一部のパブリッシャーにとっては大きなチャンスだが、慎重に取り組む必要がある。
3月上旬、Apple情報専門ニュースサイト「9to5Mac」は、AppleがApp Storeレビューガイドラインを更新し、プッシュ通知がマーケティングや広告目的で使用可能となったことを取り上げた。新たなガイドラインは、ダイレクトマーケティング目的で使用するための通知を禁止するポリシーに反しているのだ。
関連表記は次の通りである。(強調表示は、引用者によって追加)
アプリを機能させるためにプッシュ通知を要件とすることはできない。また、個人情報や機密情報の送信には使用しないこと。プッシュ通知は、顧客がアプリのUI(ユーザーインターフェイス)で、受信することを承諾することに対し明示的にオプトインを選択していない限り、プロモーションやダイレクトマーケティングを目的として使用してはいけない。また、ユーザーが、アプリでそうしたメッセージの受信をオプトアウトする方法を提示する必要がある。これらのサービスを悪用した場合は、プッシュ通知を使用する権利が取り消される場合がある。
(App Storeレビューガイドライン4.5.4より)
ユーザーがスパム被害に遭った場合、ウィンバック(顧客を取り戻すこと)は非常に困難となる
顧客は、プッシュ通知に同意しておく必要がある。App Storeガイドラインでは、マーケティングメッセージや広告のセカンドオプトインについては特に言及されていない。つまり、パブリッシャーは、ユーザーが通知を受け取ることに同意した場合には、特定の広告に関連する通知へのオプトインがなくとも、ダイレクトマーケティングメッセージを送信できるようになるのだ。
また、新たなガイドラインでは、アプリ開発者に「ユーザーがそのようなメッセージの受信をオプトアウトする方法をアプリ内で提示する」必要があるとされている。(Appleの設定で、ユーザーはアプリの通知をブロックすることが可能。)これは、モバイルマーケティング担当者にとってジレンマのようなものだ。広告と「情報提供」通知が混在し、ユーザーが、関連性が低い広告数が過剰なことを理由にオプトアウトすると、パブリッシャーは通知を送ることができなくなる。
オプトアウト後に、通知を受信するため再度オプトインするユーザーの割合に関するデータを見たことはないが、その割合は非常に低いと予想できる。複数のデータソースによると、一般的なiPhoneの通知オプトインの割合は40%からおおよそ45%である。
留意すべき理由
広告やマーケティング通知は、小売業者にとってはうまく機能する。たとえば、メールマーケティングと同様に、商品発売の際のプロモーション通知をパーソナライズできるのだ。また、ストリーミングアプリやエンターテインメントアプリにおいても、ユーザーが関心を示している番組やその他のコンテンツを宣伝するために役立つ。不動産、仕事、レストラン、スポーツなど、プロモーションがアプリのコンテンツに密接に関連しているいくつかのカテゴリで機能するのだ。
要するに、マーケティング担当者は、プロモーションに関するプッシュ通知を慎重に発信する必要があるのだ。開発者とモバイルパブリッシャーは、プッシュ通知に広告を導入することについて透明性を確保する必要がある。パブリッシャーが、明確で関連性の高い広告またはパーソナライズされた広告のみを配信するよう細心の注意を払っている場合、Appleのプロモーションプッシュ通知は非常にうまく機能するだろう。しかし、ずさんで軽率な実行、またはスパム行為は、確実に失敗を招くことになるのだ。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/9公開の記事を翻訳・補足したものです。