単品通販・リピート通販のリスクを減らし、しっかり効果を上げるために考えるべきポイント - どのように単品・リピートに特化したECサイト運営に取り組んでいくべきか

 

2000年代前半、eコマースの黎明期ではオンライン上にモノを並べるだけで売れた時代もあった。しかし今やオンラインでモノを売るためには相当な努力とノウハウが必要になってきている。例えば消費者がオンラインでモノを買う際に、数多くの選択肢が存在している。大手モールやブランドの公式ショップだけでなく、フリマアプリや場合によっては海外からモノを買うことも可能になってきている。そんな中、各社が独自のショップを展開する際に、通常の商品陳列型のショップを開店するのではなく、商品が絞り込まれたいわゆる「単品通販」形式でショップを運営し、定期購入という形で継続的に購入をしてもらう「リピート通販」を行うケースが増えてきている。今回はそのような単品通販・リピート通販を行う上で考えていくべきポイントを紹介していく。

 

※当記事はリピート通販に特化したカートASPサービス「リピスト」を提供するPRECS社から情報提供を受け、リピート通販成功に向けた方法論の一部を解説した記事である。

 

 

商品を絞り込むこと

 

従来ECサイトにおいては幅広い商品レンジを展開してあらゆる商品に興味を持ってもらった消費者に見つけてもらうことが王道の戦略とされていた時代があった。しかし、単品通販サイトではその名の通りごく一部の商品のみを取り扱うこととなる。一見興味を持ってもらえる消費者の幅を狭めてしまうように見える単品通販サイトだが、商品を絞り込むことで最近では以下のメリットがあると考えられるようになってきている。

 

強い商品に店舗の売上を引き上げてもらうという考え方

基本的には超巨大なECサイトを除いてどのようなECサイトにおいても「主力商品」が存在する。多くの商品を並べていてもその主力商品が売上の半分以上を叩き出しているケースは珍しくない。逆を言えば各ECサイトにおいて主力商品を明確にし、それによる売上を最大化することで、店舗全体の売上を上げていくという戦略が必要になってくる。単品通販はそれを運営側だけでなく消費者に対しても分かりやすく明示したものだと考えることが出来るだろう。

 

販促を行う商品を絞り込んだ方が広告効果が上がりやすい「選択と集中」

広告やキャンペーンなどの販促費用には限りがあるものだ。また費用だけでなく運営担当者の工数にも限りがある。そのため一般的に販促効果はそれらのリソース(費用・工数)の2乗に比例すると言われている。1商品のみの場合はリソースを10とすると販促効果は100となる。しかし2商品になった場合にはリソースが5になるので販促効果は25、3商品になった場合には10.89と、一気に販促効果は落ちていく。そのため単品通販では限られた予算と工数を1商品のみに集中投下するため販促効果は最大化されるというメリットがある。

 

<参考>

市場の後発サイトがとるべきEC戦略3つの基本 - 特定セグメントでのリーディングカンパニーを目指そう

 

商品=店舗とすることでブランド認知を効果的に高める

多くの消費者はどの商品をどの店舗で購入したのかほとんど覚えていないと言われている。特に多くの商品を陳列している店舗や定番商品を取り扱っていて価格競争を行っている店舗であればなおさらだろう。しかし単品通販の場合は、ほとんどのケースでオリジナル商品であり、他サイトでは購入できない商品だ。また商品=店舗という形となっていて一度来訪した消費者の記憶に残りやすい。オンライン上で多くの店舗が乱立する中で、一度来訪した消費者の記憶に少しでも残るというのは重要なことと言える。

 

このように今や商品を絞り込むことによるデメリットよりもメリットの方が大きいと考えることもできる環境になってきている。

 

 

単品通販・リピート通販に向いている商材・業種

 

とはいえ、どのような商品でも単品通販・リピート通販を行えるわけではなのも事実だ。どのような商材や業種が単品通販に向いているのだろうか。一般的には健康食品や化粧品、水などが向いていると言われているが、どのような特徴があるのか見ていこう。

 

継続使用することで効果が感じられる

一回入手しただけで満足をしてしまう商材は不向きだ。少し使ってなんとなく改善効果が感じられ、少し継続してみようかな、と思わせられる商材というところがポイントになるだろう。

 

消費サイクルが短く、かつほぼ一定

その商品が消費されるものであることは大前提となる。そしてその消費サイクルが一定でかつ一ヶ月程度と短いことも重要だ。故障したら交換するようなもの、季節によって利用に波があるものなどはFITしないだろう。

 

