最も長い歴史を有するモバイルマネー・プラットフォームの一つである「M-Pesa」は、月間アクティブ顧客数が5,000万人に達し、アフリカ最大のフィンテック・プラットフォームとしての地位を確立した。

 

14年以上前にケニアでスタートしたM-Pesaは、現在、ケニア、タンザニア、モザンビーク、コンゴ民主共和国、レソト、ガーナやエジプトでサービスを提供している。M-Pesaは、2020年4月にVodafone(英国に本社を置く多国籍携帯電話事業会社)が南アフリカの通信グループVodacom Groupとケニアの通信会社Safaricom plcに売却した。Safaricomは、Vodafoneが40%、そしてケニア政府が35%を所有。Vodacomは、Vodafoneが60.5%を所有している。

 

M-Pesaのアクティブ顧客数は、過去5年間で倍増している。そして、SafaricomとVodacomが、アフリカ大陸での同サービスの成長を加速させるべく、M-Pesa Africaの合弁事業を立ち上げてから18ヶ月経過した今、月間アクティブ顧客数が5,000万人という金字塔が打ち立てられた。M-Pesa Africaは、アフリカ大陸最大のフィンテックおよびデジタルエコシステムを目指す取り組みの一環としてデジタルプラットフォームを提供している。

 

M-Pesaは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の間、顧客にとってさらに重要なプラットフォームとなり、当会計年度の第1四半期の取引額は前年同期比で44%増となった。当四半期の取引件数は45億件、取引額は630億ユーロ(542億ポンド)に達した。

 

「14年前、我々は顧客同士をつなぎ、さまざまな機会を提供するために、M-Pesaを立ち上げた。アフリカ大陸の5,000万人を超える顧客とともに、この素晴らしい節目を祝うことができ、うれしく思う。今回の記録達成を讃えるとともに、我々は、顧客の生活をさらに変革するために、より革新的な取り組みについてなお一層注力する決意を改めて表明したい」と、M-Pesa Africaのマネージング・ディレクターであるSitoyo Lopokoiyit氏は述べている。

 

SafaricomとVodafoneは2007年、顧客間の即座送金手段として、ケニアでM-Pesaを立ち上げた。多くの顧客にとって、このサービスは最初の、そして、多くの場合、唯一利用できる金融サービスとなり、ケニア全土で急速に成長し、普及した。

 

その結果、M-Pesaサービスは、アフリカ大陸全体の組織的なファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)の成長に大きく貢献した。ケニアでは、モバイルマネーの普及により、金融サービスや金融商品へのアクセスが2006年から2019年の間に約56%増加した。また、M-Pesaは、ケニアの約2%の世帯を極度の貧困から脱却させたといわれている。

 

現在のM-Pesaは、企業と個人の双方の顧客にさまざまな金融サービスを提供する両面的なネットワークである。顧客は、50万以上のM-Pesaエージェントを利用して、送金、ビジネス決済、請求書の支払い、国際送金、預金、クレジットの利用などのすべてを携帯電話で行うことができる。

 

2021年6月、すべてのサービス提供エリアで「M-Pesa Super App」の提供が開始した。これは、M-Pesaの重要なイノベーションの一つであり、このミニモバイルアプリを使うことで、顧客や企業は、ショッピングから行政サービスへのアクセスまでの日常的なタスクを、それぞれのタスクごとに異なるアプリをダウンロードすることなく実行できるようになった。

 

M-Pesaは、企業向けサービスとして、4万5,000人以上の開発者と20万社以上の企業が利用するオープンAPIである「M-Pesa for Business Super App」、企業が支払いを受けるだけでなく、ビジネスでの支払いを行うことができる「Transacting Till」、そして、中小企業が個人用とビジネス用の資金を分けることができる「Pochi La Biashara」などを提供している。M-Pesaでは、50万社以上の企業が毎月58億ユーロ以上の取引を行っている。

 

また、M-Pesaは、新しい技術やパートナーシップへの投資を行い、貯蓄や融資、資産管理、そして保険を促進する商品を提供することで、顧客の経済的健全性を高めることを目指している。そして、同社の送金の強化を目的とするパートナーシップ拡大により、顧客は200以上の国や地域で送金ができるようになった。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の9/7公開の記事を翻訳・補足したものです。