生成AIによる検索体験が世界をどのように変えていくか、そしてチャットボットが広告の次なるフロンティアとなる理由について、GartnerのAIエキスパートであるNicole Greene氏が解説する。

 

米国のリサーチ&アドバイザリー企業Gartnerの副社長兼アナリストであるNicole Greene氏は、AIやコンテンツ、デジタルエクスペリエンスの専門家である。我々は、AIによって人々がコンテンツを入手する方法が急速に変化しつつあること、そしてチャットボットが広告の次なるフロンティアになりつつあることについて、時間をかけて同氏にインタビューを行った。

 

Nicole Greene氏が述べている通り、Googleの「Search Generative Experience (SGE/生成AIによる検索体験)」 はまだ試験中だが、ユーザーに非常に人気がある。これはリンクではなく、完全な回答でクエリに応答するものである。同氏は、こちらや他の生成AIの検索イノベーションがデジタルマーケティングに大きな変化をもたらすと予想している。

 

Gartnerが行った調査から、以下のことが明らかになった。

 

2025年までに、生成AIは対話型AIの80%に組み込まれ、これは2023年の20%から増加するだろう。

2026年までに、検索マーケティングはAIチャットボットやその他のバーチャルエージェントに市場シェアを奪われ、従来の検索エンジンのボリュームは25%減少するだろう。

2028年までに、消費者が生成AIを活用した検索を受け入れることで、ブランドのオーガニック検索トラフィックは50%以上減少するだろう。

 

これが意味するところを、以下で説明しよう。(インタビューは、長さと明瞭さの観点から編集が行われている。)

 

Q: まさに専門家になるのにふさわしいテーマを選んだ。

 

A: ええ、今となっては誰もが、「ああ、これがこの4年間あなたが言っていたことなんだ。私には、あなたが何を言っているのか理解できなかった」といった感じである。

 

生成AIによる検索体験(SGE)は、本当に魅力的な分野である。テクノロジーの大衆化によって、それはとてもアクセスしやすいものになっている。誰もが手に触れ、感じて、遊んで、理解することができる。その結果、消費者のコンテンツ消費行動は急速に変化している。消費者の会話はより実用的なものになり、最終的には我々全員が対話し、より迅速かつ簡単に意思決定できるようになっている。

 

SGEは我々の関わり方に影響を与えており、消費者の約42%が、従来型の検索よりもSGEを好んでいる。SGEを使えば、クリックする必要性が減り、時間を節約してより迅速に物事を行うことができるからだ。

 

そのジャーニーにおける必然的な次のステップは、チャットボットと会話し、必要なものをより早く見つけることである。私は多忙なワーキングペアレントであるが、もし人々が私と同じだとしたら、これらの決定事項の多くはただ終わらせたいものなのだ。

 

そこで、このエンゲージメント行動については、より会話的な方法でコンテンツを消費し、ブランドと関わりを持つことを考えてみよう。チャットボットに広告を取り込むテクノロジーは、すでに試験的に導入されているものもある。

 

Q: というのは?

 

A: こう考えてみよう。あなたはカスタマーサービスで、インサートされたブランドのチャットボットからの返答を待っているとしよう。そして、「いつ応答してもらえるのだろうか?」と少し思い始めている。チャットボットは、「お待たせして申し訳ございません。こちらが、20%オフのクーポン、または無料の商品です」と言う。

 

それは、どう役立つのだろうか?カートに入れる商品を増やし、顧客サービスを向上させ、プロモーションを提供し、生涯価値を高めるのだ。マーケターがすでに目指しているビジネスの成長目標はすべて、顧客の注目を集めるこの小さなエコシステムに集約されている。ロイヤリティを高めるには、「イライラし始めているね。割引をどうぞ」に勝るものはないのだ。

 

生成AIの機能により、顧客対応体験と事業部門はより統合されつつある。今では、営業、カスタマーサービス、その他の顧客とのやり取りにまたがる1つのコンテンツを作成できるようになった。

