Gmailのスパム規制強化やiOSのアップデートにより、メールキャンペーンが受信トレイに届かないブランドが増えている。その理由と解決策を紹介しよう。


Googleが1年前に導入したスパム制限とAppleのiOSは、メールマーケティングに大きな問題を引き起こしている。

中小企業や大企業、消費財やB2Bなど、あらゆる規模や業種のブランドは、Gmailのスパム規制を潜り抜けるのに苦労している。努力が足りないわけではない。AppleのiOS 15iOS 18のアップデートはメールの状況を複雑にし、分析的洞察とその後の解決策を特定することを難しくしている。

ここでは、私たちが目にしている問題と、配信性を改善しスパムフォルダーを回避するためにブランドができることを紹介する。

 

メールキャンペーンに見られる傾向

ここ1年で、私たちのエージェンシーにeメールのパフォーマンス改善を依頼するブランドの間で、いくつかの共通した(そして不利な)傾向が見られた。

  • ブランドのエンゲージメント率(特に開封率とクリック率)が著しく低下している。すでにそのブランドに興味を持っている人の受信トレイにしかメールが表示されず、ほとんどの購読者にとっては、メールはスパムとしてフラグが立てられている。
  • これらのブランドの多くにとって、この問題に直面するのは初めてのことだ。
  • 最近スパムラベルと戦ってきたブランドにとって、通常の緩和策はうまくいかなかったか、短期的にしか効果がなかった。


何が起きているのか?iOS
アップデートがメールのパフォーマンスに与える影響とは

4年前の「アップデート」がパフォーマンスを低下させているのだろうか?そのアップデートがiOS 15(およびMail Privacy Protection(MPP))であれば、答えはイエスである。

iOS 15は開封率の精度を徹底的に狂わせたため、MPPを選択したApple Mailユーザーは、一般的に、購読しているブランドから送信されるすべてのメールを開封しているものとして追跡された。つまり、ブランドは、彼らの忠実な購読者(その多くはほとんど関与していなかった)に関する過剰に膨れ上がったデータを得ることになった。その結果、メールの開封率に基づいてセグメントしているブランドは、そのセグメントをスパムフォルダまで到達させてしまうことになった。

それだけでも影響があったのに、Appleは2024年9月にiOS 18を導入した。そして、18.2バージョンの変更により、エンゲージメント率が大幅に低下した。これらの変更には次のものが含まれる。

  • 受信トレイのエクスペリエンスへのタブの導入(主要、取引、アップデート、プロモーション )は、メールのパフォーマンスに大きな影響を与えた。当社のクライアントポートフォリオのブランドでは、ほぼすべてのメッセージ(実際にトランザクションに関連するものを除く)がプロモーションタブにフィルター処理された。
  • 同じ送信者からのメールをグループ化することで、ユーザーが最新のメールを開くときに以前のメールを処理することが強制される(以下のスクリーンショットを参照)。
  • プロモーションタブに、最近の同じメールの件名を含めている(プレビューテキストは完全に削除)。
  • 「すべてのメール」タブのプレビューテキストをApple Intelligence(Appleが提供するAI機能群)の要約に置き換えている。

これらすべての総合的な影響は次のとおり。

  • メールを見るための障壁が増える(ユーザーはプロモーションタブに移動する必要があるため)。
  • 特定のメールを見るための手順が増える。

上で説明したように、開封率を正確に測定できないにもかかわらず、エンゲージメント率が低下していることがわかっている。

さらに悪いことに、iOS 18.2と18.3の現在の採用率(リアルタイムウェブ解析サービスのStatcounterによると合計46.1%)はさらに上昇すると予想されている。

 

ブランドはこれからどうすればいいのだろうか?

  • セグメンテーション戦略を再検討する: 長期間にわたるメール開封データは、誤った指標である。ブランドは、トップエンゲージメントを特定するために、オーディエンスのルールをよりクリエイティブにする必要がある。
  • オーディエンスをもっと厳密に絞り込もう: ブランドがキャンペーンを送信する対象がより小さく、より正確であればあるほど、スパム率は下がる。まずは小さく始め、信頼できるデータと結果を得て、そこから徐々に拡大しよう。
  • エンゲージメントフレンドリーなテクニックに重点を置く: パーソナライゼーション、自動化されたジャーニー、件名にプロモーションコードを含めるなどのテクニックを活用しよう。
  • メールには必ずライブテキストを使おう: 画像内の静的テキストを使用しないこと。AppleがiOS 18.2で導入したAI機能は、そうしたコンテンツをうまく読み取れないからだ。
  • コンテンツカレンダーを定期的に見直そう: 短期間に同じ受信トレイに連続してたくさんのメールを送信していないか確認しよう。

これらを実行すると、スパム率を大幅に下げることができるが、ニュースやトレンドを常に把握して、状況に応じてアプローチを更新することもお勧めだ。

 

最後に

メールの配信性は科学というより芸術である。スパムフォルダーに入らないための戦略についてチーム内でオープンな対話を維持し、同様のブランドで効果が実証されている取り組みをテストしてほしい。最後に、ベストプラクティスは進化し続けるため、今後もさらなる推奨事項に期待してほしい。


※当記事は米国メディア「Martech」の3/28公開の記事を翻訳・補足したものです。