野菜を含む、調理済みの具材を入れた食材キット」の宅配サービスとして商標を登録。商標登録のキャッチワードは「We do the prep. You be the chef.」(私たちが準備して、あなたがシェフに。)というものだという。
Amazonがミールキットの試験販売をしていることが明らかとなったのは、米国メディアGeekWireの読者が実際にAmazon Meal Kitsのサービスを利用しているとの情報が入ったため。Amazon Meal Kitsは正式にサービスを開始しているわけではないが、シアトルで限定的に試験販売をしていると見られる。
▲Amazon Meal Kitsの注文画面
試験販売のミールキット、課題は価格と包装の軽量化か
試験販売のミールキットを注文するには、Amazon Primeの会員であるだけではなく、Amazon Freshの会員である必要がある。「Fresh Meal Kits」のカテゴリーには42種類の商品があり、うち17種類はAmazonの商品。ほかの25種類の商品はTyson TasteMakersやMartha & Marley Spoon社だったという。
実際に試験販売のAmazon Meal Kitsサービスを利用したGeekWireの記者は、買い物の手間を省ける点と注文の簡単さを評価した上で、その課題として価格と包装の軽量化をあげている。まず価格だが、現在商品としてリストアップされている商品は15.99米ドル以上。平均すると20米ドルかかるとみられ、毎日誰もが利用できる価格ではないと指摘している。また、過剰でかさばる包装は環境によくないとし、環境に配慮した包装システムの開発が必要だとしている。
Amazonは生鮮食料品業界への影響力を強めている
Amazonは6月16日に、テキサス州オースティンに本社を置くWhole Foods Market社を現金約137億ドル(一株42ドル)で買収すると発表し、生鮮食料品にビジネスを拡大する方針を強固にした。ミールキット業界への参入が実現すれば、Amazonはますます生鮮食料品業界における影響力を強めることになる。
ミールキットを主要商品とするBlue ApronやHello Fresh、Platedなどの生鮮食品業界は、Amazonのミールキット参入の打撃を受けることになるだろう。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の7/18公開の記事、米国メディア「GeekWire」の7/17公開の記事、7/19公開の記事を翻訳・補足したものです。