 

これらのチャットボットの多くは、よりパーソナライズされたジャーニーやエクスペリエンスを作成するためのファーストパーティデータを提供してくれるからである。

 

つまり、最終的には、1対1のインターフェイスに基づいて、顧客が何を求めているのか、何が顧客の心に響くのかについて、非常に深い知識を得ることができる。そして、それをより広範なエクスペリエンスにつなげるためのデータとシステムがあれば、パーソナライゼーションを超えた潜在的なエコシステムが誕生することになる。それは、顧客に真の利益をもたらすものである。ユーザーが求めているのはパーソナライゼーションではなく、より良い体験なのだ。

 

Q: マーケターはデータを必要としており、パーソナライゼーションのおかげで消費者は「データ提供に価値を感じる」と常々言っている。しかし、ほとんどの場合、それはより多くの商品を買わせることを意味し、顧客ではなく企業に利益をもたらす。つまり、これは、顧客が自分の情報と引き換えに何か具体的なものを得ることができるということである。

 

A: 真の価値交換を実現するのはとても困難であり、これは潜在的なやり方である。そしてまた、顧客がそのエンゲージメントの瞬間にどのように反応するか、あるいは適切に反応しないかによる、行動に基づいたものとなる。

 

Q: これがB2Cマーケターに役立つことは分かったが、B2Bではどうだろうか?価格が何万ドルもするのに、20%オフのクーポンをくれる人はいないだろう。

 

A: B2Bは実に興味深い。多くの場合、B2Bもまた、ソートリーダーシップ(特定の業界で影響力を与えるリーダー)が重視される。SGEのようなイノベーションによって、広告収入は減少していることはわかっている。しかし、多くのB2B企業、そしてもちろん多くのパブリッシャーにとって、広告掲載は収益を上げる上で重要である。彼らはどこに向かうのだろうか?彼らはどのようにしてこれを実現させるのだろうか?

 

そこで問題になるのは、適切な方法で会話に自分自身を入れ込むにはどうすればいいかということだ。B2Bのバイヤーは情報を得るためにWebサイトにアクセスする。現在、彼らは特定の情報を見つけるためにチャットボットを利用している。会話が自分たちに関連するものであれば、彼らは共同購入ジャーニーをサポートするために必要なステップを完了する可能性が高くなる。

 

そして、プレースメントやチャットボットについて考えるなら、それが広告であれコンテンツであれ、会話の中に関連性を組み込むことになる。したがって、B2Bの環境では、私はもう少しコンテキストに沿ったプレースメントを考えている。共同購入ジャーニーにおける適切なタイミングでオファーやメッセージを配信するのだ。購買サイクルも大きいことが分かっているのだから。

 

Q: 具体例を聞かせてほしい。

 

A: 私が関わるB2B企業の多くは、複数の製品やサービスを提供している。チャットボットの対応は、「貴社はデジタル体験プラットフォーム(DXP)に興味がありますね。弊社では、貴社のエコシステムに接続するために必要な統合メタデータを支援するデジタルアセットマネジメント(DAM)を提供していますが、ご存知でしょうか?」といった具合である。つまり、より生涯価値を高めるには、やはり社内で共同購入の合意を得る必要があるのだ。これは、アフィリエイトやパートナーシップでも時々見られる。チャットボットは、パートナーの製品やサービスについて提案することもできる。したがって、パートナーシップのエコシステムについても考えてみることが大切だ。

 

また、B2B分野で、私が生成AIについて気づいたことの一つとして、全体的な購買ジャーニーや購買グループに焦点を当てるのではなく、事業部門そのものに焦点を当てていることが多いという点がある。チャットボットは、営業やマーケティングに焦点を当てるべきではない。それは、ジャーニー全体に焦点を当て、バイヤーがそれを受け入れようとする時に、合意に応じて関連性のある広告メッセージングを配信すべきなのだ。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の4/8公開の記事を翻訳・補足したものです。