株式会社帝国データバンクは、生成AI(人工知能)の活用状況などについて、2023年6月12日~15日の期間、1,380社に対しアンケートを行った。

 

 

調査結果

 

生成AI(人工知能)の活用について尋ねたところ、「業務で活用している」と回答した企業の割合は9.1%にとどまったものの、「業務での活用を検討」している企業は52.0%と全体の半数を超えた。

 

 

また、「業務での活用を検討していない】企業は23.3%(「今後も活用するつもりはない」17.7%、「業務での利用が認められていない」5.6%)だった。

なお、業務で生成AIの活用を具体的に検討したいと考えるよりも、活用の検討を考えつつもイメージが湧かないとの回答が4割弱と最も高かった。企業からは「業務とのつながりがイメージできない」、「使用したいが、使い方がよく分からない。詳しい社員もいないのでしばらくは静観するしかない」との声もあり、現時点では自社の業務での具体的な使い方やイメージが湧きにくいという実態だった。

 

 

生成AIの活用状況について規模別にみると、「業務で活用している」企業は、「大企業」が13.1%、「中小企業」が8.5%、「小規模企業」が7.7%と、企業規模に比例してAI活用の割合が高まっていた。また、「業務で活用している」企業において、利用に関する社内ルールがある企業をみると、「大企業」が3.4%に対して、「中小企業」は0.9%、「小規模企業」は0.4%という結果だった。他方、「業務での活用を検討していない」企業のなかで、会社から業務での利用を認められていない企業でも、「大企業」の11.4%が最も高く、「中小企業」4.7%、「小規模企業」4.3%が続いた。規模の大きい企業やグループを中心に「情報漏洩リスクが懸念されており、グループ全体で使用禁止になっている」など、「利用ルールが定められている・利用を認められていない」というケースが多かった。

 

 

生成AIを『活用・検討』している企業に、活用したことがある、または活用したい生成AIについて尋ねたところ(任意・複数回答)、ChatGPTなどを含む『文章・コード生成AI(総合型)』が93.1%で最も高く、次いで、『画像生成AI』14.3%、『音声・音楽・動画生成AI』7.4%だった。

このうちChatGPTの登場で特に注目されている『文章・コード生成AI』を具体的にみると、「ChatGPT」が87.9%で最も高く、次いで、「Bard」が27.2%、「Smartling」が4.7%と続き、ChatGPTが突出して高いことがわかった。

 

 

まとめ

 

本アンケートの結果、生成AIについて、自社の業務で活用・検討すると前向きに取り組む企業は6割に達し、全体の4割弱は活用の意向があるものの、自社の業務での具体的な使い方や活用場面が想定できておらず、ビジネスでの活用には少し時間がかかりそうだということが分かった。

また、一部の業種や業務などでは、生成AIを活用した生産性の向上が人手不足緩和の一助になると期待される半面、情報の正確性の問題や誤った使い方による情報漏洩および権利関係の侵害といったリスクがある。こうした背景から、政府は今年5月にAIの活用方針を議論する「AI戦略会議」を設置したほか、G7広島サミットでChatGPTなど生成AIに関して国際的なルール作りの推進が合意された。今後、このように生成AIのさらなる機能の開発や国による適切なルール作りが進むにつれ、企業による生成AIの活用や普及を通じて、生産性向上や人手不足の解消に貢献していくことが期待される。