2020年、Picnic(オランダのオンライン専業スーパーマーケット)は、力強い成長を遂げ、フランスへの進出に奔走している。情報筋によると、Picnicは昨年、収益を倍増し、現在の企業価値は5億ユーロ近くになると予測されているという。
新型コロナウイルスの流行により、オンラインショッピングが大幅に増加し、より多くの消費者がオンラインで食料品を注文するようになった。Picnicは、そうした恩恵を最大限に活かし、新規顧客数、注文数、売上高を大幅に増加させた。
情報筋は、Lebensmittel Zeitung(ドイツの食品業界専門紙)に対し、Picnicのオンライン収益が2019年の2億3,270万ユーロから昨年の4億7,000万ユーロへと、1年で2倍になったことを明らかにしている。
Picnicの売上高
2019年、Picnicの売上高のほぼ10%はドイツからのもので、当時の売上高は6倍の2,200万ユーロに増加した。ここでは、同社はルール地域を中心に、ノルトライン・ヴェストファーレン州でのみビジネスを行なっていた。
損失も増加
Picnicは近年、売上高が増加しているだけでなく、損失も増加している。2019年の税引き前には、損失額は7,300万ユーロに達した。しかし、損失は、売上高ほどのスピードで増加はしていない。 Lebensmittel Zeitungによると、Picnicの収益性は大幅に改善されたとみられている。Picnicは、Picnicの企業価値は現在10億ユーロと推定されているが、同社はこの数字についてはコメントをしていない。
「現在の企業価値は10億ユーロと推定されている」
Picnicがドイツ全土で大規模拡大
Picnic GermanyのCEO、Frederic Knaudt氏が明らかにしたのは、同社が急速に成長し続けているということのみである。今年は、すでに、ディンスラーケン、デュッセルドルフ、オーバーハウゼンに3つの新拠点を開設しており、間もなくドルトムントにも4つ目を開設する予定。また、来月には、ランゲンフェルトに同社最大規模の物流センターをオープンする予定だ。
Picnicは、オランダとドイツに続き、ヨーロッパの他の国の消費者を引き付ける準備を整えている。共同設立者のJoris Beckers氏は、かつて、イギリス、スペイン、フランスを念頭に置いていたものの、その1番目の市場であったイギリスは、Brexit(イギリスのEU離脱)によって、もはや選択肢ではないとみられている。EU諸国のみで拡大する可能性が高く、焦点は主に大国に絞られているようだ。
フランスへの進出
現在、全てがフランスで拡大するPicnicに向けられている。今年の初めに、Picnicは、フランス進出のため、パリに子会社PicnicSASを設立した。また、同社は、フランス語を話すリクルーター、ビジネスアナリスト、ソーシャルメディアワーカーなどのスタッフを募集している。Picnicは、ベルギーとの国境近くで、リール周辺のオー・ド・フランス北部地域を拠点に展開予定だ。
Lebensmittel Zeitungは、Picnicは、フランスにおいて、他の市場と同様に、同社がドイツで緊密に連携しているEdeka(ドイツの大手ディスカウントスーパーマーケット)とは異なる卸売業者を使わなければならないと伝えている。フランスでの契約は、Edekaが主要株主であるPicnicの購買会社Everestとの間で締結される。
EdekaはPicnicへのさらなる出資を望む
一方、Edekaは、Picnic International株式の自社持ち分10%を拡大する計画を進めている。計画によると、Edeka Rhein-Ruhr(Edekaグループの卸売業者)が所有するPicnic GmbHの株式をEdeke本社に譲渡した後、国際的な株式に転換するという。Edeka Rhein-Ruhrは、現在、Picnic Germanyの35%を所有しているが、今年中に過半数を引き継ぐオプションを取得している。
※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の2/15公開の記事を翻訳・補足したものです。