通販以外での購入が困難または労力がかかる

店頭で購入するよりもオンラインで購入する方が楽な商品も単品通販・リピート通販に向いている商品といえる。これは言い換えると課題解決型の商品ということになる。何らかのコンプレックスを改善するもの、悩みを持っていることを人には知られたくない商品ということだ。

 

また、運営する企業のカルチャーにもある一定の特徴がある。このような商材を持って長年悩みを持った顧客と向き合ってきた企業は非常に上手に単品通販・リピート通販を行うことが出来る。

 

 

リピートに特化したカートの特徴

 

単品通販・リピート通販を行うための環境はここ数年で急激に整ってきている。このような販売形態を取る店舗が増えてきたことで、単品通販・リピート通販を手軽に行うためのカートサービスも増えてきた。リピスト、たまごカート、侍カート、リピートPLUS、楽楽リピートと単品通販・リピート通販向けに特化した5サービスの機能を比較していこう。(※当セクションはeccLab編集部で公表データなどを元に独自調査を実施した。)

 

単品通販・リピート通販のリスクを減らし、しっかり効果を上げるために考えるべきポイント - どのように単品・リピートに特化したECサイト運営に取り組んでいくべきか

機能の比較は一般的な機能の提供が揃っている主要と思われるサービスプランで行った。単品通販・リピート通販を行うための基本的な項目については各社とも対応がほぼ完了している。しかし運用負荷を下げたり、より販促効果を高めたりするための機能については少しずつ差が出ている状況のようだ。

しかし、逆に考えると、上記以外のカートサービスやCMSバッケージなどでは、高額のものも含めてもこれらの機能を全て有しているサービスはほぼ無い現状を考えると、単品通販・リピート通販を行う際には極めて高いコストパフォーマンスを発揮するサービスといえるだろう。

また、各運営会社には多種多様な実績の積み上げがあり、単品通販・リピート通販の運営ノウハウを担当者が有していることも頼もしい。

 

 

単品通販・リピート通販を行う上で重要なファクター

 

実際に単品通販・リピート通販を開始した際にも注意が必要だ。単品通販・リピート通販では通常のECサイトと顧客の獲得方法、囲い込み方法、投資対効果の考え方などが若干異なるからだ。特に単品通販において確認するべき重要な指標を見ていこう。

 

EFO

EFOとはエントリーフォーム最適化(Entry Form Optimization)のこと。お客様がその商品の購入を申し込む画面での離脱を最大限防ぐ取り組み全般を指す。通常のECサイトでももちろんEFOは重要ではあるが、EFOよりもCVR全体を上げることにフォーカスがあたることが多い。しかし単品通販・リピート通販では一度パーミッションを得た顧客には定期購入という形で継続的に売上が立つ形になるため、一度だけの接点の場と割り切ることは出来ない。そのためより一層EFOの重要度が増してくる。

 

CPA

CPAとは顧客獲得単価(Cost Per Acquisition)のこと。単品通販・リピート通販においては特に定期購入のお客様を獲得する単価のことを示すことが多い。広告などの外部施策によってもCPAは下げることも可能であるが、EFOなどの内部施策によってもCPAの値は変わってくるため、その両方の成果の意味を併せ持つものとなる。

 

LTV

通常のECサイトだと客単価という1度の購入時の単価を指標として見て行くケースが多いが単品通販の場合は異なる。一度顧客になったらしばらくの期間その顧客からの売上が上がり続けるのがリピート通販の特徴のため、その顧客が将来にわたってどの程度の売上を上げてくれるのか、という視点、すなわちLTV(Life Time Value)という形で顧客の価値を評価していく。

 

トータルで考えると、CPAを低くして顧客を獲得し、EFOによってCVRを高め、その顧客のLTVを高めていくことが重要ということだ。そのためには通常のECサイトの機能とは異なる単品通販・リピート通販向けの機能が多数必要になってくる。

 

 

どのように単品・リピートに特化したECサイト運営に取り組んでいくべきか

 

オンラインでの消費者の動向や嗜好が変わり続けている中で、ECサイトの形態にも変化が見えてきている。多くの商品を並べる陳列型のECサイトだけでなく、ここで紹介した単品通販・リピート通販という形態も有力な選択肢となってきている。しかしどのような形態にしたとしてもECサイトを運営する上で、顧客の立場に立って商品やサイトを作り、運営していくことが重要になってくる。特に単品通販・リピート通販では、顧客との接点は一度きりではなく継続するものとなる。そのためより一層そのような視点での運営が必要になってくるのではないだろうか。